F+S Flash
(Vol.175)

============================= CONTENTS =============================
【F+Sメンバー紹介/第145弾】
  佐藤 守哉 / デジタルガレージ     <東京>
  至極 文人 / 広告通信社        <広島>
  石光 純子 / ネクストビジョン     <広島>
【コラム/『!プロジェクトは「社長」で失敗する!<第1回>』】<寄稿>
  プロジェクトの量的・質的変化と難易度の上昇    栗山 敏
【コラム/『【経営者に贈る言葉】<第9回>』】     <寄稿>
  !人遠慮なければ、必ず近憂あり! 野村 修一/NOMURAコンサルティング
【コラム/『"Instead of"の考え方』】          <寄稿>
  それはゴミか?捨てることの難しさ、ほか      公江 義隆
【F+S Forum/開催予定】 (最新日程はHPをご覧くさい)
・東 京【第169回】12月 4日(水)@赤坂シャングリラ<クリスマス>
  「川上剛史」さんの!催眠術!にバンド演奏でお楽しみいただきます
======================================================================

■=== 【F+Sメンバー紹介/第145弾】

※自己紹介バックナンバーは以下のURLでご覧ください。
 http://www.tru-solutions.jp/F+S_Home.htm#『F+S Flash』

1)佐藤 守哉 / デジタルガレージ     <東京>

大学で心理学や哲学を専攻したIT業界の方を何人か知っています。
分野が全く違うようですが、案外適しているのかも?とその方々を見て思います。
六本木のエスカイヤも無くなってしまいました。
懐かしいF+S会場がドンドン減っています。

<ご本人からの一言> 

(株)デジタルガレージの佐藤守哉(さとうもりや)です。F+S東京に最初に
参加したのは、2007年くらいだったと思いますので、もうかれこれ6年
近くなるでしょうか。当時同僚だった大島(銀髪のファンキーな人。覚えてる
人いますか?)に連れてこられたのが最初でした。

当時は六本木のエスカイアクラブ(懐かしい!)が会場で、40〜50人くらい
の人がいて、名刺交換もろくにできなかったことを覚えています。その頃
知り合った、広瀬さんや古田さんとは、今でもお付き合いをいただいています。

とはいえ、ここ2〜3年は、合弁会社に出向したり親会社に戻ったりと
目まぐるしく環境が変わり、来れて年に1回くらいなので、ほとんどの方とは
初対面に近いのではないかと思います。

少し会社のことを説明します。

デジタルガレージは、1995年に設立された会社で、インターネット関連の
事業立ち上げや広告、コンサルティングといった業務が中心です。
95年というのは、日本のインターネット産業の立ち上がりの時期で、
まだ何が儲かるのかわからない、そもそもタダで情報を提供してどうするの
という感じでした。

みんなが初めてだったので、我々のような新参者でも戦えました。
企業向けの仕事が中心なのであまり表に見えませんが、皆さんがご存知の
ところだと、価格コムの親会社だったり、ツイッターの日本導入をパートナー
として支援したことなどでしょうか。古くはインフォシークの日本語版を
最初に運営していたこともあります。

会社の話が長くなったので、自分のことも少しお話させていただきます。

デジタルガレージは、実はインターネット業界にデビューする前は
「フロムガレージ」という名前で、広告関係の仕事をしていました。
設立は1983年に遡ります。

私はたまたまその中の一人と大学が同じで、しかも同じように留年していた
関係で、設立に参加することになりました。本当に人生はどこで何が起きるか
わかりません。

大学時代は心理学をやってましたが、まさかIT系の仕事をするようになる
とは…。新商品の販促からイベント制作、そしてwebシステム開発の営業と、
まあ何でも屋的な経験を重ねてきて、いまは内部監査室として、
情報セキュリティの管理やらトラブルシューティングやらに対応しています。
趣味はサッカーで、歴史の話なんかも大好きです。
顔を見かけたら、お気軽にお声がけください。
あらためてよろしくお願いします。

2)至極 文人 / 広告通信社        <広島>

第一印象からは素早い行動力は想像できません(*^_^*)。
文中で紹介されている「UPOLED」は、電柱広告に照明を取り付けるもので、
電柱広告としての付加価値と夜間における防犯対策を考慮した照灯器です。
CSRと広告を兼ねて御社でいかがですか?
  ==> http://www.tru-solutions.jp/UPOLED_concept.pdf

<ご本人からの一言>

ソーシャルグッド!企業の社会貢献意識が高まっています。
年間約6兆円という日本の総広告費。テレビ、新聞、雑誌、ラジオなどの
マスコミ4媒体に続き、インターネット広告も大きく伸びています。
このうち地方の広告宣伝費が約4兆円で大半が折り込みチラシが占めています。
いっぽうで、広報活動の一環としてCSR(企業の社会的責任)があり、
多くの国内企業が本業と住み分けて寄付や社会貢献活動に関わるとの認識が
あります。 CSR= Corporate Social Responsibility

確かにこうした活動は、「施し」や「手助け」といったイメージを持たれますが、
海外では「企業としてスムーズな事業活動を念頭に、社会の多くの課題を
解決する」という明確なテーマとして理解されており例えば、
人権問題や気候変動などといったテーマに本業を通じて、長短期的な視点で
取り組むことが必要とされているのです。

さて、経済大国として久しい我が国の企業は、こうしたニーズに応えている
でしょうか。具体的にいえば、貧困や犯罪あるいは少子高齢化で疲弊する
地域社会環境の改善などといった踏み込んだ問題にグローバル企業が
事業活動として取り組むということに他ならないのです。

申し遅れました。(株)広告通信社の至極(しごく)と申します。

当社は、NTT柱に掲出の電柱広告から始まった広告代理店として
創業60年を迎えました。…といっても、電柱地中化や無線化といった
時代の流れを傍観しているわけにはいきません。
特にローカルでは、「疲弊する地域社会環境」は死活問題であり、
同時に国全体の課題でもあるはずです。

ここでもうひとつ。
CSRに代わる新しい概念としてCSV(共通価値の創造)があります。

「企業価値と社会価値を同時に実現する」のがCSV。
  CSV= Creating Shared Value

弊社の「UPOLED」は、電柱広告+防犯街灯・カメラ+ネットワーク
といったシンプルな構成で「既存の技術とモノで、既存のビジネスに
こだわらず社会的課題を事業化する」ことを目指しています。
つまり、電柱という既存のインフラを利用して「広告と社会貢献」という
カタチを具体化し、防犯・防災システムに変貌させましょう!というのが
「UPOLED」なのです。

イノベーションは、従来の枠から抜け出した視点が必要です。
それは、企業本来のCSRを意識したCSVに取り組むことで新たな
市場を想像し、製品やサービスに付加価値を生み出すことにつながります。

最後に「3つの信念」
・「常に顧客中心に考えること」、「発明を続けること」、「我慢強くあること」
・顧客と一体となってビジネスを始め、全力で働くことでイノベーションは
 生まれる
・倹約は、発明を生み出す。閉じ込められた小さな箱から脱出する方法は、
 自分で出口を造りだすしかない
Amazonをロングテールモデルで成功に導いたジェフ・ベゾスCEOの名言
だそうです。

※youtubeやfacebookページで「UPOLED」を検索いただけます。
 ついでに「いいね」もお願いしますね。

3)石光 純子 / ネクストビジョン    <広島>

見かけからは想像できないスポーツウーマンです。
何位でも興味を持ちやってみないと気が済まない性格のようで
F+Sのオジさん達とも話が合うようです。(合わしていただいてます?)

<ご本人からの一言>

(株)ネクストビジョンの常務取締役をしております石光純子と申します。
昨年6月のF+S広島に初めて参加させていただきました。

以前から、弊社代表の有馬猛夫はF+S広島だけでなく東京にも参加させて
いただきお世話になっております。当社はWebアプリケーション開発を
広島本社と東京本部の二拠点を中心に展開しております。

現在は広島市に在住しておりますが、出身は隣の山口県周南市(徳山市)です。 
瀬戸内海臨海部に広がる「周南コンビナート」は、夜にはライトに照らし
出された煙突やプラントが幻想的な風景に姿を変えて、イルミネーションの
ようにとてもきれいです。新幹線乗車中に徳山駅あたりからもご覧いただけ
ます。

経歴としては、新卒で大手生命保険会社の営業職を経て、
その後は色々なことに興味を持ち積極的に行動するタイプということもあり、
派遣会社に登録してさまざまな職種を経験いたしました。
そして平日の昼間は一般企業に勤務し、夕方以降と休日はパソコンスクール
のインストラクターをしておりました。そのパソコンスクールを運営して
いたのが創業してまだ半年の当社ネクストビジョンでした。
その後、入社して現在に至ります。

ここ何年かでやっと趣味の時間を持つことができるようになり、
東京マラソン2009に当選したことをきっかけにランニングを始めました。
その様子をブログに掲載しておりますので、よろしければご覧くださいませ。

 ==>じょうむのブログ http://ameblo.jp/nextvision-blog/

ゴルフもご一緒させていただく皆様にご迷惑をかけないよう上達せねばと
思っております(汗

当社はおかげさまで今年で創立15周年を迎えます。
これまで出会い、支えてくださったすべての皆様に感謝いたしております。
企業が社員数名から100名規模になる過程に携われたこと、
企業の成長とともに自分自身も成長してこれた経験が私の何よりの財産だと
思っております。

しかしまだまだ発展途上ですので、これからも皆様方にご指導をいただき
ながら成長してまいりたいと思っております。
これからも何卒よろしくお願いいたします。

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■=== 【コラム/『!プロジェクトは「社長」で失敗する!<第1回>』】

たまたまF+S東京へ参加いただいたのをキッカケに要約版の執筆を
著者である栗山さんに無理矢理お願いしました。
今回から今後7回に分けて掲載させていただく予定です。

現代においてイノベーション(経営改革)は経営トップが継続的に取り組む
べきテーマだが、そこには必ず情報システムの開発・変更が伴う。
言い換えれば情報システムを機敏に開発・変更できなければ、
トップにイノベーションのアイデアがあってもその実現が困難になる。
しかしながら「情報システム」の話になると急に現場まかせになり
「われ関せず」のトップが多いのも事実であろう。

本書は情報システムプロジェクトに対する経営トップの意識変革、
組織の考え方、日常の関わり方(支援のあり方)について
具体的な知見が述べられており非常に分かりやすく書かれています。

なお、文中での<図表?>と表記されている内容は以下で参照ください。
   http://www.tru-solutions.jp/kuriyama_pictures01.pdf

       =================
       !プロジェクトは「社長」で失敗する!
       =================
  〜第1回:プロジェクトの量的・質的変化と難易度の上昇〜

                   栗山 敏 kurisan@d5.dion.ne.jp
                   武蔵大学総合研究所 奨励研究員
                    元・日本アイ・ビー・エム(株)

★執筆の略歴と執筆の動機

私は西嶋さんとは十数年以来の旧知の仲であり、メルマガ『F+S Flash』の
熱心な読者の一人である。

私は昨年まで日本IBMに30年勤務し、顧客担当営業、コンサルタント、
エグゼクティブセミナー講師(IBM天城セミナー)と、一貫して顧客接点
業務に従事し、その間、多数のプロジェクトに関与してきた。
それらの多くは所期の成果を収めたが、中には深刻なトラブルに陥り、
ユーザー企業を初めとする社内外のステークホルダーに多大な不利益を
もたらしてしまったことも少なくない。

このようなプロジェクトの失敗をどうすれば撲滅できるのかは、
私にとって長年のテーマであった。

その後、縁あって武蔵大学の博士課程で研究に取り組む機会を得、
迷うことなくこのテーマを選定した。
その成果を本年7月に単行本として出版したところ、西嶋さんから
そのエッセンスをこのメルマガで連載して欲しいとの要望をいただいた
というのが、このコラムの執筆の経緯である。

これから以下の7回のシリーズで連載させていただくが、詳細な内容に
興味を持たれた方は、是非拙著そのものをお手に取っていただきたい。

 ● 【 情報システムを成功に導く経営者の支援行動 】 ●
  〜失敗する情報システム構築に共通する社長の行動〜
     栗山敏著、2013年7月24日発売、白桃書房

・第1回:プロジェクトの量的・質的変化と難易度の上昇
・第2回:プロジェクトの成否を「QCDだけ」で判断して良いのか?
・第3回:QCD目標を達成するために経営者に求められる関与と責任
・第4回:プロジェクトの成否の再定義
・第5回:事例調査に見るプロジェクトを成功に導く経営者の支援行動
・第6回:経営学の視点に基づく経営者の支援行動の考察
・第7回:経営者の支援行動を確実に実現するために

★プロジェクトの質的・量的変化と難易度の上昇

私は近年のプロジェクトは量的にも質的にも大きく変化し、難易度も加速度
的に高くなっていると感じている。<図表1>は経済産業省の「IT経営
ロードマップ」に筆者が加筆したものである。

第一〜第二段階で部門単位の活用に留まっていた情報システムが、
第三段階では部門の壁を超えてERPのような「全社最適」を追求するよう
になり、第四段階ではサプライチェーン・マネジメントのように企業の壁
をも飛び越えて「社会最適」が志向されている。

と同時に情報システムの目的自体も単純な省力化から、業務改革による
新しいビジネスモデルの構築や競争優位性の確立といったものにシフト
している。これらは必然的に1)大規模化、2)複雑化と不確実性の増大を
もたらす。

私はこれを情報システムに関するプロジェクトが「情報システム構築
プロジェクト」から「情報システム構築を伴なう経営改革プロジェクト」
に変化した、と表現している<図表2>。すなわち前者の主語は
「情報システム構築」であるのに対して、後者では「経営改革プロジェクト」
であり、「情報システム構築」はその手段に過ぎない、という意味である。

1)の大規模化によってステークホルダー間のコミュニケーションパスが
増加し、合意形成(要件定義など)が困難になり、合意を形成するための
工数が劇的に増大する。例えば5人のメンバー間のコミュニケーションパス
は5C2=10(組合せ)に過ぎないが、10人では10C2=45にもなる。
すなわち50人月と100人月、あるいは5億円と10億円のプロジェクト
の難易度は2倍ではなく、4.5倍、あるいはそれ以上になるのである。
また大規模化は企業内の複数の部門を巻き込むことを意味し、関連する
意思決定も組織の上層部で行なわれることとなる。

これらは必然的に、経営陣のより密接な関与を要求する。

2)の複雑化と不確実性の増大をもたらす最大の要因は業務改革である。
<図表3> ウォーターフォール手法に基づくプロジェクトの最初で最大の
難関が要件定義であることに、読者の多くも異論は無いであろう。

要件定義作業は業務改革を伴なわないAs-Isの業務プロセスを対象にする場合
でも容易ではない。それがまだ実在しない、業務改革完了後に初めて定義
されるTo-Beの業務プロセスを対象にする訳であるから、難易度は格段に
高まる。アジャイル開発手法やクラウド・コンピューティングはこれらの
悩みを多少は緩和するであろうが(筆者も期待を寄せているが)、
すべての解決策になるとは到底期待できない。

少々脇道に逸れるが、ERPパッケージの導入プロジェクトでも類似の現象
が生じる。<図表4> ERPの導入プロセスではFit/Gap分析という作業が
実施されるが、それが「現状の姿」と「ERPの仕様(ベストプラクティス)」
の突合になってしまっているケースを散見する。

プロジェクトの目的は「ERPパッケージの導入」ではなく、それが提供
する「ありたい姿」の実現だったはずである。そのTo-Beの姿を明確にせず、
As-Isの業務プロセスとERPの仕様を突合していたのでは、
プロジェクトが泥沼化するのは必然である。

★正確なQCD(Quality,Cost,Delivery)目標の設定を阻害する予算制度

第2回で詳述するが、業務改革を伴なう近年の「情報システム構築を伴なう
経営改革プロジェクト」では、多くの企業で確立されている予算制度や
稟議制度が正確なQCD目標の設定を阻害する。しかも皮肉なことに、
それらが厳密に運用されている「しっかりした会社」ほど、
この悩みは深いのである。

例えば当年度に組織を改編して業務改革を実施し、半年をかけて改革プラン
を立て、情報システムの要求仕様をまとめるといった場合、
当年度内に情報システムの開発に着手しようとすれば、予算は前年度に申請し、
承認を得ておかなければならない。

つまり予算サイクル上、業務改革がなされる前に、情報システムをどう活用
するのかについて概略を提示し、それに沿って予算を確保しておかなければ、
業務改革が完了してもシステム開発作業には着手できないのである。

しかしこの時点では、新しい業務要件すら不明確であるため、
システム要件やQCD目標を確固たる根拠に基づいて設定できるはずがない。
明らかに不確実であることを承知で意思決定されるのである。費用対効果の
試算をいかに精緻に行なおうとも、実務的にはほとんど意味をなさない。
したがって、この時点で承認された予算やQCD目標には当然、変更が
あり得る。むしろ、変更されるのが自然と考える方が合理的ですらある。

失敗プロジェクトにおいて、当初のQCD目標の設定が不適切であった
ことが原因に挙げられることが多い。
しかし、「正確な」QCD目標は本当に設定可能なのであろうか?
筆者は今日のプロジェクトにおいて、必ずしもそれが可能であるとは
考えない。この哲学論争(禅問答?)の詳細は【第2回】に譲るが、
何をもってプロジェクトを成功(または失敗)と評価するのか、
従来同様にQCD目標の達成度のみで成否を判断することが今日でも
妥当性を持つのか、という疑念が筆者の問題意識の根底にあることを述べて、
初回を締めくくりたい。
                         ・・・次回へ、つづく

 ※上記文中での<図表?>と表記されている内容は以下で参照ください。
  ==> http://www.tru-solutions.jp/kuriyama_pictures01.pdf

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■=== 【コラム/『【経営者に贈る言葉】<第9回>』】

                 野村 修一 snomura501@hotmail.co.jp
                NOMURAコンサルティング 代表

  〜!人遠慮なければ、必ず近憂あり!〜 

◆今月の言葉:『人遠慮なければ、必ず近憂あり』(論語)

人は遠い将来のことを考えた上で行動しなければ、必ず身近に心配事が
起こって来るであろうとの意。

人間は身近なことばかり考えていると、不安を感じたり、つまらないこと
ばかり考える。先頭を切って走らねばならない中小企業の経営者の足元には
いつも課題が山積しているが、時には大ナタを振るいながらの荒削りの
やり方も必要である。

経営者である以上、身近な問題だけに振り回されず、時には自社の方向を
客観的に見定める習慣を持つべきである。

◆今月のテーマ:再生する会社の秘訣(5)

日本の中小・小規模企業約420万社の内、7割以上が赤字と言われている。
特にデフレ状況が続くなか、10年以上売り上げが低迷、又は赤字基調から
抜け出せず、倒産又はもがき苦しんでいる企業が山ほどある。その中で、
あえなく沈没する会社は後を立たないが、懸命な想いで再起を図った会社に
焦点を当て、どこにその要因があるか注目してみたい。

<M社:冷凍鮮魚製造販売、倉庫業、本社:鳥取県、従業員9名、
    創業1975年>
 ・M社:  権藤社長
 ・G銀行: 高橋次長
 ・その他: 松川経営コンサル、飯田会計士

【1.業績悪化】
M社の事業内容は、魚介類販売、倉庫業他で、売上構成比はそれぞれ97%、
3%であった。1975年の創業以来、信頼をモットーに安心安全な水産物を
取り扱ってきた。
しかし、2004年以降、食生活の変化から一世帯当たりの生鮮魚介類消費量
の減少、流通の高度化による輸入品や冷凍品の増加、漁獲量の減少などにより
売上は減少した。そんな中、1997年に連帯保証先の2社が倒産した。
2社とも権藤社長の親戚が経営する水産会社で、マイワシの漁獲量激減による
連鎖倒産だった。M社は計7億円の保証債務を抱えた。
権藤社長はM社の2代目社長。2001年に社長に就任し、父親が負った
保証債務を引き継いだ。社長になって、成果給の導入など従業員が一丸と
なって利益を出す体制を作ろうとしたが、月数百万円に上る保証債務の
分割履行は大きかった。
働いても働いても、会社の状況は悪化の一途を辿った。

【2.必然の出会い】
高橋次長は、M社のメインバンクであるG銀行の融資担当を務めて3年半
になる。地方はどの企業も青息吐息で、この3年半で30数社の破産や整理
に立ち会った。高橋次長は地元全体を活性化させるために、倒産を1社でも
防ぎたいという思いを強くしていた。
2005年1月、高橋次長はM社の決算の信用調査に目を通していた。
表面上の債務者区分はヨーカン(要管理先)だが、簿外の保証債務を合算
すればハケ(破綻懸念先)に該当する。
然し、決算書に目を通すと営業利益は出ている。関連会社からのフグの
仕入れと販売が堅調であり、利益を押しつぶしているのは毎月の保証債務の
返済だけだった。
そこで、高橋次長は以前セミナーで知り合いになった松川経営コンサルに
相談した。松川経営コンサルは、まず新会社を設立してM社の保証債務以外
の事業用資産を事業譲渡し、そのお金でM社を特別清算する案を提示した。
権藤社長はこの案を了承したが、そのためにはM社事業用資産買取のための
G銀行からの融資が必要であった。

【3.再生の課題】
事業譲渡とは、会社の営業の全部又は一部を他の会社に譲渡することを云う。
事業譲渡は、譲渡する営業内容について会社間で自由に決定することが
できる。このため、譲渡会社においては、譲渡したい事業だけを切り離し、
経営基盤の強化を図るような場合に用いることができる。
一方、特別清算とは、債務超過の状態にある解散した会社が、迅速かつ
公正な清算をするために、申立権者の申立により、裁判所の監督の下に
おいて行われる法的清算手続きである。特別清算は、破産ほど手続きが
厳格でなく、簡易、迅速に会社を清算できるという利点がある。
M社の再生スキームである事業譲渡と特別清算には、まず株主総会の特別
決議、つまり総議決権の過半数の出席と出席した株主の議決権数の3分の2
以上の賛成が必要である。また、特別清算手続きを実施するには、
債権者に対する弁済計画である協定案に対し、債権者の3分の2以上の
同意が必要である。

【4.再生の兆し】
一方、松川経営コンサルは、M社再建のための経営改善計画として、
1.損益構造の改善、2.経営管理機能の強化、3.管理会計の導入を作成した。
更に、M社は既に本業でキャッシュを生んでいたが、G銀行から資産買取
資金の融資を受けることで発生する新たな借り入れに対する返済可能な
事業計画のアクションプランをまとめた。
1)利益率の高い部門一の冷凍魚と部門二の養殖フグの取扱量を増やす。
2)倉庫賃貸収入を増やす。
3)仕入原価を中心に変動費を削減する。
4)経営理念、経営ヴィジョンの策定と浸透
5)経営会議、朝礼などの会議体の設置と運営など
ここまでは所謂、再生の内科手術であり、この上で事業譲渡などの組織
再編や特別清算などの会社整理という外科手術に移る。
松川経営コンサルは上記事業計画と、現在のM社のバランスシートに対する
新会社のバランスシートを作成した。佐藤次長は新会社が資産を買い取る
ためのこの融資を本部に申請、細部を説明、無事本部の決裁が下りることに
なった。

【5.再生の理由】。
最大の難関である債権者会議では一部の金融機関に支店長の異動があった
ことから、債権放棄の同意を得るのに難渋したが、権藤社長と松川経営
コンサルが誠意を尽くして説明し、最後には解決した。
2006年5月に、漸く新会社が設立され、保証債務以外の事業資産の
譲渡が完了、また2007年12月にはM社の特別清算が完了した。
その後の新会社の業績は、権藤社長と従業員の頑張りで順調に推移している。
民事再生や私的整理をする会社の多くが失敗する中、M社の再生が成功した
ポイントは次の3つである。
1)社長が欲張らず、再生のため私財を投げ打つ覚悟があった。
  (経営者の姿勢)
2)M社の事業に地場産業としての客観的再生価値があった。
  (存在意義)
3)本業がキャッシュを生んでいた。
  (経済合理性)
4)社長を取り巻くメインバンク、関係者が再生に協力した。
  (出会いと運)

◆おわりに
言葉は心の反映であり、口に出して言わなくても表情に表れている。
君子はその表情を読み取り、相手の状態に応じた対応をするが、
小人は相手が言葉に出した内容を鵜呑みにするどころか、自分が話すこと
だけに夢中である。
ビジネスにおいても、おしゃべりな経営者、おしゃべりな営業マンで成果を
出している人は稀である。相手に合わせるよりも自分本位になる人が
相手の信頼を得ることができないのは至極当然である。

最後までお読みいただき有難うございました。
ご感想・ご意見がありましたら、お気軽に上記メルアドにお願いします。
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■=== 【コラム/『"Instead of"の考え方』】    <寄稿>

                公江 義隆 y-koe@air.linkclub.or.jp
               JUAS/ISC、もとITコーディネータ
                もと武田薬品工業(株)情報システム部長

 〜 それはゴミか?捨てることの難しさ、ほか 〜

★横文字文明の行方

「とりあえず、目先の必要なものを作り・つけ加えておく」。既存のものに
不必要になるもの、位置づけが変わるものなどがあっても、「これらの問題は
後で考える」ということにして、とりあえずは多忙を理由に、結果的には
そのまま放置されてしまうことが多い。

しかし、何であっても掃除をしていないとゴミが溜まる。

役に立たないゴミも、あれば手がかかりコストが発生する。そして「チリも
積もれば山」となったゴミは、必要なものと混ざりあって全体が複雑で
大きな規模のものとなり、やがてその区別が見え難いものになる。
そのため溜め込んだゴミがある量を超えると掃除は「大ごと」になる。
また、人間も人の組織も齢をとるとモノを捨てるのが下手になる。
人には夫々に思い出があり、捨てるのは勿体無いという思いも強くなる。
組織も旧くなれば、過去の経緯、多くの関係者の利害や思い入れを夫々
モノが引きずっている。
強いリーダーシップか強制的ルールがないと大掃除は容易ではない。
掃除はこまめにその都度やる方が結局は楽である。

ゴミはこのようなモノだけでなくソフトにも溜まる。
今、世の中を見回してみて、法律や諸ルール、社会の諸構造、組織、仕事の
やり方・・など社会システムのソフトは、弥縫策の“つぎ足しつぎ足し”で
膨れ上がり、全容把握が困難なほど複雑になっている。
世の中が大きく変わったにも関わらず、ソフトのベースは変えられないでいる。
特に日本において顕著のように感じる。その結果、世界の動きの速さや
社会の変化に追従できず、大きな機会損失や実害、問題によっては国益を
損ないかねない事態にまで立ち至っている。

法律の補則には本体より多くの項目の関連する他の既存の法律の修正内容が
並び、果ては上位の法律の要の部分が、十分な審議もされないまま書き換え
られるような事態が発生している。

そして、この10数年、とにかく前へ進もうと、必ずしも十分とも云いきれ
ない検討と、時間に追われた開発を進めてきた数多くのIT投資の結果にも
また、同種の問題を抱える点で例外ではないだろう。

ITシステム、IT組織(機能・責任・権限)・・・、今、棚卸しをすべき時期
でないだろうか?。

今回は現状を整理してみる上で参考になるかと思い、横文字文化にチョッと
踏み込んでみる。横文字表現は好きではないが、今回のテーマでは日本語に
直すとニュアンスが変わるような気がして、そのまま使うことにする。

★「Instead of」という考え方

その昔、IBMの大型コンピュータの全盛時代、コンピュータの機器や
ソフトはレンタル使用が普通であった。米国流のビジネススタイルには
抵抗感もあるが、同社との機器やソフトのレンタル更新の契約書の中にあった
"Instead of"という言葉は気に入っていた。

"今まで使ってきたAを返して、その代わりにBを新たに導入する"
「何を何に変えるか・その理由」、このことが明確な表記方法だったからだ。

この考え方でゆくなら無駄・ゴミが溜まってゆくことを避けられるし、
分り易く説明が出来る。時代や仕事の仕組みが変わっても大切なことだと思う。

業種にもよるが、日本企業の売上高IT費用比率は(一時的な増減はあるが)
長年にわたり1%程度であった。1%の枠を条件に予算を作っていたという
より、これが多くの日本企業にとって、経営面から結果的にバランスの
とれたITの位置づけだったのだと思う。

ただし、「Instead of」が結果として徹底された企業とそうでなかった企業では、
内容の充実度でそれなりの差が生じていたことは想像に難くない。
1%の中にゴミがどれぐらい入っていたかの問題であり、既存のシステムの
ゴミ処理にどれぐらいエネルギーを削がれていたかと云う問題である。

各社のIT企画書に「xxをやる」と云う記述に加えて、その代わり「○○を
やめる」という内容が書かれていたものはどの程度あったであろうか。
あるいは、役割を終えたテーマやシステム、組織を(取替え、変更や修正では
なく)積極的に廃止するという企画はどのくらいあるであろう。

★「Responsible for」と云う考え方    

昨今、各分野、各層で、責任あるべき立場の人が、権限の行使はしても
責任をとらなくなった。こんなことが続くと、今度はその課題は誰が責任を
持つべき問題なのが逆に分らなくなってしまう。

今、我々の前に次々起こってくる変化、問題は益々大きく、複雑なものに
なってきている。
個人であれ、企業であれ、国であれ、自分の“持ちもの”は“自ら管理
できる規模や内容”に留めておかなければならないと最近つくづく思う。
そうでないと次々起こる大きな変化や変革に対応できない。
言葉を変えれば、責任と権限、義務と権利、仕事と能力のバランスの崩れた
人や組織は、遅かれ早かれ衰退の途を辿る。
“持ちもの”を大きく高度にするなら、それに応じて自らの能力と倫理観を
高めておかなければならない。

前置きが長くなった。
外国人との会合での自己紹介で、殆どの日本人が「自分の肩書き」を述べる
のに対し、彼らの口からは“I am responsible for ○○”=“私は○○に
責任を持っている”と云う表現がでてくる。
こんな時、どちらが良い悪いというわけではないが、つくづく考え込んでしまう。

入社初仕事で参加したプロジェクトで知り合った他の部門の部長さんに
数年後に出会った時、「最近は何をしていますか?」と聞かれて、真面目に
応えようとして感じた気持ちと同じ種類のものだ。
仕事の分野の全く違う他部門の人に、雑多な多数のテーマ名を羅列してみても
意味が無い。「仕事の中身を串刺しにして一言で言えば、自分は一体何を
やっていることになるのだろう」と悩んだものだった。
相手にすれば挨拶代わりの質問だったかも知れないが・・・。

“I am responsible for ○○”と言う外国企業のディレクターだって、
別に○○だけをやっているわけでもなかろう。職務記述書の内容を述べたに
過ぎないのかもしれない。しかし、職責/responsibilities で仕事が
定義されていれば、それに伴う権限も必要となる能力も自ずと明確になる。

他方で、従来、多くの日本の組織では、課長とでも肩書きが付けば、
起こってくる/降りかかってくる問題全てに対処することが何となく
求められるようなところがあった。責任範囲も曖昧なら、問題を起こさない
限り権限も自ずと広がっていくような面があった。
お互いに守備範囲を補完しあっていた。日本の過去をふり返ればある時期まで
は、この曖昧さ(やるべきことが出来るように権限委譲が自然に、結果的に
されていた?)がプラスに働いていた場合が多かったように思う。
各人それなりに倫理観・責任感・向上心が高く保たれ、お互いが保管しあえる
余力のあった時代であった。しかし、今、曖昧さのマイナス面のほうが
大きくなってしまっているように感じることが多い。

★この10年を省みて、
 「IT組織の責任・権限範囲は拡大したか?縮小したか?」

この10数年、大きく世の中が変化した中で、「仕事と能力」、「組織
(ポジション)の責任と権限」、「権利と義務」の夫々の内容と2つの要素の
バランスをより明確に定義し直してみる必要があるように思う。

特に多くのIT組織では、従来から、他に分野に比べても、これらが曖昧
ではなかったであろうか。
会社組織機能上の権限の及ばない範囲の問題にまで責任を負わされている
ようなケース、あるいは自らアッピールしないが故に結果的にそうなって
しまったケース、実はそうではないのにそう思い込んでいる被害妄想的
ケース、逆に当然担うべき責任を放棄したようなケース、権限を放棄して
責任を回避しているようなケース、「今、出来ることが、自分の仕事・
責任範囲」と思っているようなケース・・・など等、そして、それらの結果、
会社全体として必要な機能の一部の担い手が欠落してしまっているケース
など、程度は別としてかなりあったのではないだろうか。

やるべきことを明確にし、それが出来るように条件を整備し、
今出来ないことは、時間はかかっても出来る力をつけなければならない。
それを継続することによって、将来に通用する新しい組織の文化を作って
ゆくことが肝要だ。

★「Morale(モラール:士気、やり遂げようとする高い意気)と
  Morals(モラル:倫理・道徳)」

最近はMotivation(本来:動機付け≒ヤル気にさせる)という言葉が随分
広い意味に使われているが、物事、兎に角やればよいということではなく、
大切なのは動機の正当性だと思う。

人は正しくありたいと思う一方で、能力以上に大きな成果を得ようとしたり
する。成果と権限は欲しがり、責任は逃がれようとする。義務を果たすより
権利を主張する。
しかし、やるべき仕事をやれる能力が無ければ、責任を果たさず権力を
行使しようとすれば、義務を果たさず権利ばかり主張しておれば、
やがて人は信頼を失い、組織は内部から崩壊してゆく。
それらの行動のバランスを正せるのは、組織や各人自らの内にある倫理観
だろう。外から人を縛る規則や法律は最低限の下支えにすぎない。

組織の倫理観は言葉ではなく、組織のリーダーの行動が作る。良いことも
悪いことも部下は上司を真似る。また、世の中の問題の多くは二律背反性を
持っている。具体的な問題を前に「どのような判断をするか・行動をとるか」、
そこにその人の本性が現れる。それを部下や世間は見ている。
云う事とやる事が整合していなければ信頼を失う。

事象を積み上げ、時間を経て形成され、組織を構成する一人一人にまで
浸透された規範が、一つの暗黙知として、組織の文化、哲学、経営理念と
なって後の世代に継承されてゆく。日本には歴史のある企業が多い。
それらの企業には変わることのない経営理念が定着しているように感じる。
その一方で、見よう見まねの消化不良のグローバル化政策で経営理念を
見失い、漂流する嘗ての優良企業もあるようだ。

★Anonymous(匿名)とSNS ・・・責任無き権力行使を生み出すインターネット

嘗ては、匿名と云う言葉が使われるのは、匿名の寄付など、奥ゆかしさ・
美談として取り上げられる場合が圧倒的に多かった。それが昨今、
他人から誰かが分らないが故に悪いことを平気でする人たちが増える背景に
なってしまった。

インターネット上の“匿名性”が引き起こすであろう問題は早くから
認識はされていた。日本でインターネットの普及が始まる前の1990年代
前半、タイム・ライフ社がスポンサーとなって開かれたUNDP(United Nations
Development Programme)のフォーラムのテーマは、経済格差などから生じる
「情報格差」と「匿名性」についてであった。
当時の風潮では前者が深刻で、後者は比較的楽観的に考えられていたように
思うが、20年経った現在、携帯電話や衛星放送の普及で前者の問題は
むしろ軽減され、後者の影響がより大きな社会問題になりつつある。

インターネットは、「発言の場が無かった一般市民にその場を作る」、
「云いたいこと・云うべきことを、他からの干渉や圧力を受けないで発信
できる」、「不正の内部告発や、独裁的な権力への対抗の手段になる」などが
匿名擁護派の主張であった。

企業の不祥事発覚のきっかけや、「アラブの春」に見られる独裁政権の崩壊
など、これらの観点からの実績はあった。
しかし、インターネット・SNSなどによって力を得た多数の弱者による、
少数の権力者との戦いの後に残ったのは、果たすべき責任能力を欠くmajor
minorityが引き起こす社会の混乱であった。インターネット・SNSは
大衆を動員して「壊す」ことに対しては強力な道具になるが、「異なった利害
・考えを持つ多くの人々を纏めて、新しく何かを作ることに対しては
殆ど無力であることをも示した。

また、人は匿名故に発言内容に対して無責任になる。悪意は無くとも
信頼性に欠けるゴミ情報が社会に氾濫し、情報インフラのコストを
押し上げることになった。さらに、顔が見えなければ倫理観が失われる。
やがて抑制を失った人たちから、無知や悪意に基づく根拠無き内容の
誹謗・中傷、児童のイジメ問題から犯罪の引き金や教唆、さらには
国際関係さえも損ねる事態にまで至った。10000人が一つ一つのこと
に努力を重ねて成し遂げたことも、1人の不心得者の行動で簡単に壊されてしまう
。匿名は人を出来心に誘い、インターネットは簡単に大事を起せる
仕組みでもある。

★Globalization、IT・・・過ぎたるは及ばざるが如し(最適点は"中庸"にある)

多くの問題は、効用の裏には必ず副作用がある。
進めるほどに効用の増分は低減し(経済学で言う限界効用逓減法則)、
副作用は積み上げられてくる。どこかで副作用が効用を上回ることになる。

つまり、物事、やればやるほど、進めば進むほど良いと云うものではない。
「過ぎたるは及ばざるが如し」、多くの場合、最適点は"中庸"にある(※)。
しかし、我々は気づかずに通り過ぎてしまう。

経済最優先の思想、そこから行き着くグローバル化、その道具のインター
ネット、・・・そろそろ峠に差しかかっているか、もしかしたら越えたようにも
感じるが・・・。
進めるにも内容の事項を個々に吟味しながら慎重に扱う必要にある段階だ。

★参考:最適化プロセスの形を考える方法

世の中の問題は多くの事項が複雑に絡みあっていて大変分かりにくい。
しかし、「全くない」と「全てがそうなる」といった両極端のケースなら
考え易いと思う。

例えばグローバル化進展が全くゼロというのは、鎖国状態、更に極端を
追えば、一人ひとりが物心ともに他人との関わりを一切持たずに暮らす
状態だ。この状態なら、大方の人にとって、関わりを増やす方向がベター
と云うことになるだろう。

もう一方の極端は世界中の全ての人が同じ文化・ルールの下で暮らす
100%のグローバル化。例えば、全人類が米国の価値観の社会、
或いは中国の考え方の社会で暮らすような事であるが、
これもご免蒙りたい。最適点はほどほどのところにあるのだ。
今、少し前と比べてみてよくなったことが多いか、悪くなったことが多いか
を比べてみれば、最適点が前にあるか、後ろにあるかが分る。

太陽光発電についても同じだ。ゼロよりあったほうがよい点は大いにある。
しかし、100%太陽光になれば、前回に触れたように電気料金は
少なくとも現在の倍になり、日の出とともに働き、日が暮れれば活動を
止めるアーミッシュ(※)のような生活しか出来なくなる。最適点は間にある。

※:米国ペンシルバニア州中心に暮らす近代文明を拒否した生活をおくる
  キリスト教徒の一派

最適点が「やればやるほどよい」または「なにもやらないのがいい」という
極端にある問題がないかと考えてみたが、中々思いつかない。

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編集後記: 先週広島に行ったら「平和大通り」がライトアップされイルミネー
ションが大変綺麗だった。京都にも訪ねたが、紅葉のライトアップが素晴らし
かった。全国各地でクリスマスイルミネーションが始まっている。ところで、
ライトアップとイルミネーションの違いは?というのが疑問になった。ライト
アップは照明に照らされる非照射物がメインで、イルミネーションは照明その
もの、つまり照明器具とそのデザインがメインだろう。なんて、どうでも良い
ことを書いてしまった。今年も残すところ1ヶ月です。気候も事件もイベント
も色んなことがあった2013年でした。何もないのは私の仕事だけか(:_;)!
これから冬本番、あまり色んなことが起こって欲しくない。寒いのは苦手です。

※全国イルミネーションスポット(るるぶ)
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