(株)TRUソリューションズ
コンサルタント雑感
日頃感じたことや大切に思ったことを綴っています。
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(下記のインデックスをクリックいただくと記事に飛びます)

<執筆> 西嶋 陽一 (にしじま よういち) 
(株)TRUソリューションズ 代表取締役
http://www.tru-solutions.jp/TRU_Consultants_00_Nishijima.pdf
 
   『注目される「デザイン・シンキング(デザイン思考)」』
 『今こそ必要な「マインドの変革」』  『合意形成ステップが勝利への鍵』
 『組織の活性化への三種の神器<#2>』  『組織の活性化への三種の神器<#1>』
 『ヒトに関わる諸制度は時代と経営戦略に合ってますか?』  『あらゆる場面に「ステークホールダー・マネジメント」-#3』
 『「仕事の出来るヤツ」は知っている<個人編>』  『「仕事の出来るヤツ」は知っている<組織編>』
 『【目指せ!勝率アップ】打率アップじゃダメなんです』
 『あらゆる場面に「ステークホールダー・マネジメント」-#2』
 『現場は間接部門が嫌いなのか?』  『あらゆる場面に「ステークホールダー・マネジメント」-#1』
 『人材強化(人材育成)は体系立って戦略的に−#1』  『人材強化(人材育成)は体系立って戦略的に−#2』
 『あなたの会社(部門)は会議が多すぎませんか?』  『間違ったコミュニケーションしていませんか?』
 『「管理職=社長」って本当?』  『中期事業計画の季節です』
 『管理職心得「何もないうちから話をする」』  『仕事のやり過ぎは部下を駄目にする-#2』
 『「朝令暮改」の薦め』  『仕事のやり過ぎは部下を駄目にする-#1』
 『今こそ必要な「マインドの変革」』  『自分の仕事をワザワザ増やしてませんか?』
 『リーダーシップもイロイロです』  『待つ努力してますか?』
 『トップよ!!孤独であれ!!』  『今こそ大切な「スピード」』
 『今こそ大切な「日本語力」』  『今こそ大切な「理念経営」』
 Stake-Holder-Management あらゆる場面に重要な「ステークホールダー・マネジメント」


<寄稿> 神門 善三郎 (かんど ぜんざぶろう)
 オフィス//イービジネス・コム 代表
 <人事労務政策コンサルタント>

<略歴>
   社会調査研究所、第一広告社などでマーケティング部門のみならず
   人事労務・情報システム・財務経理などの責任者を歴任。
   2003年からは、人事労務政策や関連諸制度の導入・改訂・運営管理に関する
コンサルティングや教育研修などを実施してきている。
   http://www.tru-solutions.jp/TRU_Consultants_00_Kando.pdf


 『今、管理職に求められるもの』
  ・ビジネスリーダー20の要件
 『知って得する労働基準法』<No.1>』
  ・労働基準法って何?違反したらどうなる?
 『知って得する労働基準法』<No.2>』
  ・「就業規則」と「労働基準法」について
 『知って得する労働基準法』<No.3>』
  ・「法定労働時間」と「所定労働時間」について
 『知って得する労働基準法』<No.4>』
  ・36協定と法定労働時間外の労働(所謂:「残業」)について
 『知って得する労働基準法』<No.5>』
  ・法定休日出勤と所定休日出勤について
 『知って得する労働基準法』<No.6>』
  ・所定労働時間外の労働(残業)時間と残業手当の割増賃金率
 『知って得する労働基準法』<No.7>』
  ・休暇と休業の種類と管理〔1〕法定年次有給休暇
 『知って得する労働基準法』<No.8>』
  ・休暇と休業の種類と管理〔2〕女性関連ほか 
 『知って得する労働基準法』<No.9>』
  ・休暇と休業の種類と管理〔3〕休暇・休業・休職制度ほか
 『知って得する労働基準法』<No.10>』
  ・労基法の「管理監督者」と企業の「管理職(職制)」について
 『知って得する労働基準法』<No.11>』
  ・管理職(職制)の権限・義務・責任について
 『知って得する労働基準法』<No.12>』
  ・同一労働同一賃金をめぐる問題と課題
 

 『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』 <寄稿> 湊 伸悟 ビジネスコーチ(株) 顧問

 !プロジェクトは「社長」で失敗する!  <寄稿> 栗山 敏 北海道情報大学 准教授

現代においてイノベーション(経営改革)は経営トップが継続的に取り組むべきテーマだが、そこには必ず情報システムの開発・変更が伴う。言い換えれば情報システムを機敏に開発・変更できなければ、トップにイノベーションのアイデアがあってもその実現が困難になる。しかしながら「情報システム」の話になると急に現場まかせになり「われ関せず」のトップが多いのも事実であろう。

本書は情報システムプロジェクトに対する経営トップの意識変革、組織の考え方、日常の関わり方(支援のあり方)について述べているが、経営トップを含む経営層のプロジェクトへの関わり方という視点では、ICT系プロジェクト以外でも同様の経営層による関与が有効と言えよう。

        ● 【 情報システムを成功に導く経営者の支援行動 】 ●
         〜失敗する情報システム構築に共通する社長の行動〜
             栗山敏著、2013年7月24日発売、白桃書房


   <著者紹介>: 2012年11月まで日本IBMに30年勤務し、
   顧客担当営業、コンサルタント、エグゼクティブセミナー講師(IBM天城セミナー)と、
   一貫して顧客接点業務に従事し、その間、多数のプロジェクトに関与。
   2014年4月より北海道情報大学 経営情報学部 先端経営学科に准教授として着任。
   <「F+S Flash」にて好評連載中!配信後に順次掲載しています>
   ・第1回:プロジェクトの量的・質的変化と難易度の上昇
   ・第2回:プロジェクトの成否を「QCDだけ」で判断して良いのか?
   ・第3回:QCD目標を達成するために経営者に求められる関与と責任
   ・第4回:プロジェクトの成否の再定義
   ・第5回:事例調査に見るプロジェクトを成功に導く経営者の支援行動
   ・第6回:経営学の視点に基づく経営者の支援行動の考察
   ・第7回:経営者の支援行動を確実に実現するために



『注目される「デザイン・シンキング(デザイン思考)」』    (2015.05.22)

 〜 !必要なのは「自由闊達な風土」に「発想力」と「スピード」! 〜

新しい商品やサービスの創造を狙い、ソニーやヤフー、日立製作所など国内の
大手企業が注目している手法がある。それが「デザイン・シンキング」だ。
直訳すれば「デザイン思考」であり、文字通り優秀なデザイナーや
クリエーティブな経営者の思考法をまねることで、新しい発想を生み出そう
とする手法である。ビジネスに活用すればイノベーションを起こせるのでは、
と大いに期待されている。

何故「デザイン・シンキング」が注目されるのか?

 <「デザイン・シンキング」は新しいキーワードではない>

米シリコンバレーに本拠を構え、アップルの「マッキントッシュ」に付属する
初代のマウスをデザインしたことで知られるコンサル会社IDEOの動きとして
約10年前から日本国内でも提唱されてきた。
それが2013年になって各社が注目し始め、続々と成功事例が出てきた。
2014年にはさらに多くの企業から成功事例が登場する見込みである。

「デザイン」と聞くと、商品やパッケージなどの形態、図案や模様、レイアウト
など、美術的なイメージを思い浮かべることが一般的だろう。
本来の言葉の意味が「従来の記号(sign)の否定・分解(de)」と理解される通り、
「デザイン・シンキング」におけるデザインは、より広義に捉えられ、
イメージとしては、「設計」に近いニュアンスを含んでいる。

 <今、何故「デザイン・シンキング」なのか?>

日本はこれまで、生産や販売といった下流工程において強みを持っていた。
しかし、上流工程やコンセプト創造には強みを発揮出来ていない。
しかし、今後は、自ら課題を定義し、コンセプトを創造し、市場を創り出して
いかない限り、大きな収益を生み出すことは難しくなる。

今までのやり方では新しい発想を生み出すことに各社が限界を感じている。

今までは、主に技術やマーケットの動向から、新しい商品やサービスを
考えるケースが多かったに違いない。確かに既存の市場なら予測しやすいかも
知れないが、従来の延長線上の発想しか出てこないだろう。

これに対し、「デザイン・シンキング」は優秀なデザイナー達の思考法を
ベースにしているため、今までとは異なる新しい発想につながる可能性が
高くなる。「既存の延長ではなく、新しい問題を発見してゼロベースから
発想するのに「デザイン・シンキング」は向いている」といわれる。
既存の技術やマーケットをベースに論理的に発想するやり方を
「ロジカル・シンキング」と呼ぶなら、「デザイン・シンキング」は
発想の起点が全く異なる。
デザイナーたちが重視するのは、ユーザである人間の姿だからだ。

人間を中心にして発想する

 <観察力や発想力を強化することで、イノベーションが生まれやすくなる>

ユーザがどんな行動を取り、どんな考え方をするか、どんな感情を示すか、
などを詳細に観察し、時にはインタビューすることで、何を求めているのかを
把握することが、発想の起点になる。ニーズを理解できれば、簡単なスケッチを
描いて示し、ニーズと合致するかを検証するデザイナーもいる。
求められているものが明確になるまで、こうした作業を行きつ戻りつしながら、
何度も繰り返す場合もある。

ユーザ自身も自分のニーズを理解していないのかも知れない。
必ずしもロジカルには行かず、無駄な作業も増える。だがユーザの本音を
的確に把握して発想すれば、たとえ技術やマーケット上の「常識」とは
異なっても、ユーザの利便性につながるものが出来上がるに違いない。

現状を分析・理解してアイデアを考え、プロトタイプを作って検証して
再度、現状を分析したり考えたりする、といった思考法を優秀なデザイナー
らは「頭の中」で無意識に行っているはずだ。「デザイン・シンキングは
分かりにくい」と言われるのは、このためだろう。
それでもあえて「デザイン・シンキング」について定義すると
「人間を中心に発想すること」といったシンプルな表現になってしまう。

もちろん日本企業でも、これまでもユーザを意識して商品を開発してきたはず
である。確かに、かつてはそうだったかも知れないが、今はどうだろうか?。

表面的なアンケート調査を行うことで、「生活者の声を聞いたつもり」になって
いないだろうか?。ユーザの本音は簡単には見えてこない。水面下に隠れている
ユーザの本当のニーズをつかまえなければ、成功できる新しい商品やサービスの
開発にはつながらない。

機能的価値から意味的価値へのシフト

 <ユーザが気付かない「本当の目的(価値)」を見つける>

「デザイン・シンキング」では、「どこに問題があるのか」「なぜ問題なのか」
を明らかにするために、想定されるユーザを観察し、共感を通じて潜在的な
問題を探る点に特徴がある。
「われわれが本来解くべき問題は何なのか」を問うことがスタートとなる。

スティーブ・ジョブスが「顧客は自分たちが欲しい物は知らない」と言ったと
されるように、ユーザが課題の本質を言語化したり認識したりすることは
まれである。スマートフォンが発売される前に、スマートフォンが欲しいと
認識できていた人がどれだけいただろうか?。しかし、ひとたび社会に投入
されれば、それがない生活が考えられないほど、人々のライフスタイルに
溶け込んでいったのである。

 <徹底的な観察と分析に基づく根本的な問題と要求の発見>

「デザイン・シンキング」の方法論を簡潔にまとめると、
まずはユーザの状況を理解するため、現場の動きを詳細に観察する
「フィールド観察」を行ったり、インタビューを実施したりすることが起点だ。

分かった事実を基に議論して多くの意見を出し、その後は意見を収束させて、
課題を浮き彫りにしていく。こうした「議論の発散」や「議論の収束」は、
「デザイン・シンキング」のさまざまな場面で必要になる。

さらに課題の解決に向けてブレインストーミングなどの手法を使ってアイデアを
出していく。発想力が問われる場面だ。
その上で解決策をまとめていき、試作品(プロトタイプ)の作成に移る。
最初は紙でもいいからすぐに試作品を作り、イメージを確認することが重要。
ユーザに試作品を見せるなどして試作品を検証し、不具合があれば再度試作品を
作ったり、解決策を検討したりする。

こうしたサイクルを素早く何度も繰り返すことで、次第に完成へと近づけて
いくのである。

重要なのは「柔軟な発想(Flexibility)」と「素早い実行(Speed)」。
そのためには、「自由闊達に意見を述べたりできる風土」と「必要な行動を
素早く実施できるための権限とリーダーシップ」を持ったチームであることが
前提となる。

最後に

最後に、IDEOの野々村健一さんの言葉を書いて締めくくりたい。

『日本で仕事をしていて、少し危惧しているのは、この道具に過ぎない
「デザイン・シンキング」が目的化しているきらいがあるということです。
プロトタイピングやブレーンストーミングの方法自体を習得することが
目的になってしまっていて、もっと大事な、「課題発見」なり「問題設定」の
部分がおざなりになっているケースが散見されるようになりました。』

 ※一般社団法人デザイン思考研究所
   ガイドブックなどの資料や研修の提供を行っています
   ==> http://designthinking.or.jp/index.php?dt_text
『今こそ必要な「マインドの変革」』       (2014.06.19)

   〜!スキル向上よりも大切な「こころ(心)」の変化!
       重要なニギリの出来と密接なコミュニケーション

各組織で教育研修が行われているが、多くが「スキル」教育に片寄っている
傾向が見受けられる。

昔のように手順を追って管理職へ育てていくことが難しい現在、
ベースとしての「スキル」向上のための教育はもちろん重要ではあります。
しかし、社員として、あるいは管理職として、何が求められているのか?を
具体的に認識し、必要なことを実現できる(達成できる)ための「スキル」
を身に付けるためには、「マインド」が非常に重要となります。

能力アップのための方向性を見つけ、推進力を大きくするために重要なのが
「マインド=こころ(心)」なのです。

特に、管理職においては、上位からの要求とチーム(組織)の現状との
ギャップをシッカリ認識し、目標達成へ向けた改善や変革をどのように
実施するのかを明確に持たなければなりません。

そのためには、ギャップを埋めるための自己変革が、何処に必要で
どのように実現するのか、を正しく認識する必要があるのです。

よく、中間管理職は上司と部下の板挟みになって苦しむという話が出ますが、
実際に問題になっているのはそうしたことではなく、
管理職として気を付けるべきポイントや心構えが出来ていない人が
管理職になった場合なのです。

多くの「スキル」教育を「馬の耳に念仏」や「暖簾に腕押し、柳に風」にしない
ためにも、「マインド」変革の推進も並行して実施することが重要です。

★結果の善し悪しは・・・

結果しか見ていないのでは?

物事の変化が早くサイクルの短い現代において結果重視になるのは
仕方ないことではあります。しかし、結果が計画と実施プロセスの
成果であることを忘れているのでは?と思わせる状況を多く見受けます。

物事に向かう心構えや問題認識と対応を上司の背中を見て育った
以前と異なり、計画の立て方が粗かったり途中経過の問題対応が
甘かったりする傾向が大きいと感じます。

そのためにも、自分の長所や短所を理解し、実施途中に問題を
起こさないための事前準備を組織のメンバーを巻き込んで実施して
おくことが大切なのです。

まず、
・目標達成の鍵を握るのは自分だとシッカリ認識しているか?
・実施途中で発生しうる問題を充分予測できているか?
・実行部隊である組織メンバーとのニギリやコミュニケーションが
 充分出来てるかどうかを確認できているか?
などを、自らの責務として意識する必要があります。

★まずは、自分を客観的に見つめ直すことから

目標達成率向上の鍵=現状の課題に気付く

管理職というものは辛いものである、職責を課せられ、
上司と部下の狭間で四苦八苦、報われることも少ない、
そういう中で何か心の糧、自分を励ます心の支えが必要です。

リーダーシップとは『部下が安心して働ける場所を作る』ことです。
あなたの部下達 は、あなたの下で安心して働いているか?
命令で部下の体を動かせても、心を動かすことはできないのです。

管理職自らの変化が引き金となり組織全体の変化へと波紋が広がるように
繋がっていくのです。

そのためには現状の課題を、冷静に、客観的に(=第3者視点で)見つめ
直し、現状の問題を解決へ導くためや将来のための方向性を正すための
重要性をシッカリと認識することがスタートなのです。
そのために「360度評価」は重要な基本情報となります。

「360度評価」で特に重要となるのは、
1)管理職としてやるべきことを認識しているか?
2)目標や達成方法を関係者がシッカリと認識しているか?
3)実施段階での問題発見に充分手を尽くしてるか?
4)問題対応を充分フォローできているか?
等々の管理職自身のマインドや言動に落ち度はないか?を測ることです。

「スキル」を身に付けるには時間が掛かりますが
「マインド」は変えようと思えばスグに変えられます。
そのためには、自分自身の現状の課題を冷静に分析することが必要です。

何が不足なのかに気付く、何が悪かったのかに気付く、
何を期待されているのかに気付く、認識のギャップに気付く、等々。

上手く行かないことを誰かのせいにする前に
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 『合意形成ステップが勝利への鍵』       (2014.04.05)

 〜 !「合意形成ステップが鍵」ビジネスの勝率アップに必須! 〜

社長が「売上XX億円達成!」や「シェアXX%確保」等を幾ら叫んでも、
その目標達成のための道筋と自分の役割を組織メンバーが理解・納得して
いなければ、目標の達成確率は低いでしょう。

みんな頑張ってます。上記の野球の例のように、打率を上げ三振を取るように
必死で練習しています。しかし、成果を出すためのチーム力と戦い方という
<戦略>が抜けていたら、目標達成は遠いものとなってしまいます。

財務目標は具体的なのに、その財務目標を達成するために必要なことが
中間層以下の実戦部隊では具体的に理解出来ず、行動が中途半端になって
しまってはいませんか?そして、スピード感を持って実施されていますか?

最も重要な「ロードマップ策定ステップ」

一人でやれることならともかく、組織の目標達成のためには、
関係者の協力で一歩づつ成果を積み重ねることでしか成功できないのに、
役割分担や目標期限や達成方法が具体的でなければ、
目標だけがあっても達成できませんよね?

関係者間でシッカリと議論・検討した上で、目標達成への重要成功要因と
マイルストンを明確にし、関係者全員の<合意とコミットメント>
最も重要となるのです。

そこで鍵となるのが「ロードマップ(=戦略マップ)」の策定ステップです。

1)活動方針に対する関係者(キーマン)間の「にぎり」の場となる。

方針や重点施策を一般的には経営層だけで策定するため、下位管理者達
は「何故?その課題になったのか」「何故?その目標になったのか」が充分
理解出来ておらず、上下間で意識のズレが生じてしまう。
彼らを巻き込んで議論することにより結論が自分のものとなるのです。

2)「ステークホールダー視点」を意識する貴重な場となる。

「目的」と「手段」の「因果関係」を意識しながら検討が進められる。
例えば、お客様、代理店(特約店)、協力会社、実行部隊(従業員)など
彼ら「ステークホールダー」がその気になって協力・実行してくれないと
何を考えても実現しない。

3)単なる「スローガン(掛け声)」に終わらせず
  「4つの視点」の重要成功要因を具体論で検討できる。


「ステークホールダー」を意識した視点間における重要成功要因の因果関係が
求める成果に導きます。例えば、「品質の改善!」と標語ポスターを作って
叫んでも、「何を」「どのレベルで」「誰が」「いつまでに」「どうやって」などの
「5W2H」がシッカリと検討されていなければ、実現性に乏しい。
そして、この議論の中から自然と「役割分担」が明確になっていきます。

大切なことは「!面倒でも関係キーマン全員を巻き込め!」です。

「人(ヒト)」には「心」がある「感情」がある

目標達成を推進するためには、「理念・目的・目標を明確にする」、「具体的な
実行計画を明確にする」、「役割分担(責任者と担当者)を明確にする」、
さらに「どのような進捗状況なのかを評価し改善する」ことが必須です。

その時忘れてはならないのは『経営やビジネスは「人(ヒト)」が担っている』
こと、そして、『「人(ヒト) 」には「心」がある「感情」がある』ことです。

「ヤル気」「モチベーション」「使命感」「責任感」「協調性」等々が行動を左右します。
だから、いくら素晴らしいマネジメントシステムを作っても
「人(ヒト)」の「心」や「感情」も総合した「組織としてのパワー」が伴わなければ
「絵に描いた餅」となり結果は伴ってこないのです。

そのためにも「4つの視点」が基盤となるのです。

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 『組織の活性化への三種の神器<#2>』    (2014.03.18)

   〜 !「組織の活性化」への三種の神器<#2>! 〜

<#1>では、「目的の共有」、「主体的・自発的」、「協働」という三つが重要
であり、大きな方向性(=ビジョン)を示した上で「心のマネジメント」を中核
とした「SKILL/MIND/STYLE」の三位一体で体系立った継続的なアプローチが
必要だと述べた。

その上で今回は経営トップや部門長が意識してやるべき三点を述べようと思う。

◆常に変化を!

マンネリを防ぎ組織の活性度を保つためには、常に変化があることが重要。

常に新しい目標へ向かい新しい環境で新しいスキルへ挑戦すること。
それが当然のことになっていればマンネリは存在しない。
経営トップや部門長にとってコレを創り続けることが大きな仕事となる。

そのためにも組織は常に変化させることが必要です。
商品が変わる、マーケットが変わる、仲間が変わる、立場が変わる。

上手くやりきるには経営トップや部門長は大変です。市場を見るだけでなく
組織を構成する個人の状態(モチベーションやスキル)もシッカリ把握し
次に何を求めるのが良いか、会社にとって何が必要か、などを常に365日
考え続ける必要があるからです。

ただし、何も大きな変化が必要なのではありません。
小さな変化でも常に存在することが重要なのです。

◆強みを活かせ!

人間皆何かの「取り柄(=強み)」を持っている。
そして、本人も組織もその強みを知っていることで、相手を認め役割分担が
自然と出来るようになってくるのである。

そのためには、新規開発部長や提案書部長やトラブル部長や宴会部長など
何でも良いので彼や彼女が中心となれる立場を見つけることが大切である。
どんな小さなコトでも良い。こんなコトなら彼だ、コレなら彼女だ、と
自他共に認めることが重要です。

もちろん、何年も同じ役割ではマンネリとなり不満も出てくる。
そのためにも「常に変化を!」なのである。
常に新しいテーマや目標が出てくれば、組織の構成が変化すれば、
相応の新しい役割に変化していく。

クレグレも頭数で組織を構成しないようにしなければならない。

◆考え発言させる!

日頃から立場に関係なく色んな事を考え発言させることが重要。

自分自身のことはもとより、技術が営業に、工場が経営に、部下が上司に・・・
自分の立場に限定せず高い視点大きな立場から会社や組織の問題や取るべき
行動を分析し考えどうするべきかをまとめ発言する癖を付けておく。

そのためには、1)部門長や経営層は方向性と達成目標は示しても具体的な
行動は示してはならない、2)立場の違う者の意見を冷静に捉え肯定的に
検討できる組織風土の醸成が基盤となる、3)発言した本人は自分がその
立場になっても良いという気概を持って内容を検討する、ことが必要となる。

経験が無いから新奇なアイデアが出せる。立場が違うから色目で見ない。
ただし、単なる評論家的な意見は無視。
自分ならこうする、という実行策まで考えることで知識も増える。

今回は1)〜3)を実現するための詳細は次回以降に述べることにするが
コトの大小を問わず常に考えるテーマを与え続けることが必要なのです。

◆まとめ

忘れてはならないのは『経営やビジネスは「人(ヒト)」が担っている』こと、
そして、『「人(ヒト)」には「心」がある「感情」がある』ことです。

「モチベーション」「使命感」「責任感」「協調性」等々が行動を左右します。
だから、いくら素晴らしいマネジメントシステムを作っても
「人(ヒト)」の「心」や「感情」も総合した「組織としてのパワー」が伴わなければ
「絵に描いた餅」となり結果は伴ってこないのです。

再度書きますが、「活性化した組織」とは、「組織本来の目的を組織構成員が
共有し、主体的・自発的に協働しながら達成しようとしている状態」をいう
のです。それには、「戦略的」&「継続的」なアプローチが必要なのです。

★上記に興味を持たれたら<#1>も読んでみてください。
 『「組織の活性化」への三種の神器<#1>』
  「目的の共有」、「主体的・自発的」、「協働」が基本
   ==> http://www.tru-solutions.jp/tru-190.htm#027

 『組織の活性化への三種の神器<#1>』    (2014.03.18)

   〜 !「組織の活性化」への三種の神器! 〜

「組織の活性化」といっても、ただ社員の元気が良いだけでは、企業組織として
適切ではありません。「活性化した組織」とは、「組織本来の目的を組織構成員が
共有し、主体的・自発的に協働しながら達成しようとしている状態」と定義
されます。「目的の共有」、「主体的・自発的」、「協働」という三つが成し遂げ
られてはじめて「活性化した組織」といえるのです。

そのためにまず必要なことは、「納得できるビジョンや目標」を作り上げること
です。同じ仕事をするにも、誇りを持てるかどうかで大きく異なります。
そして、そういったビジョンを創り出せるリーダーを、いかに育成していくか
ということにもなるのです。

リーダーが現場のメンバーにビジョンをしっかりと伝える。そのビジョンが
共有されて「協働」に至ると、必ず成果へと結びつきます。そして、
最初は疑心暗鬼だった社員も、実際に成果を確認すると達成感や誇りや一体感
などが強化されていき「活性化サイクル」が生まれてくるのです。

「組織力」というのは、「ビジョン」で方向性を正しく保ちながら、「やる気
(モチベーション)」と「能力(スキル)」の掛け算で結果を最大化することです。

◆「ビジョン」を創り語れるリーダーの育成

まずは、将来へ向けた大きなビジョンを描けたり、一歩先んじて変化を察知し
それを説明したりできる人物を、リーダーとして育成していかなければ
なりません。これこそが、「次世代リーダーの育成」なのです。

現場のリーダーたちが変化の動向をかぎわけ、方向付けを考えトライし、
成功したものが組織内で育っていく。そういう現場発のイノベーションで
なければ、早い変化にはついていけません。

そのためにも、自らの課題を自ら導き出し、メンバーと一緒に行動できる
リーダーの育成が急務なのです。その意味では、一人の大リーダーではなく、
数多くの創造的リーダーを現場で育成していかなければならないのです。

◆正しい人材育成の考え方

組織は、自立・自発的に学んでいくように作り上げなければなりません。
それを作っていくのは、まさに現場のミドルマネジャーの人材育成力を
上げていくことこそ一番大切です。

「5年後にはこういう人材にしたい」という考えがあるのなら、タイミングや
様子を見ながら、その人にふさわしい仕事を任せていかなければいけません。
しかもその仕事は、ちょっと背伸びをさせることです。危険も伴いますが、
部下が失敗しても、上司が処理できるという範囲内で納めていく。
このようにOJTを進めていく体系を作っていくべきなのです。

ステップ自体は、決して難しいものではありません。
まずは、「部下に適した仕事を考える」こと。次に、「本人のやる気を喚起する」
こと。そして、「日々フォローしてやり切らせる」こと。
そして、「達成感を与える」こと。こういうやり方を確立することが、
人材育成のコツを身につけるポイントだと思います。

これらを継続的に諦めず続けることが出来るかどうかが成否の鍵なのです。

◆今こそ重要な「心のマネジメント」

企業(組織)におけるリーダーの役割(経営として期待されること)は、
・組織全体の目的/目標の達成のために
・対応すべき課題を明確にして
・その課題を解決/達成するための正しい実現可能なロードマップを策定し
・組織力の基盤となる組織リーダー自身の意識/言動の自己変革と
・組織メンバーおよび関係者のモチベーションと実行力を高める
ことになるはずです。
また、変化が激しく先の見えない時代においては、瞬発力も非常に重要です。

IT活用の進んだ時代になりチョットした会話もメールで済ますことが多く、
ノミニケーションも減り、上司との会話は減る一方になっています。
ですから、少ない機会を活用して、部下(関係者)との関係を深めその気にさせ
素早く行動に移させるためには、上司である管理職のマインドと言動の変革が
以前以上に重要となっているのです。

<SKILLは個別のテーマ>
SKILL(知識・技術)は、知識を学び習得し実践できるようになれば終わり。
個々の研修は一過性のものであり、常に次の段階や次の分野に進んでいく。

<MINDとSTYLEは永遠のテーマ>
MIND(意識・意思)やSTYLE(振る舞い・言動)は、その人の置かれた役割や状況
によって常に必要とされるものは変化する。つまり、自分の置かれた状況や
自分の心の現状を振り返り、自分自身のMINDやSTYLEを変えることにより、
周りの関係者のMINDとSTYLEを求める方向へと変化させることが常に必要と
なります。ですから、管理職にとっては永遠のテーマとなるのです。
そして注意すべきは、このポイントを本人任せにしてしまっている企業が
ほとんどだということです。

忘れてはならないのは『経営やビジネスは「人(ヒト)」が担っている』こと、
そして、『「人(ヒト) 」には「心」がある「感情」がある』ことです。


「ヤル気」「モチベーション」「使命感」「責任感」「協調性」等々が行動を左右します。
だから、いくら素晴らしいマネジメントシステムを作っても
「人(ヒト)」の「心」や「感情」も総合した「組織としてのパワー」が伴わなければ
「絵に描いた餅」となり結果は伴ってこないのです。

◆まとめ

人材強化(人材育成)は、経営の最重要課題のひとつであり、
会社を発展させていくために不可欠な要素です。
ヤル気のある(モチベーションが高い)社員を増やし、その人に対して
能力を伸ばすことができる機会を充分与えることが重要です。

「活性化された組織」のためには、「SKILL/MIND/STYLE」の三位一体で
体系立った継続的なアプローチが必要なのです。

★必要なステップを確実に実施できるようにファシリテート
 *組織全体のビジョン・戦略をきっちり策定(選択と集中)
 *それを下位組織・関連組織へ賢く展開(コミットメント)
 *経営層や部門長のみならず実務管理者レベルまでの意識改革を実施
 *PDCAサイクルを通じた実施改善活動を継続推進する仕組みを構築
   ==> http://www.tru-solutions.jp/projectWIN.pdf

 『ヒトに関わる諸制度は時代と経営戦略に合ってますか?』  (2014.02.24)

 〜 !あなたの会社の人(ヒト)に関わる社内規定は?大丈夫?! 〜

◆「時代や経営戦略に合わせた改定は必須です」

企業を取り巻く環境は、時代とともにめまぐるしい変化が生じ、その結果、
雇用形態や労働形態が変化し、ヒトの労働に関する価値観が多様化して、
企業経営のあり方に多大な影響を及ぼすようになりました。
この時代の変化に対応し、企業業績を向上させるための全てのキーワードは
『ヒト』です。

いくら方針や目標を明確にして関係するヒトのモチベーションを上げようと
しても、「働きやすい労働環境の整備」や「仕事がしやすい秩序の維持管理」や
「社員に対する処遇(待遇)の改善」への努力が伴わなければ望む成果に繋がり
ません。

今、御社では、現行の「人事・労務系の諸制度やシステム」に矛盾が生じたり、
問題認識を持ちながらも現状から脱却できずにいませんか・・・???

大企業では既に見直しが進んでいますが、中小企業では問題意識を持ちながら
全く手を付けられていない企業が多いのが実情ではないでしょうか?

しかし、各種法制度が目まぐるしく改正されつつあります。
現行制度のままでは、「法令違反」になったり、従業員の不満の要因や
業務上の問題の引き金になったり、最悪の場合には「訴訟問題」に発展する
可能性が大きくなることにもなります。
つまり、「知らなかった」では済まされない重要な「経営リスク」となるのです。

◆「コンプライアンス強化」の必要性

コンプライアンスが注目されている理由の一つに、食品偽装(原材料や
賞味期限、産地など)や、マンション耐震偽装問題、粉飾決算など、
企業の不祥事に関する報道が後を絶たないことが挙げられます。
消費者や顧客、株主、時には従業員をも欺き、裏切るような事件を起こして
しまうと、企業は消費者離れや顧客離れなどにより企業存続に多大な影響を
被るだけでなく、最悪の場合には会社が倒産に陥ってしまうなど、
法的な制裁及び社会的制裁を受けることになります。

上記のような事故を起こさない為に、
コンプライアンスとどう向き合っていけば良いのでしょうか?

不景気や過当競争などを背景に企業は生き残りをかけ、経営のスリム化や
業績拡大などの利益追求の姿勢が強く求められます。しかし利益追求に
傾きすぎてしまうと、コンプライアンス違反を取らざるを得ない場面に
直面する可能性があります。そこで倫理感が欠落した判断をしてしまうと、
目先の利益追求のためにルールを犯してしまうことになり、その結果、
会社の存続そのものを困難にさせてしまいます。また、消費者からの
安全性への要求の高まりなどの背景も加わり、企業におけるコンプライ
アンス強化は避けて通れない時代へと突入しています。

コンプライアンスの事故は、社内の些細な出来心から始まり、
それが気づかぬうちに大きくなってしまい、取り返しのつかない事態を
招く場合がほとんどです。

コンプライアンスの強化は、重大な問題発展への事前防止策としての
効果があることに加え、社会的信用度も高まり、クリーンで安心感を
顧客に与えることができ、経営の安定基盤の支えの一つとしての
戦略的活動でもあります。

「うちの会社に限っては大丈夫だろう」「これくらいのことは他社でもやって
いるだろう」「利益のためには仕方がないことだ」「1回くらいなら問題ない
だろう」「見つからなければ大丈夫だろう」・・・、ちょっとした気の緩みが
大きなコンプライアンス違反を発生させます。

コンプライアンスは経営者のみではなく、現場社員も含め当事者意識を
持った一人一人の意識が非常に重要です。そのためにコンセプトを明文化し
各種の規則(行動規範)を改定した上で周知徹底する必要があるのです。

◆「雇用契約書よりも就業規則等が優先される」って知ってました?

各種の法的規制や雇用形態の多様化から従業員を採用する際に雇用契約書
(または労働条件通知書・雇入通知書)をきちんと作成する企業が増えています。
雇用契約書を整備することは大切ですが、そういう会社が意外に
就業規則(給与規定含む)を全く整備せずにほったらかし状態であったり、
就業規則を従業員に全く周知していないと分かって驚くことがあります。

「雇用契約書を備えても就業規則が適当では安全とはいえません」と言っても
企業の経営者や担当者の方はピンとこないのかもしれません。

長年手をつけていない就業規則を改定するのは非常に大変な作業です。
それであれば従業員が入社する都度に雇用契約書を吟味して作成する方が
手間がかからないと感じるのかもしれません。

労働トラブルが起きた場合、就業規則の内容は雇用契約書よりも優先され
ます。いくら雇用契約書に労働条件を細かく定めていても就業規則と
矛盾するようでは意味がありません。

実際に見かける雇用契約書と就業規則の内容の矛盾点は以下のようなものです。
・雇用契約書で「退職金なし」としておきながら、就業規則では全員に
  支給されるととれるような記載になっている
・規定されている労働時間や休憩・休日が全く違う(雇用契約書では
 シフト制になっているが、就業規則ではシフト制については一切
 記載がなく、「9時〜18時・土日休み」のような一般的な規定だけが
 書いてある)
・雇用契約書では休暇は有給休暇のみだが、就業規則では様々な休暇が
 規定されている
・雇用契約書で試用期間が定められているが、就業規則では試用期間の
 規定自体が載っていない
・賃金規程に記載された手当の要件を満たしているのに、
 雇用契約書には記載されていない
・雇用契約書では年俸制となっているが、賃金規程には一切載っていない
・「パート雇用契約書」と書かれてあるが、パート就業規則は存在しない
「就業規則がきちんと整備されていなくて一番困ることは何か」と聞かれた
ときに真っ先に考えるのはやはり次の2つでしょうか。

雇用契約書に書いてあっても就業規則に記載がなければ効力のない事項は
少なくありません。
配転・出向などの会社の人事権、振替休日・代休の付与命令権、パソコン
使用履歴のチェック、従業員所持品検査などは全て就業規則に規定が
なければできません。

雇用形態が多様化し、正社員しかいないという会社は珍しいといえる昨今
パートや契約社員などの非正規従業員のことを考え、休職制度や賃金・賞与・
退職金制度などを正社員と分ける必要があるでしょう。

会社のリスク管理には秘密保持、セクハラ/パワハラ、社用車やマイカーに
係る規定は欠かせませんし、税務的には出張旅費規程は重要だと思います。

なお、就業規則の内容を変更する際ですが、従業員にとって不利な内容に
変更する場合は、従業員の同意なしに行うと後でトラブルが起きたときに
無効とされる可能性が高いので、くれぐれもご注意下さい。

◆社内規程類の改訂

会社の秩序を維持するためのルールである社内規程は、制定されたら終了
する訳ではなく常に改正・改訂を行って行く必要があります。
会社を取り巻く環境は社会的、経済的、法律的、その他様々な要因によって
常に変化していきます。
経営環境が変化しているにも関わらず、社内規程が作成された当時のまま
では会社を取り巻く経営環境と社内規程の間にズレが生じ、業務・仕事の
効率が低下する、従業員のモチベーションが低下し、経営コストが増加する
といったデメリットが発生します。

そこで、経営環境の変化に対応して社内規程を改訂して行く必要があり、
自社に適合するように、時代の変化に対応できるように改訂することが
重要です。

<見直しの手順(チェックポイント)>
 1.現規定と実態(あるいは、目的)との差異分析
 2.関連規定との整合性確認
 3.関連法令の整合性確認
 4.用字・用語の使い方
 5.追加条文と削除条文の確認

★「就業規則作成・見直しのポイント」厚生労働省

厚生労働省ホームページにおいて「就業規則作成・見直しのポイント」という
小冊子が公開されています。これは、全国社会保険労務士会連合会および
都道府県社会保険労務士会が厚生労働省委託の中小企業労働契約改善事業
として作成したものです。
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/dl/15.pdf

重要な条文については、留意点や検討事項が分かりやすく記載されており、
関連する法令や判例の情報についても項目として掲載されているため、
必要に応じ確認することができます。

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    当社提供の<人事・労務系の各種制度改革支援サービス>
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 『あらゆる場面に「ステークホールダー・マネジメント」-#3』  (2013.12.24)

  〜 !先手必勝の「ステークホールダー・マネジメント」! 〜
    「ステークホールダー」の「理解〜納得〜合意〜コミット」に
           基づかない活動は決して成功しない

前回までの#1と#2で「ステークホールダー・マネジメント」の重要性や
「ステークホールダー」の分類・定義について述べてきた。
特に、ビジネスの場面では「ステークホールダー」を「人(ヒト)」として考える
必要があることも述べた。

今回は、「ステークホールダー」を分類・定義した上で検討しておくべきことを
述べることにする。

★「役割」、「期待」と「ギャップの現状」

分類し具体的に定義した「ステークホールダー」の個々について、それぞれの
「役割」や彼らの視点での「期待」と「ギャップの現状」を考察する必要がある。

可能であれば、我々から見て「彼らがどうなって欲しいのか?」という
「我々の期待」と「ギャップの現状」も分析しておくべきである。

「ステークホールダー・マネジメント」は、「ステークホールダーの感じて
いるギャップ」と「我々の感じているギャップ」を目的に合わせてバランスを
取りながら低減させて行くことである。

全てのギャップへの対応をすべきだと言っているのではない。
ITプロジェクト等の場合には「顧客視点の期待」に対応する努力が重要
だろうし、コンシューマー商品の拡販等の場合にはブランディング活動等
で「顧客の期待」を先導することやマーケティング活動(ターゲッティング)
で「顧客の期待」に合った顧客を選択することが重要だろう。

つまり、目的が何か?によって進め方は異なるのです。

<分類例>==> http://www.tru-solutions.jp/StakeHolder_SAMPLE.pdf

★先手必勝(ProActive Approach)

「ステークホールダーの期待とのギャップ」や「自分(達)の期待とのギャップ」
を低減させるための「行動」を考えるとき重要になるのが「先手必勝(ProActive
Approach)」である。

問題の発生を防ぎ目標の達成を推進するためには、「顕在化している課題
(現在明確になっている課題)」のみならず「潜在化している課題(潜んでおり
見えない課題)」をもしっかりと捕らえていることが必要となる。
つまり、問題・障害や障壁をどれだけ予測し対応策を練っているかが
成功要因となるのである。

昔から駄目な営業マンの代表として「待ちの営業」が言われるが、
プロジェクト管理面でも「待ちのPM」が非常に多く見られるのは
大変ザンネンなことである。

自分達の「行動」の有無や量に左右される項目も有れば、「スキルや知識」に
左右される項目もある。組織的な「役割分担」に左右される項目もあるかも
知れない。そして、単純なコミュニケーションや意思疎通に左右されている
項目が案外多いのも事実だろう。

「想定外」を無くした「関係者の創意」で漏れの無い対応が、成果としての
達成率や満足度を高めることにつながる。
そのためにも優先順位(プライオリティー)の付け方が鍵となる。

★取るべき「行動」の決め方

仕事をしていれば、誰でも、普通ひとつは行動プランを持っている。
今まで通りで良ければ、ひとつくらいは対策が思い浮かぶ、しかし、
それではまずいから問題が起きている。
とすれば、スグに思いつく行動は捨てることが必要になる。

当り前のことながら、目指しているものを実現してこそ解決行動である。
解決案には、それがないと目的実現とはいえないもの(絶対に譲れない条件)
が実現できているかどうかを評価基準として、それを満たす対策の中から、
リソース(ヒト・モノ・カネ・時間・ノウハウなど)との兼ね合いで、
できれば望ましい条件がどれだけ達成できるかを勘案し、対策案を選択する。

「目的実現(目標達成)に向けたストーリーづくり」をどう設定するかも重要
だろう。そして、忘れてはならないのは、「最適な方法はヒトや組織の状態
により異なる」ということだ。自分の性格や人柄を抜きに最適な解決方法は
見つからない。結果を出す(目標を達成する)にも色んな方法があり、
組織風土や状態によって必要な対応策は大きく異なってくる。

そして、決定した「行動」も、メンバーの協力で一歩づつ成果を積み重ねる
ことでしか成功できないのだから、担当者、協力者、など関連する
「ステークホールダー」の「理解〜納得〜合意〜コミット」に基づかない活動は
決して成功しない。

★おわりに

上記で「ステークホールダー」と「ステークホールダー・マネジメント」の
重要性とキーポイントの概要を述べてきた。
最後に言いたいことは、シッカリとした分析と素晴らしい行動計画を作成
しても実行が伴わなければ「絵に描いた餅」となる。

「PDCAサイクル」がシッカリ回った実行と改善が伴い始めて効果を
発揮する。常に「目的」と「プライオリティー」を忘れない!!「5W2H」を
明確にした上で「情報共有」による「進捗管理」を実現していただきたい。

 <参考>#1、#2はコチラから
      ==> http://www.tru-solutions.jp/tru-199_SHM.htm

 『「仕事の出来るヤツ」は知っている<組織編>』  (2013.10.04)

 《〜!業務の効率化!<組織編> 「仕事の出来るヤツ」は知っている 〜》
     本来の仕事の時間を確保するために!共通のムダを徹底削減!

前回の<個人編>では、意識を持てば個々人が実施できることを書いた。
本編では、経営層や部門長が取り組むべき内容を書こうと思う。

何故なら、組織の仕組みとして産まれた『無駄(ムダ)』は、経営層や部門長しか
解決できないからだ。

★「ムダな会議は廃止!」

多くの会議は『無駄(ムダ)』ではない。
しかし、本来の仕事に振り向ける時間が減っていることに間違いない。
その会議に費やさせれている時間を減らし、少しでも本来の業務に使う時間を
増やすことが大切である。

しかし、少なからず参加者にとって「無益な時間が多い会議」が存在している
ことは否定できないだろう。

以下のような会議を徹底的に無くそう!

・目的の定まらない会議
  多くの定例会議がそれに当たる。
  報告や連絡事項以外が無いなら開催を取り止めよう。

・報告や連絡のための会議
  ICTの進んだ現代、報告や連絡はメールや企業ポータルで済む。
  会議をやらなければ連絡事項が周知徹底出来ないので必要だ、という
  なら、それは別な問題。やるべきことは他にある。
  (本件の解決策については、別に述べることにする。)

・当日に議題や検討資料が出てくる会議
  議論して決定するためには事前検討は必須。
  中途半端な検討や議論をしても時間の無駄。関係者が熟考してくる
  時間的な余裕を持って開催しよう。

・結論に5W2Hが無い会議:
  経営課題やプロジェクトの進捗を評価し、問題項目の実施改善を検討
  する会議なら、必ず改善活動に関しての5W2Hを明確にしよう!
  「改善をヨロシク」的な結論で済むなら会議は不要。
  何故なら、担当者自身は状況を充分認識しています。

会議は可能な限りやらない。どうしてもやるなら1時間以内で実施。
そのための準備や結果の方に注目しよう!

★会議の効率化は「主催者」と「司会者」から

以前にも書いたが、会議を開催するなら最低限やらなければならないこと
が3点ある。

・「目的とゴール」を明確に!
  そのための準備や進行を計画すること。
  例えば、「品質改善会議」と題した会議で、「改善の方向性までが
  決まれば良い」と考える人と「具体的な施策と担当者までを決めたい」
  と考える人がいた場合、「もっと問題点を探索すべきだ」と考える人と
  「優先順位の高い課題を早く解決すべきだ」と考える人が同時に意見を
  出し合うことになります。
  これでは、まとまる話もまとまりません。議論の内容が収束しても、
  どこかに不満を持つ人が出てきてしまう、ということになります。

・「開始時刻/終了時刻」を厳守!
  例えば、時間通り来ない人に着目しがちですが、来た人の時間の無駄
  を意識すべきです。慣れないうちは、時間が来たから終了、で良い。
  それで問題があれば、会議の時間数を読み間違えたか、準備や進行に
  問題があったわけですから、そこを改善していけば良いのです。
  いつも時間通り始まらないから開始時刻になってから動こうぜ、
  なんてなってませんか?こんな会社の社員は、行き当たりばったりで
  仕事をしているに違いありません。

・「話題を逸らさない」こと。
  意見の出方や問題意識の違いにより思わぬ方向に話が逸れて行ったり、
  主催者(部門長など)が関連ではあるが本筋から外れた意見を言うこと
  も多い。上司が「この機会だから言っとくが・・・」などと言い出したら
  止めるべきです。参加者の勇気ある一言で本筋に戻しましょう!

上記の3点は、全て「主催者(一般的に部門長や経営者)」や「司会者」の責任
なのです。また、会議を止めてみれば、必要かどうか分かります。

★「報告資料は完全撤廃!」

報告のための資料は本当に必要なのでしょうか?

今日何をした?進捗状況は?懸案事項は?などを書く営業日報や業務日報
は何のために存在するのでしょうか?
このような日報類に本来必要としている項目がシッカリ書かれている例は
非常に少ない。また、それを読んでいる上司がシッカリと対応している
ケースも少ない。

試しに上司に、何故書かせているのか?を聞いてみると。
日々の活動に問題が無いか?困っていること(懸案事項)は無いか?を見て、
問題があれば指導支援するために書いてもらっている、と言うでしょう。 

じゃあ、日頃の行動に問題が有りそうな部下は何人いるのでしょう?
困ったこと(懸案事項)が有っても上司に相談に来ないのですか?
と聞いてみると「そんな部下はいません。そんな部下指導はしていません。」
と答えてくる。

だったら、日報は要らないんじゃないでしょうか?
「業務上の慣習」や「会社の決まり(風土)」で書いているだけで、必要性は無い
ということになります。皆さんの会社ではどうでしょうか???

基本は、法的に必要な資料を除き!報告資料は完全撤廃!して
何の問題もないはずです。

★おわりに

一番の問題は、参加者や実担当者が「ムダ」だ(問題がある)と感じていても、
主催者や上司が「ムダ」だと思っていないことではないだろうか?
!コレでは改善(生産性や品質の向上)は進まない!

 『「仕事の出来るヤツ」は知っている<個人編>』   (2013.10.03)

 《〜!業務の効率化!<個人編> 「仕事の出来るヤツ」は知っている 〜》
     求められるのは「スピード感を持って質の高い成果を出せる人」

仕事をしていると色んな『雑音』が入ってきます。
それも『雑音』と意識していればよいのですが、案外意識していないのです。

仕事を効率良くこなすために必要なチョットした工夫があります。
誰でもスグに出来る効率化のポイントは、「中断」と「悩んでいる時間」を
減らすことです。

当たり前だと思って見過ごしている習慣、それは本当に必要なことですか?

★「メールソフトは常駐させない!」

ICT化が進むことによって、社内でもメールやSMSで会話や連絡を
取り合っています。

業務上で画面に向かって仕事をしている時間を別にしてPCや携帯端末に
向かっている時間が多くなっています。気になるから見る、見たら何か
反応をしたくなる、仕事に集中したい時、ブルブルするピンポ〜ンと鳴る。
個々はほんの少しの時間であっても、一旦ペースを崩されると元に戻るのに
結構な時間が掛かります。チリも積もれば山。コレが問題なのです。

仕事を効率良くしたいなら、
・メールソフトやブラウザなどを常駐させない!
・スマホ(携帯)は電源を切る!
・SNSからの自動転送はしない!
そして仕事の切りが付いた1〜2時間毎に見れば良いのです。

「重要なメールが来たらどうする?」と心配する人が中にはいますが、
「大至急!緊急事態!」をメールで送ってじっと待ってる上司やお客様を
見たことがありません。心配無用!ほとんどの重要&緊急な要件は、
会社の電話に掛けます。まして、facebookやTwitterなどはもってのほか!

★「上司に邪魔されるな!」

何かの作業をしている時に上司から「ちょっといいかな?」と声をかけられて
作業を中断した経験はありませんか?

で、その内容は、「仕事の進捗確認」だったり「新しい仕事の依頼」だったり
するわけですが、その上司との話(打ち合わせ?)のために仕事が中断したり
新しい仕事の準備のために全ての段取りを変更したりする必要が生じて
しまいます。

これらも仕事のウチで仕方ない、という言い訳で「仕事をしている気分」に
なっていませんか?

トラブルでもない限り1分1秒を争うことはマレです。上司は無論のこと
例えお客様からの連絡でも同じことです。連絡の意図を確認したら緊急事態
でなければ「10分後(状況や内容によっては、30分後)に御連絡します」
と答えよう。そして、その時間内に今の仕事の切れ目まで進めるのです。
もちろん、誰のどんな連絡で何をしなければならないのかを忘れないために
メモを取ることは忘れてはいけません。

このことによって、今の仕事に対する集中力を保持するのです。

★「スグ開始する癖を身に付けろ!」

仕事をする時に「納期を気にしています」よね?

例えば「来週の水曜日の会議でXXを報告してくれ」と頼まれたら、
たいていの場合、「来週になったら作業をしよう」と考えます。
つまり、「来週水曜日までに、もし何か起こったら?」とは考えず、
この依頼を「今週は忘れていて良い」と考えてしまいます。

運良く「何も起こらなければ」間に合うはずが、もしも「何かが起こったら」
間に合わなくなります。そうでなくても、来週になったら「思い出す」手間が
掛かるので、サッサとやってしまいましょう。

仕事は先送りせずに、「スグやる!」だけ。
何にどの位の時間が必要なのかを見極め、各種手配を含めて準備しよう。
そうすれば、ずいぶんイライラ感から解放されるはずです。

★仕事は「作業別に時間予測を!」

仕事の出来ない人ほど「手一杯で」とか「XXがありまして」という言い訳を
します。そんな人は「時間の使い方の下手な人」です。仕事が一杯なのでは
なく、頭の中が整理されてなく、無駄な「雑音」で一杯なのです。

足りないのは「時間の余裕」ではなく「心の余裕」です。

「アレはいつまでだっけ?」「アレも必要なのかなあ?」「まだ、アレが出来て
ない」「コレはどうしようか?」・・・などとばかり考えてしまっています。
こんなことは考えるだけムダです。

この作業はどんな手順でやるのか、各ステップはどれ位の時間が掛かるのか、
を考え、どのステップをいつまでにやっておかなければならないのかを
シッカリと考えておきましょう。

そして、会議のための資料なら、必要な前日には関係者に渡しましょう。
せっかく作る大切な(たぶん?)資料です。必要な人に読んでもらわなければ
意味がないのですから。

★チョットした工夫と努力が効率化の原点

「仕事の出来る人」とは、「スピード感を持って質の高い成果を出せる人」
のことです。だらだらとするのではなく短時間で集中して実施すること。
コレが「仕事の出来るヤツ」がやっていることなのです。

 『あらゆる場面に「ステークホールダー・マネジメント」-#2』 (2013.09.26)

 重要な「MSM=マルチ・ステークホールダー・マネジメント」
   あなたの周りの色んな立場の「人(ヒト)」=「ステークホールダー」

CS(顧客満足/Customers Satisfaction)やES(従業員満足/Employees
Satisfaction)が叫ばれて久しい。また、CSR(社会貢献/Corporate
Social Responsibility)として環境や地域社会への貢献度も重要視される
ようになってきている。

これらは全て「ステークホールダー」を重要視する視点から出てきている。

企業がモノを製造販売したりサービスを開発提供したりする場面で
その成功のためには多くの「関係者=ステークホールダー」の協力と満足が
必要となります。

しかし、現実では何処まで意識しているのでしょうか?

作ることが目的になっていたり、売ることが目的になっていたり、
パートナーは意見を聞いてもらえず下請けイジメの状態になっていたり、
等々の多くの問題が顕在化したり潜在的に発生したりしているのです。

単にCSやESを追いかけたりするだけでは足らないのです。
ですから、複数の多くのステークホールダーを分類整理した上で、
目的や状況に対応した正しい戦略的な行動を取ることが重要なのです。

★具体的な定義と準備が肝心

同じ「ステークホールダー」でも通常の場面とトラブルなどの問題が発生した
場面では考慮すべき要素は異なりますよね。ですから、一回分析して方針を
決めたからOKというわけには行かないのです。

なので、「ステークホールダー」を詳細に分類しておいて、場面に応じての
確認や要素の再分析をしたうえで行動の決定や変更が必要なのです。

あなたに関わる色んな立場の「ステークホールダー」を、
「人(ヒト)」として考えてみよう!!影響を及ぼしたり、影響を及ぼされたり
する相手は、全て「ステークホールダー」の候補となる。

あなたに直接・間接に関係する周りのヒトの立場に立った視点(目線)で
ものごとを考え行動しなければ、自分の勝手な思いでの考えや行動では
良い結果に繋がらない。

出来るだけ具体的に、詳細に、役割別に、定義していく。

立場によってニーズ(希望・要求)が大きく異なるので、
顧客やパートナーなどのように大雑把に一括りにしないことが大切です。。
例えば:顧客のシステム部長、顧客のPM、顧客の当社への窓口担当者、
顧客のプロジェクト担当者、顧客の経営者、顧客のエンドユーザ、・・・
(関係者が少ない場合には、個人名まで分解するのが望ましい。)

<あなたの周りの色んな立場の「人(ヒト)」=「ステークホールダー」>
 A:「あなたに直接的に影響を及ぼすヒト」
 B:「あなたが直接的に影響を及ぼすヒト」
 C:「あなたと一緒に行動するヒト」
 D:「あなたが常に意識すべきヒト(間接的な関係)」
 E:「あなた自身」  ※「あなた」は複数の場合も多い。

直接的な関係(接点)が有る場合は忘れないだろうが、
上記の中でも忘れがちなのが間接的な接点となる"D"の立場のヒトである。
例えば、"A〜C"のヒトの家族、顧客の経営層やエンドユーザ部門長、
直接関係しない部門のヒト、機器のサプライヤー、・・・

通常場面では意識する必要が無くとも、問題の引き金になったり、
直接関係者の働きに影響が出たり、することがあるヒトをシッカリと
因果関係を明確にして分類・定義しておく必要がある。

つまり、「ステークホールダー」を具体的に定義しておくことにより
行き当たりばったりの対応を防ぎ、問題の発生を未然に防いだり、
見えなかった問題が見えてきたり、成果を確実に出せるようにしたり、
することが出来る。

<分類例>==> http://www.tru-solutions.jp/StakeHolder_SAMPLE.pdf

★「人(ヒト)」には心がある、感情がある、体調もある、・・・

「ステークホールダー」を「人(ヒト)」として考えると、もう一つ忘れては
ならないことは、「人(ヒト)」には心がある、感情がある、体調もある、
ということです。そして、重要なのは、あなたが気にしようがしまいが、
それらは常に変化していることです。

例えば、「部下」と一括りにしない。
ヤル気のある部下、ヤル気の無い部下、順調に成果を出せている部下、
なかなか成果のでない部下、体調の悪い部下、家族に問題を抱える部下、・・・

このように分類することにより、具体的にA君はどんなカテゴリーか?
B君はどうだ?などとイメージしやすくなるのです。

                                              #3に・・・つづく

 『【目指せ!勝率アップ】打率アップじゃダメなんです』   (2013.09.20)

 《〜 !『勝率アップ・プロジェクト(Project-WIN)』! 〜》
          勝負は選択と集中と実行力
  ==> http://www.tru-solutions.jp/projectWIN.pdf

プロ野球チームを率いる時、選手が打つ技術の向上つまり打率を上げること
だけに集中していたらどうでしょうか?それで勝てると思いますか?

単にヒットを打つ技術だけでなく、バントの技術や犠牲フライの技術や
盗塁を支援する技術も必要ですよね?もちろん10割の打率が現実的なら
ヒットを打つことだけに集中しても良いでしょう。
しかし、10割打率が現実的でないのですから、勝つためには色んな技術が
必要となります。もちろん、攻撃の場面だけでなくピッチャーや野手などの
守備についても同じ事が言えると思います。

一般的な目標は「シーズンをリーグトップで終える」ことですよね。

その目標のために、競合チームと自チームを分析し、どのように戦うかを練り
最終的に監督が方針(戦略)を決め、選手の強化方針へと展開されるのです。
その強化方針に従ってコーチが指導支援し、選手自身が精進努力するのです。

この目標〜方針を軽んじたり忘れて、ピッチャーが三振を取ることばかりに
気が行ったり、打者がホームランを打つことばかりを狙ったとしたら、
どうでしょうか???

現状のチーム力を何処まで上げれば年間シーズンをリーグ何位で終えることが
出来るのか?万年下位チームなら上位3チームを狙うでしょうし、上位チーム
ならトップを狙うでしょう。急に何倍もの力が備わる訳ではないので、無謀な
目標を掲げれば選手のモチベーションをかえって下げる結果にもなりかねません。

現実的な最高のチャレンジ目標を設定し、それを現実にするためのチーム力を
想定します。ひょっとしたら競合チーム毎に戦い方は違います。何処のチーム
に対して何割の勝率で行けば良いのか?それは現実的か?どうしたら現実的に
なるのか?例えば、打たせない戦略、守備で勝つ戦略、足で翻弄する戦略、等々
場面毎に想定し、そのために各選手がどんな能力(メンタル面を含む)を強化
すべきかを決定して実行しなければなりません。

全打者がイチローで、全ピッチャーがダルビッシュなら良いのですが、
そんな訳もなく、自チームの持てる力(各選手の能力)を100%活用するための
戦略が必要です。そのためには、選手個人の技術やモチベーションだけでなく
チーム全体のモチベーションを上げるためのメンタルケア(組織風土革新)が
監督やコーチの重要な役割となります。

現実のビジネスの世界でも同様であることは周知のことだと思います。

しかし、社長が「売上XX億円達成!」や「シェアXX%確保」等を幾ら叫んでも、
その目標達成のための道筋と自分の役割を組織メンバーが理解・納得して
いなければ、目標の達成確率は低いでしょう。

みんな頑張ってます。上記の野球の例のように、打率を上げ三振を取るように
必死で練習しています。しかし、成果を出すためのチーム力と戦い方という
戦略が抜けていたら、目標達成は遠いものとなってしまいます。

<STEP-1> 事業環境の分析〜目標設定
<STEP-2> 目標達成のためのロードマップの策定と浸透
<STEP-3> チームビルドのための能力向上策や風土革新策の実施

勝率アップ・プロジェクト】==> http://www.tru-solutions.jp/projectWIN.pdf

あと半月で下期に入ります。年間目標の達成へ向けて重点課題の絞り込み、
具体策検討等のステップは充分できてますでしょうか?漏れはありませんか?

財務目標は具体的なのに、その財務目標を達成するために必要なことが
中間層以下の実戦部隊では具体的に理解出来ず、行動が中途半端になって
しまってはいませんか?そして、スピード感を持って実施されていますか?

一人でやれることならともかく、組織の目標達成のためには、
関係者の協力で一歩づつ成果を積み重ねることでしか成功できないのに、
役割分担や目標期限や達成方法が具体的でなければ、
目標だけがあっても達成できませんよね?
関係者間でシッカリと議論・検討・合意することが必要なのです。
そのためにも、目標達成への重要成功要因とマイルストンの明確化と
関係者によるコミットメントが大変重要となるのです。

目標達成を推進するためには、「理念・目的・目標を明確にする」、
「具体的な実行計画を明確にする」、「役割分担(責任者と担当者)を明確にする」、
更に「どのような進捗状況なのかを評価し改善する」ことが必須です。

その時忘れてはならないのは『経営やビジネスは「人(ヒト)」が担っている』
こと、そして、『「人(ヒト) 」には「心」がある「感情」がある』ことです。

「ヤル気」「モチベーション」「使命感」「責任感」「協調性」等々が行動を左右します。
だから、いくら素晴らしいマネジメントシステムを作っても
「人(ヒト)」の「心」や「感情」も総合した「組織としてのパワー」が伴わなければ
「絵に描いた餅」となり結果は伴ってこないのです。

当社のワークショップは、「環境分析」「SWOT」「問題抽出」から
「重点課題」へ絞り込み、その課題を解決(達成)するために効果的な
「重要成功要因」を選択し「実行計画」を策定する各ステップを効率良く
実施しビジネスの勝率を上げるための仕組みを提供します。

――――――――◆!勝負は選択と集中と実行力!◆―――――――――

★当社の提供する『勝率アップ・プロジェクト(Project-WIN)』では
必要なステップを確実に実施できるようにファシリテートします。

*組織全体のビジョン・戦略をきっちり策定(選択と集中)
*それを下位組織・関連組織へ賢く展開(コミットメント)
*経営層や部門長のみならず実務管理者レベルまでの意識改革を実施
*PDCAサイクルを通じた実施改善活動を継続推進する仕組みを構築

具体的なプロジェクトの構成や実施項目は、目的により異なります。
御社の状況やニーズに合わせて最適な進め方を御提案いたします。
当社までお気軽にお問い合わせください。

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      3)全て・・・実践に即結びつくコミットメント型
      4)全て・・・小難しい理論排除のシンプル型
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 『あらゆる場面に「ステークホールダー・マネジメント」-#1』   (2013.08.28)

 《〜 !バランスが重要な「ステークホールダー・マネジメント」! 〜》
      具体的に定義し目的(目標)達成のために何と何をどうバランス
      させるのかを分析することが重要

「ステークホルダー(stake-holder)」とは?

企業・行政・NPO等の利害と行動に直接・間接的な利害関係を有する者を指す。
また、日本語では利害関係者という。具体的には、消費者(顧客)、従業員、
株主、債権者、仕入先、得意先、地域社会、行政機関などを指す。
(Wikipediaより)

一般的に企業などで「ステークホールダー」と呼ばれる場合は、CSRとの関係
で扱われるケースが多く、また企業サイドから見て『外部』を中心に指すよう
だが、その場合、一般的に「お客様」「従業員」「取引先」「地域社会(環境)」「株主」
など大雑把なくくりになっている。

あらゆる場面に必須の「ステークホールダー・マネジメント」

企業や組織が事業目標を達成しようとしたり、プロジェクトの成功のためや
問題の発生を防いだり問題を解決しようとする時、「ステークホールダーが
誰なのか?」「ステークホールダーの期待とのギャップは何なのか?」を
明確にし「そのギャップを埋めたり回復したりするための施策を実行する」
ことが必要となります。

つまり、合意を形成し、「ステークホルダー」の期待(要望)に適切に対処し、
コンセプトや施策を幅広い実行可能な選択肢へとつなげて組織の目標を達成
することは、現代のマネジメントにとって欠かせないことなのです。

この場合の「ステークホールダー」は、『外部』ばかりでなく『内部』を含めて
明確に定義しておく必要があります。

以下は、「ステークホールダー」を意識した一般的なPDCAサイクルです。
1)意思の決定=何をどの位売りたいのか?なりたい状態は?など
2)誰がステークホールダー(=利害関係者)なのか?
3)そのステークホールダーの期待(要望)は何か?
  その期待(要望)の現状値は?
4)目的達成のためにバランスを考慮し何から取り組むべきか?
  完了時の期待(要望)値の目標は?
5)行動の結果の検証=期待(要望)値の目標とのギャップは?
  必要な行動改善は?

バランスが重要な「ステークホールダー・マネジメント」

「ステークホールダー」の『幸せの追求』あるいは『満足度の追求』が重要
であり、そのためにも常に「ステークホールダー」を意識した行動をするべき
である、と言われる。しかし、本当にそうだろうか???

例えば、「お客様(顧客)」と「従業員」の関係において、
・顧客満足を向上させるために、従業員満足が犠牲になっている
・「会社の都合、社員の都合」を顧客に押し付け、顧客満足を低下させている
・「顧客ニーズ」を追求するあまり、「自分が売りたい商品・サービス」を
 見失ってしまっている
などのような本末転倒の状況になっていないだろうか?

営利を追求する企業(株式会社)にとって、まず意識すべきことは、
売上・利益の継続的な拡大・成長のために、
「ステークホールダー」を『不幸にしない』あるいは『不満を減らす』こと
である。過度の『幸せの追求』や『満足度の追求』は間違いの基となる。

目的(目標)の達成のために「ステークホールダー」の犠牲を無くし、
利益を少しでも多く提供する、というのがやるべきことだろう。
だとしたら、「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」の選択になる。

つまり、将来の利益のために今は利益を食いつぶしてでもブランド価値を
向上させるための投資をしよう、顧客の信用を回復するために従業員の
給与アップを我慢してもらって品質向上に積極的に投資しよう、節電に
協力するために休日振り替えを実施しよう、等々・・・中長期的な視点で
事業継続と継続的な拡大・成長のためにバランスを考慮した戦略の立案が
重要になるのです。

全ての「ステークホルダー」を詳細に洗い出し、目的(目標)との因果関係を
分析し、目的(目標)達成のためにどうプライオリティーを付けるのかを
十二分に吟味する必要があるが、そこまで掘り下げているケースが
どれだけあるだろうか?

例えば、「お客様」といってもお客様の立場によって千差万別な「期待(要望)」
がある。だから、総花的な「顧客満足度の向上」では駄目で、具体的に「お客様」
を分類し、各々の『利』と『害』を明確にすることが第一歩となります。

言い換えれば、目的(目標)の達成のために何と何をどうバランスさせるのか
が非常に重要となるのです。
                                              #2に・・・つづく
 『現場は間接部門が嫌いなのか?』    (2013.07.30)

 《〜 !解消すべき現場と研修担当部門との乖離! 〜》
      「人材育成」は戦略的に!継続的に!

「人材育成」と聞いてイメージするものが、
現場と人事や研修担当部門で違っているかもしれない。

★「人材育成」と「部下指導」は違う?

多くの現場の管理監督者が、現場では「人材育成」はしていない、と思っている。
もちろん、現場で上司がプロジェクトに関わったり、営業に同行したり、
面談や指導をしているし、その結果として、部下の能力が向上している。
つまり、「人材育成」が日常的に行われているわけです。

しかし、彼らにしてみれば、それは「部下指導」であって「人材育成」ではなく、
「人材育成」は人事や研修担当部門がやることだと考えている。
私から見れば、「部下指導」も「人材育成」も同じことなのに、あえて言葉を
使い分けているのです。
このことから、現場は「人材育成」は研修などで知識を付与することで、
実践に役立つものは指導を通してしかできないと考えているのかもしれない、
と思います。

では、それぞれはどう思っているのだろうか?

<現場側の管理職の人達>
・現場のことを分かっていない、
・現場のニーズにあった教育や研修を提供してくれない
オレ達は忙しい、間接部門がもっと責任を持って人材育成に取り組むべきだ!

に対して、人事や研修担当部門の人達は、
<人事・研修部門の人達>
・目先のことばかりで中長期的視点に立った人材育成に取り組まない
・教育研修に積極的でない(時間を割かない/我々に任せっぱなし)
現場が協力的に動いてくれなきゃ成果は出ないと分かってるはずなのに!
と思っている。

そして、双方を束ね事業目標達成のために支援する立場の経営層も、
<経営層の人達>
・人材育成こそ企業基盤の最重要項目だ
 中長期的な目標達成のため人材育成にもシッカリ取り組んでくれ
・短期的な視点ばかりでなく将来への人的投資も積極的にやるように!
と言いながら、結果はまだか?、とスグ要求する。

★「人材育成」は戦略的に!

現場は、せいぜい3〜6ヶ月先しか目が行かない。
だからこそ、前メールでも述べた「戦略的」に実施することが必要なのです。

つまり、短期的な視点も重要だが、会社の中長期事業戦略に沿って、
人材の育成に取り組む必要があるのです。社会が変わる、市場が変わる、
会社が変わる。先を見た人材の育成が必要な訳です。

現場は、現在の業務をつつがなく完成させながら、次ステップのための準備を
シッカリと実施しなければならない。この両方の仕事が現場管理監督者の責務
であると充分認識させる必要があるわけです。

いま役立つ人材と将来役立つ人材の質は異なります。
一朝一夕に人材は育たない、だからこそ現場と人材開発部門が協力して
将来の現場を背負ってくれる人材を育てる努力が必要です。

コレが「人材育成は戦略的に」と言っている理由なのです。

★研修をやりっ放しの理由

研修で学んだことを現場で実践させないことが多いのには2つの理由がある。

1)上司達が研修内容を知らないか、研修後の現場側の役割を認識していない
2)フォローアップを含めて人事や研修担当部門でやるべきだと思っている

「人材育成」は研修場面だけで行うのではなく、現場で実践を通して学んだり、
機会を作ることでも行える。そのためにも部門の垣根を越えた横断的な
ネットワークを構築し、組織全体で業績にコミットすることが重要。

そのためには、人事や研修担当部門が現場の管理職達とのハイブリッドな関係
(協力関係)を構築し、研修の前後を通じて研修で学んだことが実践され
経営や現場が期待する成果(=最終的には業績向上)に繋がるような
指導や支援を現場側で実施するようにしなければならない。

 『人材強化(人材育成)は体系立って戦略的に−#2』   (2013.07.09)

 《〜 !重要な「SKILL/MIND/STYLE」のバランス! 〜》
     常に自分も周りも変化する、だから必要な!定期的な「360度評価」!

前回(#1)では、以下の2点を述べた。
1)階層ではなく個人に目を向け長期的視点で体系的に取り組むことが大切
2)SKILL(知識・技術)系研修ばかりでなくMIND(意識・意思)やSTYLE(振る舞い
  ・言動)の変革を促進する研修も取り入れバランス良く実施することが大切

では、何を最初に取り組むべきだろうか?

誰にでも共通で必要なのは、現在の自分の役割や立場を理解すること。
そして、その役割や立場を遂行するために「何が必要で何が欠けているのか?」
を知ることです。

★「360度評価」で気付く「鏡に映る自分の姿」

ヒトは得てして自分を見るのが不得意です。自分を美化したり、自分を卑下
したり、自分の問題点を頭では分かっているつもりでも、その必要性を重く
感じない限り、自ら変化のための努力をすることは非常に難しいのです。

その気付きを促進するために「360度評価」が効果的です。

身近な周囲の人達からの期待や不満を知り「自分が思っている自分の姿」と
「周りが感じている自分の姿」との「差(ギャップ)」をシッカリと理解することが
出来るからです。

「組織はヒトなり」と言われますが、そのヒトとは組織のリーダー(トップ)に
他なりません。組織風土を作りメンバーのマインドを上げるも下げるも
組織のリーダー(トップ)のマインドと言動次第なのです。

まずは自分の現在の姿を「360度評価」で冷静に見つめることが、
変革のスタートラインとなります。
そして、・・・
「価値観のギャップ」、「目標のギャップ」、「期待のギャップ」、「行動のギャップ」
これらの「ギャップ」を無くすことが管理職が成すべき最重要事項となります。

★重要な「双方向での意思疎通」

まず相手を認め「相手との差(ギャップ)」を認識することがコミュニケーション
の第一歩。一方通行の会話ではコミュニケーションとはならない。

私の経験からも、自分の欠点や弱みを隠そうとする上司に絶対共感は持てない。
自分の欠点や弱みを素直に認め、「チームとしてこうやって行きたい、協力して
欲しい。君に頼みたい役割はコレだ。」と言えば良いのです。

何も、「上司は居直っても良い」と言ってるのではありません。

項目を明確にして「可能な限り改善努力をする」と宣言することも必要です。
その場合、関係者から改善努力が見えるような項目を選択することが大切です。
上司が努力してるのを見えたら部下は動かざるを得ません。

コレが「STYLE(=管理職の言動)の変革」です。

★自分よりできるヒト(人物)を発見する

全ての面で優れているヒトも、全ての面で劣っているヒトもいない。
ある側面を見ると必ず自分より優れている面が存在します。
それを発見し、そのヒトに合った役割をアサインすることでヒトは力を発揮し
成果を出すことが可能となります。

その場合、営業力とか技術力とかいった大雑把なつかみ方ではなく、
行動力がある、話に説得力がある、新商品が得意、こんな顧客には強い、とか
プログラミングは駄目だが整理整頓はできる、話下手だが文章力がある、など
宴会になると盛り上げ役になる、組織内の情報通、等々まで広げて定義して
みると良い。

個々のヒトの強みが定義できたら、その人の活躍できる場面を想定する。
そして次は、どうやったらその場面で活躍できることが本人の喜びにつながるか
を考える。ほとんどにヒトは、上司にできなくて自分の方が強いことに関して
否定的にならない。つまり、コレが価値観や目標の統合です。
それにより、モチベーションが高まり、達成意欲が増し、行動が伴ってくる。
そして、上手く行ったら「ほめる」ことも忘れてはいけない。

結果として、管理職は自分が動かなくても色んなことを上手く動かせるように
なるので、管理職にしかできないことや管理職がやるべきことに集中できる
ようになるのです。

★最後に

具体的に何から取り組むべきかは個人によって異なります。
しかし、「360度評価」を定点観測として継続的に実施することによって、
組織や個人の変化を感知し、以前の取り組みの成果を評価できます。

キーワードは、「階層より個人」「周囲とのギャップ」「双方向コミュニケーション
各人の得意分野」です。そして、「体系的」&「継続的」なアプローチです。
そのためにも「SKILL/MIND/STYLE」のバランスが必要なのです。

 『人材強化(人材育成)は体系立って戦略的に−#1』   (2013.07.03)

  《〜 !人間力強化に重要な「SKILL/MIND/STYLE」! 〜》
     個人に着目し、技術系(知識系)に偏らない人材育成の実施を!

人材強化(人材育成)に対して常に疑問を持つことが2つあります。

1)教育研修が単発で行われており、フォローアップもほとんどされていない
  =思いつきで研修のやりっ放し
2)技術系(知識系)の教育研修に偏っており、個人ではなく層を対象としている
  =「SKILL/MIND/STYLE」のバランスを無視

そうなってしまっている最大の原因は、
人事や人材開発と呼ばれる教育研修担当部門が、本来の人材開発や人材育成を
目的とせず、単に研修の企画運営部門になってしまっていることだと言える。

★個人に着目し時間をかけてでも体系的に

中小企業の場合、教育研修の提供が限定的なものであり、体系もなく
業務直結の技術系(知識系)のものが中心となってしまっている。
大企業は、体系は有るものの層を対象としたキャリアプランに留まっている。

特に中小企業や零細企業の場合、集中的に教育投資をすることは困難な場合が
多いと思われますが、だからこそ、層ではなく個人に着目して
中長期的な視点で御本人も納得ずくで体系立って進めることが大切なのです。

最近多くの会社で取り入れられている研修方式は、全員一律の研修を極力廃止
して、受講者が複数の研修コースから自由に選択するメニュー選択方式です。
しかし、研修会社へ丸投げになっっているケースが多く見られるので、
自社固有の部分の研修を自社で企画実施し、それ以外の研修は社外に発注する
ような工夫が必要でしょう。

しかし、いくら充分な教育の機会を準備しても(メニューを多くして選択
できるインフラを作っても)研修内容に対するプライオリティー(優先順位)が
間違っていたり受講への積極性が欠けていては身につかない。

今何が自分に欠けていて今後何が必要となるのかを、上司と共に充分検討した
上で優先順位を明確にすることが効果を上げるために必要となります。

★重要な「SKILL/MIND/STYLE」のバランス

企業(組織)における管理職の役割(経営として期待されること)は、
・組織目標の達成のために
・解決/対応すべき課題を明確にして
・その課題を解決/達成するための正しい実現可能なロードマップを策定し
・組織力の基盤となる組織リーダー自身の意識/言動の自己変革と
・組織メンバーおよび関係者のモチベーションと実行力を高める
ことが成功要因となるはずです。

変化が激しく先の見えない時代においては、瞬発力が重要となります。
そのためには、効果的な役割分担と実行計画を策定する必要があります。

IT活用の進んだ時代になりチョットした会話もメールで済ますことが多く、
ノミニケーションも減り、上司との会話は減る一方になっています。
ですから、少ない機会を活用して、部下(関係者)との関係を深めその気にさせ
素早く行動に移させるためには、上司である管理職のマインドと行動の変革が
以前以上に重要となっているのです。

しかし、ほとんどの企業では、いまだに技術向上系(知識習得系)研修が中心で、
「モチベーション向上」や「マインド変革」のための研修は重要視されていません。
技術向上系(知識習得系)研修が不必要だと言っているのではなく、バランスが
必要であり、今の時代にこそ!重要!だと言っているのです。

<SKILLは個別のテーマ>
SKILL(知識・技術)は、知識を学び習得し実践できるようになれば終わり。
個々の研修は一過性のものであり、常に次の段階や次の分野に進んでいく。

<MINDとSTYLEは永遠のテーマ>
MIND(意識・意思)やSTYLE(振る舞い・言動)は、その人の置かれた役割や状況に
よって常に必要とされるものは変化する。つまり、自分の置かれた状況や
自分の心の現状を振り返り、自分自身のMINDやSTYLEを変えることにより、
周りの関係者のMINDとSTYLEを求める方向へと変化させることが常に必要と
なります。ですから、管理職にとっては永遠のテーマとなるのです。
そして注意すべきは、このポイントを本人任せにしてしまっている企業が
ほとんどだということです。

管理職のリーダーシップ強化と求心力アップにつなげるためには、
「SKILL/MIND/STYLE」の三位一体で体系立った継続的なアプローチが必要なのです。

★最後に

人材強化(人材育成)は、経営の最重要課題のひとつであり、会社を発展させて
いくために不可欠な要素です。ヤル気のある(モチベーションが高い)社員を
増やし、その人に対して能力を伸ばすことができる機会を充分与える
ことが
重要です。そのためにも「SKILL/MIND/STYLE」のバランスが必要なのです。

※補助金(支援金)活用も検討対象に

厚生労働省、中小企業庁、地方自治体などで各種の補助金や支援金が
提供されていますので、上手く活用することもコスト面では必要です。
各制度の特性(適用条件等)を理解したうえで、活用してください。

 『あなたの会社(部門)は会議が多すぎませんか?』   (2013.03.15)

  《〜 !会議を減らして『時間効率』と『モチベーション』を高めよう! 〜》
      ほとんどは「主催者」や「司会者」の責任、!あなた!は大丈夫?

会議とは「会って議する」場。大きくは「決めるための会議」と「アイデアを
出すための会議」と「情報共有のための会議」に分けることができます。
会議のスタイルは異なりますが、効果的な会議の持ち方には何点かのポイント
があります。

「退屈な会議」や「無駄な会議」と思われる会議に共通したポイントは、
1)開始時刻/終了時刻がいつも守られない
 ・全員揃うまで開始しない
 ・進め方がいい加減で堂々巡りの会議
 ・何処まで行ったら終わるのか分からない
2)ゴールが明確でない/ゴールが明確であったが全く達成できていない
 ・議題が事前告知されないない、目的やゴールがない
 ・話があちこちに飛ぶ、司会者の気分でころころ変わる
 ・議論するのに事前情報がない
3)目的と違った内容である
 ・情報共有なのに欠席者が多い(会議途中での出入りが許される)
 ・意見を出し合う場なのに1人(上司や経営者)だけが意見を言っている
 ・決める会議なのにいつも決まらない(決めようとしない)

会議を無くすにはたくさんのハードルがあるのだが、一般論として「無駄だ」
と言われる会議ではあるが、それぞれの会議の主催者は「自分主催の会議が
いらないものだ」とは思っていない。実際、たいていは会議が必要な事情が
それぞれそれなりにある。例えば「全体で2割の会議を削減しよう!」と
言ったところで、削減対象となった会議の主催者が困ってしまうだけだ。

結果、会議は無くならない。

★問題は「主催者」と「司会者」

会議を開催するなら最低限やらなければならないことが3点ある。

まずは、「目的とゴール」を明確にし、そのための準備や進行を計画すること。
例えば、「品質改善会議」と題した会議で、「改善の方向性までが決まれば
良い」と考える人と「具体的な施策と担当者までを決めたい」と考える人が
いた場合、「もっと問題点を探索すべきだ」と考える人と「優先順位の高い
課題を早く解決すべきだ」と考える人が同時に意見を出し合うことになります。
これでは、まとまる話もまとまりません。議論の内容が収束しても、どこかに
不満を持つ人が出てきてしまう、ということにもなりがちです。
また、関係者間の情報共有や議論が目的なら全員参加を徹底することが重要。
出なくて良い会議には誰しも出たくありません。
目的やゴールによっては、資料作成〜配布などの事前準備に余裕を持って
対応することも必要でしょう。

そして、「開始時刻/終了時刻」を厳守すること。
例えば、時間通り来た参加者10人が会議開始を5分間待つことは、
会社として(10人×5分=)50分の時間の損失であるという認識を持つ
ことが大事です。来ない人に着目しがちですが、来た人の時間の無駄を意識。
慣れないうちは、時間が来たから終了、で良い。それで問題があれば、
会議の時間数を読み間違えたか、準備や進行に問題があったわけですから
そこを改善していけば良いのです。
いつも時間通り始まらないから開始時刻になってから動こうぜ、なんて
なってませんか?こんな会社の社員は、行き当たりばったりで仕事をしている
に違いありません。

最後は、「話題を逸らさない」こと。
意見の出方や問題意識の違いにより思わぬ方向に話が逸れて行ったり、
主催者(部門長など)が関連ではあるが本筋から外れた意見を言うことも多い。
上司が「この機会だから言っとくが・・・」などと言い出したら止めるべきです。
参加者の勇気ある一言で本筋に戻しましょう!

上記の3点は、
全て「主催者(一般的に部門長や経営者)」や「司会者」の責任なのです。
今、この文を読んでる!あなた!は大丈夫ですか???

あと、筆者が何社かで感じたのは、会議体が設けられた趣旨(目的)が
無くなっている(必要性が減っている)にもかかわらず継続されている会議が
結構あることです。

会議は、止めてみれば、必要かどうか分かります。
関係者が顔を付き合わせてやらなければならない会議は案外少ないものです。

 『間違ったコミュニケーションしていませんか?』   (2013.02.26)

  《〜 !ヒトは『思い込み』で「判断し」「行動する」! 〜》
     「チョットした確認」をするだけで問題の発生は防げる

ミスコミュニケーションとは、メッセージの送り側が意図した内容通りに
受け手側に届いて届いてないことを指します。

あなたが何か指示したときに「分かりました」確認をしたときに「はい、了解
しました」「問題ありません」などと『前向きな返事』が返ってきていたのに、
後日チェックすると全く意図とは違った状況や行動になっていた、・・・
などといったことは無いでしょうか?

一見、情報共有や意思疎通が上手く行っているように見えても、
実は受け手側の理解はバラバラ。これでは、時間の無駄使い。
それ以上に、問題が大きくなってしまう危険性もあるのです。

★『思い込み』からの「ミスコミュニケーション」

このような「ミスコミュニケーション」は、「否定的な回答」があったり
「あまり親しくない関係」の場合には起こりにくく、普段から接していて
「親しい関係」の相手の場合に多く起こります。
つまり、普段から接点の多い上司部下の間や親しい関係のお客様やパートナー
との間だから起こるのです。

「コチラの意図をきっと相手は正しく受け取ってくれる」との『思い込み』が
全ての発端なのです。また、「わざわざ言わなくても分かるだろう」という
『思い込み』が最も危険なのです。

「もしかしたら、コチラの意図とは違った受け取り方をしているかも?」
という疑念を抱く癖をつける必要があります。
その疑念を解決するために少しの会話の時間や内容確認のための仕掛けを
工夫することが問題の発生を防ぐためには大切なのです。

★「ミスコミュニケーション」を発生させないために

近い関係でこそ起こる問題=「ミスコミュニケーション」。
この「ミスコミュニケーション」を防ぐためには、
『5W2H』の何点かをその場で確認してみるのが最良の予防策です。

面倒なことをやれと言っているのではなく、
「チョットした確認」をするだけで問題の発生を防げるのです。

「分かりました」==>「いつまでにやってくれるかな?」「どうするつもり?」
「はい、了解しました」==>「部長の方にも押さえはしてるよな?」
「問題ありません」==>「納期は余裕を持って達成できるよな?」

もし、あなたが受け手側なら
「先程の件は、こういうことですよね?」「中間報告はXX日で良いですね?」
「今週は忙しいので来週からスタートで良いですね?」
「来週中に完了すればOKですね?」・・・
などと再確認してみることが後日の問題を防ぐのです。

このような再確認であれば1分も掛かりません。

この再確認を忘れずに実施できるチームであれば、無駄な打ち合わせや
問題解決のための努力が減少し、効率的かつ効果的な行動ができる組織になる
のです。

 『「管理職=社長」って本当?』   (2013.01.28)

  《〜 !「管理職」とは、自ら「考え」&「行動する」ヒト! 〜》
     管理職は、専門能力+対人能力+判断能力を持った360度人間

多くの管理職は「自分が社長の代行なんてとんでもない」、
つまり、『管理職≠社長』と考えています。
ところが、多くの社長は、
「管理職が俺の代わりをしっかりと務めてくれれば会社は強くなる」
つまり、『管理職=社長』と考えています。

皆さんが『管理職≠社長』と考えていても、多くの会社の組織構造から見ると
『管理職=特定分野の社長』と位置付けられています。

日本の会社(特に、大企業)は、トップダウンではありません。
しかし、決してボトムアップでもありません。
実態は、ミドルアップ、ミドルダウンであって、
中間管理職がその「要」に位置付けられています。

つまり、中間管理職は、社長と比べて管理スパンこそ小さいものの、
特定分野の社長であり、この職責を全うしなければならないという宿命を
背負っているのです。

★「管理職」とは、自ら「考え」&「行動する」ヒト

「管理職(=部門長)」は、組織を持ち、その長として組織をまとめ、
目標の実現に向かって邁進することを企業組織の中で要求されています。

言い換えると、
「自部門のビジョンや活動目標を描き実現させる」
「ヒト、モノ、カネなどの経営資源を有効に活用する」
「部下に対して指示しモチベーションを高め業務を遂行する」
ことが責務となります。

そして、その実現のための資質として、
幅広い基礎能力と高いモチベーションを保持することが必要とされ、
・専門能力(テクニカル・スキル)
・対人能力(ヒューマン・スキル)
・判断能力(コンセプチャル・スキル)

に対する高度のバランスも必要となります。

また、ビジネスにおける目標達成のためには、
直接・間接に関係するまわりのヒトの立場に立った視点でものごとを考え
行動しなければ、自分勝手な思いでの行動は良い結果になリません。
つまり、ステークホールダー視点を確実に認識できるスキルが必要です。

その上で、関係各所に対する全ての方向への行動に対して気配りが必要です。
(360度人間たれ!)
・対:上司  提言・説得・補佐・など
・対:部下  指導育成・ノウハウ提供・活動管理・など
・対:他部門 調整・支援・など
・対:社外  交渉・育成・連携・など

併せて、目標の実現に対して何を実行すべきかを見極める能力も重要です。

顕在化している問題だけでなく、
潜在的な問題をも含んで問題を漏れなく捉え、
リスク(障害)を考慮した上で
自らの課題として達成や解決のための目標と行動を明確にし
部下と一緒になって推進する力を持っている必要があります。
つまり、実行力=問題感知&課題解決力ともいえます。

上記からまとめると、
「管理職(=部門長)」は、目標を達成するための方針を決定し、
これをメンバー全員に徹底すると共に、
メンバーの一人ひとりに対して明確な役割を与え、
進捗状況を定期的にチェックし、改善のために適切な指導・支援を行うヒト、
と言うことになります。

これは、言い換えれば、優秀なPDCA型のリーダーともいえます。
 
 『中期事業計画の季節です』   (2012.11.15)

  《〜求心力のためには「誰でも間違いなく理解できる」ことが大前提〜
   財務目標以外も具体的な表現+周知徹底のための工夫

毎年、晩秋の季節は中期事業計画の季節です。
多くの組織で新しい中期事業計画の策定や中期事業計画の見直しを
実施されていることと思います。

残念ながら、多くの事業計画が財務視点に偏った資料になっています。

財務目標は具体的なのに、その財務目標を達成するために必要なことが
抽象的な表現のみになっており、何をどのレベルで達成することが必要なのかが
中間層以下の実戦部隊では具体的に理解出来ず、行動が中途半端になって
しまっているケースを多く見受けられます。
財務目標達成に必要な重要成功要因の明確化と具体化が不足しているのです。

また、中期事業計画が「絵に描いた餅」状態の組織も散見します。

その理由は、中期事業計画の作成ステップに問題があります。
経営企画部門や一部の役員のみで作成しトップダウンで発表するケースです。
ひどいケースでは、年に1回の方針発表会以外では話題にもならないのです。
これでは、管理職のみならず従業員のほとんどが中期事業計画を無視した
状態になるのも致し方ないでしょう。
実戦部隊である中間層を議論に巻き込み、決定事項は徹底的に意識させるための
仕組みの構築が不可欠となります。

そして、進んだ組織では、すでにバランス・スコアカード(BSC)を
使用し戦略の策定やPDCAサイクルの実践をしています。

ただ、そこにも大きな問題を抱えているケースを見ます。

最も重要な「視点間の因果関係」が充分検討されず、単に「4つの視点」に
分散しただけの重要成功要因。そして、抽象的な表現で終始し
具体的にイメージできない表現となっている重要成功要因。
これでは、下位の重要成功要因が達成できても財務目標に影響は出ないでしょう。

一人でやるならともかく、目標達成のためには、
関係者の協力で一歩づつ成果を積み重ねることでしか成功できないのに、
役割分担や目標期限や達成方法が具体的でなければ、
目標だけがあっても達成できませんよね?

そのためにも、目標達成への重要成功要因とマイルストンの明確化が
大変重要となるのです。
また、現実は、上手く行く確率の方が低いのに・・・
計画どおり上手く行く前提だけでアクションプランを作っていませんか?

 『管理職心得「何もないうちから話をする」』  (2012.09.28)

  《〜ちょっとした会話「1分間コーチング」の効用〜
    日常の短い接点で部下を五感で観よう

★部下は何かあってからしか話さない

上司側からしてみれば、
部下がやってくるのは「どうしてもっと早く言わなかったんだ!」
と言いたくなるタイミングが多い。

しかし、部下にしてみれば「もう少し頑張ってみよう」
「自分の評価が下がるかもしれない」
「忙しい上司の時間をとってはいけない」など様々な思いがある。
そのうちに問題は深刻化し、ますます相談しづらくなる。
何かあってからしか話しにこない部下。

部下が「ちょっとお時間いただけますか?」と言ってくる頃には
大体問題は大きくなっていて、
「ちょっと」では済まないことが少なくありません。

それに対して上司ができることは『何もないうちから話をする』ことです。

そうすれば、
・いち早く問題のサインをキャッチする
・早い段階で対処する、もしくは対処させる
ことができます。

上手くいけば、問題自体が起こらない状況を作り出すこともできます。

★心がけよう!「1分間コーチング」

話をするといっても・・・
何もまとまった、改まった時間である必要はなく、短い時間で十分です。

スレ違いざまに、エレベータホールで、部下の机にちょっと寄って、
「その後、どう?」
「今、取り組んでいるプロジェクトの進行はどう?」
「最近うまくいっていることは?」
「XXXの件、○○君はどう思う?」
と声をかける。

それがたとえ1分以下の短い会話でも、
何かのついでではなく、自分のために時間をとってくれているということが、
「あなたは大切な存在だ。あなたのことを認めている。」という
メッセージとして部下に伝わります。

そして、この行動はあなたと部下の双方に効果を生みます。
・部下にとって、考えるキッカケや時間を与える
・あなた自身にとって、部下について考えるキッカケや時間を与える


そのためには、・・・まず

★全体が見渡せる場所を確保せよ!

あなたの座席は、部下の出入りの状態、帰って来たときの表情や顔色、などが
見える場所になっていますか?

営業から帰ってきた部下のデスクの横で「今日はどうだった?」、
新しく異動してきたメンバーに廊下で「仕事、慣れた?」
何となく表情の暗い部下に「どうした、何かあったか?」と声をかけ、
短くその場で現状を認識したり、次にどこに向かっていくのか話す。

そしてまた時間をおいて、「あの件どうなった?」「その後どう?」と
継続的に話す時間を持つことで部下や業務の状態をリアルタイムに
つかむことができるのです。

くれぐれも、部下の(から)見えない壁の向こうに自分を置かないように!

 『仕事のやり過ぎは「部下を駄目にする」-#2』  (2012.08.06)

 《〜PDCAの要は"C(Check)"〜

#1では"P(Plan)"で押さえるべきポイントを述べた。
では、3番目の重要項目に移ろう。

PDCAの状態として多くの企業で見受けるのは、
1)"p-D-?"=やりっ放し
2)"p-D-See"=進捗や結果の精査無し、状況は知っているが何もしない
である。

上記で"P(Plan)"を"p"と書いた。
その理由は、計画があまりにも"お粗末"だからである。

"お粗末"の最大の理由は、"計画が上手く行く前提でのみ策定されている"
ことがあまりにも多いことだ。計画が計画通りに行くなら、
そんな幸せなことはないが、実際には実施途中での環境の変化などの
多くのリスク(障壁)が存在する。
そんなことは百も承知のはずの有能な日本の管理職達が、計画達成が
100%間違いない前提での計画しか策定しないのは何故だろうか?

目標の達成に対する責任感の欠如、としかい言い表せない。
原因は、上司や組織風土に起因する場合と人事評価制度に起因する場合が
あると考えるが、管理職の手抜き工事を許す風土が日本の企業に蔓延している。

いずれにせよ、「もし、・・・だったら」も計画に加えておかなければ
『想定外の問題です』という昨年来有名になった言い訳しか出てこない
ことになる。

★本当に"C(Check)"してる?

さて、今回#2の本論である"C(Check)"。
通常「月次レビュー」とか「四半期レビュー」が実施されているはずだが、
その内容に問題が大きい。

KPIや目標値を決め、その達成状況を評価し、問題がある(進捗が思わしく
ない)場合には、その対策を議論し決定するのが「レビュー会議」である。
しかし、その対策の詰め方が甘いため、前月の問題が改善無く繰り返されたり、
「対策を検討中です」という言い訳が何度も繰り返されたり、している状況を
多くの企業で見てきている。

もっとひどいケースでは、時間のないのを理由にして、
「レビュー会議」では進捗チェックのみで、
「問題の対応をヨロシク」的な任せ方をしてる場面も多い。
これでは「レビュー会議」は時間の無駄使い、やらない方がマシである。
これこそ"p-D-See"である。

「レビュー会議」には、
・シッカリ時間を確保しよう
・問題がある(進捗が思わしくない)項目の原因と対策を必ず明確にしよう
・「対策を検討中」の場合にもいつまでに決定するのか位は明確にしよう
・そのためにも実績データ(検討資料)は遅くとも前日までに提供しよう
が重要となる。
そのためにも、重要となる項目やKPIなどを計画段階で絞り込み、
数を減らしておくことが、必要となるのである。

★楽になりたいなら"P"と"C"をキッチリと

「任せる」=「丸投げ」で仕事をやらせてませんか?
「自主性」=「放任」で手を抜いていませんか?
前回#1と今回#2で述べたことをシッカリやれないなら
トップの仕事は減らない、いや自分で仕事を増やしているとも言える。

そんなトップは「組織を持つ資格は無い」と思った方が良い。

前述のように"P(Plan)"がシッカリできていれば、
問題への対応が可能となり、部下の迷いや部下からの相談が減ってくる。
また、"C(Check)"項目が減り、本当に検討しなければならない項目に
集中できる
ことになる。

そして、結果として、
前回#1の最初に書いた「トップにしかできない項目」
4)達成シナリオの実施達成に必要な横連携(必要時には縦連携も)の保持
5)関係者の心の状態を常にチェックし必要時には早めに対応
に目が行くようになってくるのである。

 『「朝令暮改」の薦め(変えるべきか変えざるべきか)』  (2012.07.31)

  《〜 信念で変えるな!勇気で変えろ!〜
    変えない「価値基準」、変える「戦略」、柔軟に変化させる「行動」

昔から「ウチの会社(部門)は朝令暮改が多くて困る」という愚痴を聞く
ことが多い。しかし、当の本人(社長や部門長)は、そのことをあまり
意に介していないようである。

結果として、2種類のケースに別れる。

一つ目は、変化について行こうとしてはいるが、右往左往するだけで
組織としての行動力としてパワーやスピードが落ちてしまっているケース。
二つ目は(こっちの方が多い)、どうせまた変わるから変わるまで待とう、
2〜3度同じ事を言うようなら動きだそう、と言う風土になり、
スタートがずいぶん遅くなるケース。

これらに現象に対して当の本人(社長や部門長)は不満のようだ。
ウチの連中は動きが悪い、ウチの連中はしつこく言わないと動かない、
などと頻繁に愚痴を言う。
しかし、その原因が自分だとは全く気付いていない。
そして最悪なのは、動かない状況を見て、また違う方向性を指示することだ。

変えて良いこと、変えてはいけないこと、変えるためには、を考えてみよう。

★信念を持って変えない「価値基準」

長期間にわたり変わらない(変えてはいけない)ことは、
国では憲法に当たる「経営哲学」や「行動規範」や「長期ビジョン」である。

自律型の社員や組織にするためには上記の各種の「価値基準」が、
明確で、分かりやすく、浸透している、ことが重要である。

どんなに細かい法律(ルール)を作っても、全てのことに対応出来るわけ
ではない。ルールに明確な定義がないときに役立つのがこれらの「価値基準」
なのだから、この「価値基準」をシッカリと理解し浸透させる努力を
怠ってはいけない。
しかし、特に90年代初頭のバブル崩壊後、
この「価値基準」の理解&浸透に対しての努力は全く行われていない。

特に創設オーナー社長の場合は顕著であるが、経営トップは、一般的に
一部のボンクラ・サラリーマン社長を除いては、明確な一本筋の通った
「価値基準」で動く。
よって、これが理解出来ていれば、経営トップの変化がどんなものか?
少なくとも60%は自然と見えてくるはずだ。

この「価値基準」の理解&浸透無くしては、権限委譲も無意味なものになる。
つまり、判断できない社員に権限委譲するほど怖いことはない。

残念ながら逆のケースもある。

実態が変わっているのに、昔のままで実態とそぐわない状態で放置している。
これもまた社員の判断を惑わせたり誤らせる原因となる。
長期間にわたり「価値基準」の見直しをしていない場合は、
実態と合っているかを常に確認する必要がある。

★勇気をもって変える「戦略」

昨今のような変化の激しい時代に必要とされるのは、
実行までの検討期間の短縮と短いPDCAサイクルといえる。

「戦略」の検討段階で前提としたことが、半年も経たずに変わってしまう
ことが往々にして発生する。
新しい条件や環境に素早く対応し、組織全体を方向修正するためには
迷っている時間は無い。勇気と決断で1日でも早く進むべき方向を示し、
調整しながら進んでいくことを良しとするべきであろう。

これを可能とするためには、組織の階層を可能な限り少なくすることである。

情報伝達の効率化のためには、抵抗値となり得る階層は少ないほど良い。
効率的な上位下達や下意上達のためにも、素早い判断のためにも、
関係者は可能な限り少ないほど良い。

★柔軟に変化させる「行動」

上記の2つと比べ、常に変化するべきものが「行動」である。
「上手く行ったら次へ」「上手く行かなかったら次へ」である。

一般的に「上手く行かなかったら次へ」の方が意識されるようだが、
「上手く行く前提」でしか考えられていないことが多く
「次の手」を考える時間を要してしまうことになる。

日本の多くの組織を見ていると「上手く行ったら次へ」を実践している
ケースは非常に少ない。「上手く行っているからOK」と
安心して何もしないのが通常のようだ。

昨年から頻繁に耳にする「想定外」を少しでも無くすために、
計画段階で「上手く行ったら次はどうする?」「上手く行かなかったら
次はどうする?」を考えておく癖をつけさせておくべきであろう。

もう一度言う、「行動」は変化し続けるものである。

★大切なのは「変える理由」

人間は概して「変化」に対して「不安」を持つものである。
だから「錦の御旗」である「変化の理由」や「変化の必要性」を
明確にし周知しない限り、動きが鈍くなっても仕方がない。

一般的に組織の上位へ行くほど多くの情報に直面する。
そして、上位ほど「情報に対しての感度」が鋭くなる。
だから、「変化」を自ら起こしていくのであるが、
部下が納得して「変化」に追従出来るようにするためにも
「変える理由」を必ず伝えることが必要になる。

「理由が分からないから動かない/動けない」、
「理由が納得できないから動かない/動けない」
そして「価値基準」を体得していないから「動かない/動けない」
のだ。

★さあ、どんどん「朝令暮改」しよう!

必要があれば、どんどん「朝令暮改」しよう!
その際には具体的な「変化の理由」を伝えると同時に、必ず付け加えよう。
「もし・・・が起こったら、こう判断して欲しい」と
「価値基準」の使い方例を1例示そう。

これを1年間続ければ、
あなたの組織は素晴らしい変化を遂げていることだろう。

 『仕事のやり過ぎは「部下を駄目にする」-#1』  (2012.05.23)

 〜PDCAの基本は"P(Plan)"から〜
   "P(Plan)"の内容が良いとは、「5W2H」が明確かどうか

会社であれ部門であれ、トップの仕事の第一は以下の3項目と言える。
1)目標を設定する(長期の場合はビジョンとも呼ぶ)
2)目標に向かうシナリオを設定(承認)する(活動ステップや役割分担を決定)
3)目標への進捗を検証する(必要時に改善対応や方針変更を実施)

そして、第二に重要なのは、トップにしかできない以下の項目の実施である。
4)シナリオの実施達成に必要な横連携(必要時には縦連携も)の保持
5)関係者の心の状態を常にチェックし必要時には早めに対応

上記の2項目は、直接の担当者にとっては忙殺され見えていない、あるいは、
感じていても対応しづらい、ことが多いので、全体を俯瞰的に見ることができ
権限を持つ者が対応を常に心がける必要がある。

極端に言うと、上記以外はやるべきではない。
コレはプレイイング・マネージャーとして自分の職務を持つ場合も例外ではない。

上記の1)〜5)がシッカリと出来ていれば、
自然と!部下が育ち!、!あなたが楽になる!のです。

★掛け声だけの"P(Plan)"で終わってませんか?

PDCAサイクルが回っていない(回らない)原因のほとんどは、
"P(Plan)"の内容に問題があるケースがほとんどである。

では、Pに問題があるのは何故だろうか?
上記の1)と2)の内容が粗雑だからである。

1)が雑な例:
「目指せ売上XX億円」などはハッキリしていて良いのだが、良くあるのは
「CS(顧客満足)を見直そう」とか「開発生産性の向上!」などの例で
何のためにやるのか(目的)や何がどうなれば良いのか(目標)が明確でない。

2)が雑な例:
方針は有るがシナリオがない。言い換えると、役割分担が無い、マイルストン
が無い。関係者が、自分達は何をいつまでにどうしなければならないのか、を
理解出来ていない状態である。

もし、あなたが会社のトップなら、単なる事業目標数値だけでなく、
「ミッション」「ビジョン」に加え「行動規範」なども具体的に示すべきでしょう。

そして、その上で、
3)の進捗状況を検証するための基準も明確に決めておく必要があります。

"P(Plan)"の内容が良いとは、「5W2H」が明確かどうか、である。

★実行部隊のキーマン達は納得していますか?

あと、良く見受ける場面は、1)の目標は具体的に示しているが、
2)が部下に任せっぱなしで結果が出ないと文句だけ言う、ケースである。

いくらトップダウンと言っても、軍隊ならまだしも一般組織では
実行部隊の中枢にいるキーマン達が理解・納得・合意・共感してなければ
行動には移れません。
そのためにも、2)でキーマン達を巻き込み、お互いの意見交換を基に
縦横間で意思疎通を充分図っておくことを忘れてはならない。

最後に、完成した"P(Plan)"は、あなたが納得できる(=目標達成可能だと
信じられる)内容になっているでしょうか?

1)+2)="P(Plan)"であることを忘れてはならない。

※3)以降については、次回#2以降で述べていく。

 『今こそ必要な「マインドの変革」』  (2012.04.25)

 〜スキル向上よりも大切な「こころ(心)」の変化〜
    重要なニギリの出来と密接なコミュニケーション

各組織で教育研修が行われているが、多くが「スキル」教育に片寄っている
傾向が見受けられる。

昔のように手順を追って管理職へ育てていくことが難しい現在、
ベースとしての「スキル」向上のための教育はもちろん重要ではあります。
しかし、社員として、あるいは管理職として、何が求められているのか?を
具体的に認識し、必要なことを実現できる(達成できる)ための「スキル」
を身に付けるためには、「マインド」が非常に重要となります。

能力アップのための方向性を見つけ、推進力を大きくするために重要なのが
マインド=こころ(心)」なのです。

特に、管理職においては、上位からの要求とチーム(組織)の現状との
ギャップをシッカリ認識し、目標達成へ向けた改善や変革をどのように
実施するのかを明確に持たなければなりません。

そのためには、ギャップを埋めるための自己変革が、何処に必要で
どのように実現するのか、を正しく認識する必要があるのです。

よく、中間管理職は上司と部下の板挟みになって苦しむという話が出ますが、
実際に問題になっているのはそうしたことではなく、
管理職として気を付けるべきポイントや心構えが出来ていない人が
管理職になった場合なのです。

多くの「スキル」教育を「馬の耳に念仏」や「暖簾に腕押し、柳に風」にしない
ためにも、「マインド」変革の推進も並行して実施することが重要です。

★結果の善し悪しは・・・

《結果しか見ていないのでは?》


物事の変化が早くサイクルの短い現代に於いて結果重視になるのは
仕方ないことではあります。しかし、結果が計画と実施プロセスの
結果であることを忘れているのでは?と思わせる状況を多く見受けます。

物事に向かう心構えや問題認識と対応を上司の背中を見て育った
以前と異なり、計画の立て方が粗かったり途中経過の問題対応が
甘かったりする傾向が大きいと感じます。

そのためにも、自分の長所や短所を理解し、実施途中に問題を
起こさないための事前準備を組織のメンバーを巻き込んで実施して
おくことが大切なのです。

まず、
・目標達成の鍵を握るのは自分だとシッカリ認識しているか?
・実施途中で発生しうる問題を充分予測できているか?
・実行部隊である組織メンバーとのニギリやコミュニケーションが
 充分出来てるかどうかを確認できているか?
などを、自らの責務として意識する必要があります。

★まずは、自分を客観的に見つめ直すことから

《現状の課題に気付く》


管理職というものは辛いものである、職責を課せられ、
上司と部下の狭間で四苦八苦、報われることも少ない、
そういう中で何か心の糧、自分を励ます心の支えが必要です。

リーダーシップとは『部下が安心して働ける場所を作る』ことです。
あなたの部下達 は、あなたの下で安心して働いているか?
命令で部下の体を動かせても、心を動かすことはできない。

管理職自らの変化が引き金となり組織全体の変化へと波紋が広がるように
繋がっていくのです。

そのためには現状の課題を、冷静に、客観的に(=第3者視点で)見つめ
直し、現状の問題を解決へ導くためや将来のための方向性を正すための
重要性をシッカリと認識することがスタートなのです。

「360度評価」は、そのために重要な基本情報となります。

360度評価」で特に重要となるのは、
1)管理職としてやるべきことを認識しているか?
2)目標や達成方法を関係者がシッカリと認識しているか?
3)実施段階での問題発見に充分手を尽くしてるか?
4)問題対応に充分フォローできているか?
等々の管理職自身のマインドや言動に落ち度はないか?を測ることです。

「スキル」を身に付けるには時間が掛かりますが
「マインド」は変えようと思えばスグに変えられます。

そのためには、自分自身の現状の課題を冷静に分析することが必要です。

何が不足なのかに気付く、何が悪かったのかに気付く、
何を期待されているのかに気付く、認識のギャップに気付く、等々。

上手く行かないことを誰かのせいにする前に
自分自身の言動を振り返ってみましょう。
きっと、スグできることが見えてきますよ!!

 『自分の仕事をワザワザ増やしてませんか?』  (2012.03.20)

 《〜ミスコミュニケーションを防ぐ重要なキーワード「5W2H」〜
   ちょっとしたスレ違いが大きな問題の引き金に!

経営トップや部門管理者として働くあなたは、
自分の仕事の効率を考えて行動しているでしょうか?

きっと「当然、YESだよ!」と言われると思います。

しかし、「当然、YESだよ!」と即答した方ほど問題を抱えている
傾向があるのです。何故なら、自分の効率を考えれば考えるほど
コミュニケーションが薄くなる傾向が顕著になるからです。

今の効率を考えた行動は、得てして問題の先延ばしになります。

部下や関係者とのコミュニケーションが上手く行ってないと感じることは
ありませんか?そんな時、自分の伝えた内容や確認した内容や部下の話した
内容に『「5W2H」が抜けていないか?』を確認しましょう。

★今さらそこまで・・・重要なコミュニケーション<確認編>

とかく曖昧な内容で、上手く行くと信じたり、勝手に自分で納得したり、
する傾向が人間にはあります。特に、忙しいときや部下が有能なときに
「思い込み」が発生しやすくなります。

全てが上手く回っているときにはそれでも問題は起きないのですが、
上手く行かないときに、「あのときにXXを確認しておけば良かった」と
後から思う項目が「5W2H」です。

「今さら、そこまで確認しなくても・・・」と思われるかもしれませんが
ちょっとしたスレ違いが大きな問題の引き金になることは少なくありません。

自分の仕事を増やさないためにも部下の失敗をひとつでも減らすためにも
「今さら、そこまで」のコミュニケーションが重要なのです。

★重要なキーワード「5W2H」

部下に指示する前に自分の考えを整理していますか?


まず、『自分自身が相手の言うことを判断できる基準を持っている』ことが
必要です。自分だったらどうするのか?ということを持たなければ
相手に確認することもできないし、相手の話す内容が充分なことかどうかも
評価できません。

あなたの指示や確認に否定的な(ネガティブな)反応の時には
案外問題は発生しません。何故なら、あなたも部下も納得するまで
内容を確認し合うから、です。

問題は、「はい、大丈夫です」「やっておきます」「順調に進んでいます」
等々・・・部下が前向きな反応を示したときです。

このとき、あなたならどう反応しますか?
まさか「そうか、ヨロシク!」で終わってませんよね???

「ひょっとしたら、あなたの思っている期限と違うかも?」
「ひょっとしたら、あなたの期待している相手にアプローチしてないかも?」
「ひょっとしたら、部下の判断が甘いかも?」
「ひょっとしたら、・・・?」等々
確認できてないことが多く存在していませんか?

ここで最低限確認しておくべきことが「5W2H」なのです。
日頃から簡単な会話で「5W2H」を確認する(伝える)技術を身に付けて
おくことが「勝手な思い込み」や「後からの反省」を防ぐために大切です。

自分の仕事を自分で作ってしまわないためにも。

★「5W2H」
 ・What 何を、どんなことを?
 ・Why 目的、何のために?
 ・Who 誰が、誰と、どんな体制で?
 ・Where どこで、場所は?
 ・When いつ、いつまでに?
 ・How どんな方法で、手順は?
 ・How much どれくらい、目標値は、予算は?

 『リーダーシップもイロイロです』  (2012.02.08)

 《〜重要なのは「ぶれない」こと〜
   あまり詳細な内容に拘るな、微調整は常に必要なのだから

リーダーシップとは、一般的には「集団の指導者によって発揮される影響力」
をいいますが、問題はその「影響力」をどのようにして発揮するかにあります。

★何故、上手く行くのだろう?

組織の方向性を牽引し上手く行くためには、実行部隊がその気になって
努力しないと結果につながりません。つまり、あなたがいくら叫んでも
実行部隊であるメンバー(部下)ひとりひとりがチームワークで役割分担をし
明確な方向性を持ち行動できなければ結果につながっていきません。

しかし、逆の場合は「良くないことは、部下のせい」とは行かないのです。
何故なら、部下のモチベーションやスキルが低いことは、あなたが原因
だからです。

 =>良いことは、部下のおかげ
 =>良くないことは、あなたのせい

「高い目標」に難航したり、「突然の想定外事項」に襲われたり、
何もなく順調に行くことはまれでしょう。

終わってから良く聞く言葉は「やっぱり駄目だった」「そう思っていたよ」
「目標が高すぎたんだ」「リーダーが勝手に決めたことだから」・・・です。

もしも結果が思わしくなくても「みんな精一杯頑張った」「ココの判断が
間違った、次回からは同じ轍は踏まない」「次期へ向けてココを改善しよう」
・・・と、行きたいものです。

そんな組織のリーダーになるためには・・・

★リーダーシップを間違ってませんか?

上記で述べてきたように、場面によって必要なリーダーシップは異なります。

重要なことは、掲げた「目標」と組織の「状況」によって必要となる
リーダーシップを分析することです。
ベストケースでは、あなたは単にトリガーとなるだけでしょうし。
ワーストケースでは、長期戦で「心の問題」から取り組む必要があるでしょう。

リーダーは、「リードする人=引っ張る人」という考えが、
そもそも間違っています。

また、リーダーシップとは、文字通りに言えば,リードするスキル。
リードとは、周囲を引っ張っていくことであり、そのために周囲を巻き込んで
いくことである、というのも短絡的すぎるのです。

「引っ張ること」が必要なときもあれば「支えること」が必要な場面もあるし、
時には「何もしないこと」や「突き放すこと」が重要な場面さえあるのです。

リーダーの「責任感」のみならず「意地」や「見栄」までが混じり合って
判断を間違わせ、言動をあらぬ方向へ導きます。
ですから、真のリーダーシップを追求するためには、「裸の自分と現実に
真摯に向き合い、自分にとって出来ること(成すべきこと)は何か?
目標(目的)達成のために今どうしたらいいのか?を常に自問自答すること

です。

そして、何よりも重要なのは「ぶれない」ことです。

目標を決めたら「ぶれない」、行動規範が「ぶれない」、部下が迷っても
「ぶれない」。そのためには、あまり詳細な内容までリーダーが決めない
指示しないことも重要です。何故なら、微調整は常に必要だから、です。

 『待つ努力してますか?』  (2011.11.30)

  《〜成功体験が邪魔になるとオオゴト〜
    変化の時代、先が読めない時代、だからオオゴトなのです

あなたは自分より能力のある部下や友人を何人持っていますか?
成功体験が邪魔になるとオオゴトです。

一般的には、組織が小さく伸び率が大きいときには優れた行動型のリーダーが
必要だが、組織が大きくなるにつれ有能な行動型リーダーとメンバーとの
隔たりが大きくなっていく。

★まず、『組織(企業)の状況によって必要なリーダーは異なる』。

ということは、リーダー自身が変幻自在でなければ、
あらゆる場面に対応出来ない、のである。

成長期に力を発揮できた人が、安定期には力を発揮できない。
こんなケースが多く見られるはずだ。
組織の規模が違う、商品群が違う、顧客が違う、組織メンバーが違う、
組織のメンタリティーが違う、ビジネスプロセスが違う、・・・
にもかかわらず、昔と同じ方法で成功しようとするヒトです。

成功体験が邪魔をしているケースが多い。

概してこのタイプは成功体験の少ない部下の意見は聞かない。
聞いても「やはりオレのこのやり方でなきゃ!」と
リーダーシップを意識するが故に、
自分が動いてしまう、動かそうと行動してしまう。

現場をより知っていて、成功体験が少ないから色んな発想が出来る、
のが部下です。・・・と考えないリーダーが多い。
経験が長いからオレの方が現場が分かっている、成功体験が多いから
間違いのない選択肢を持っている、なんて考えるのです。

ビジネスの環境は毎日変化しているのに、
過去の成功体験に縛られてどうするんだろう?って思いませんか?

★次に、『リーダーひとりが動いても、出来ることは一人分』。

世の中には自分ひとりで世界を動かしているかのように誤解している人がいる。
この人達も、最初からそうではなかったのだが、
数多くの成功体験が自分自身を神格化してしまっているのだ。

オレは違う、と皆言うだろう。しかし、潜在意識の問題だから始末が悪い。
人間というのはそういうもんだ、と考え、
意識的にゼロベースに戻して考える訓練が常日頃から必要なのだ。

組織としてのパワーをどう最大化するか、を常に考えるのがリーダー。

そこで重要なのが「ヒトの心」。
信頼感と目的意識、この2つがモチベーションの源泉で最重要項目となる。
準備が出来るための仕掛けやコミュニケーションをしたら「待つ!」です。
「心の準備」無しでは、短期決戦型の勝負しかできない。

あなたは「待てないリーダー」になってませんか?
50名以上の組織のリーダーなら「待つ能力」が必須です。

ヒトはスグには変われない・・・
だから『成功体験が邪魔になるとオオゴト』なのです。

 『トップよ!!孤独であれ!!』  (2011.10.26)

  《〜何処まで自分を追い込んでますか?〜

昔から「トップは孤独だ」と言われています。

最近の情勢を見るにつけ感じることは、「最近のトップは孤独でない」人が
多いことです。東電しかり、それよりも日本の代表者である首相が
首相になったときには威勢の良いことを言うにもかかわらず
あっという間にみんなの意見をどう取り入れるかを考え自分の意思を
どこかに置いてきたかのような言動となっています。
(スグ入院するトップが目立ちましたねえ!)

サラリーマン社長や2代目政治家が中心になっているのが原因だろうか?
いやそうではないだろう、昔から多くの素晴らしい経営者や政治家が
サラリーマンや2代目政治家から生まれている。

原因のひとつにあると考えられるのは、トップに大番頭がついていないこと。
会社でいうと、ビジョンと決断力のあるトップ(CEO)と
社員をはじめとした関係者からの信望が厚く緻密な実行力を備えた
大番頭(COO)が信頼関係の高いコンビになっていないことである。

右へ習え型の同じタイプが何名いても、順風満帆の時以外は上手く行かない。
ましてや政治の世界のように「腹にイチモツ」持った表面づらのコンビは
何の役にも立たないどころか邪魔でもさえある。

★信頼できる大番頭はいますか?

会社であれ部門であれ、一人では何も出来ない。

経営トップや部門管理者やプロジェクト管理者であるあなたが
何をしようとしても、あなたを支持し成果を出すために支援してくれるヒトが
いるかどうか?それは誰なのか?を意識できていなければならない。

社長に対して副社長や専務、部長に対して次長や副部長、がアサインされて
いても、そのヒトがここでいう大番頭とは限らない。

まずは、双方向の「最高の信頼関係」があること。
役割をつくることは簡単ですが、その実効性は???です。
信頼感があってこそ、考えが異なるとき、辛いとき、感情的なとき、等々にも
間違いのない判断と行動ができるのです。

次は、トップと「異なる能力領域」を持っていること。
全てに対してスーパーマンのようなヒトはいません。ですから・・・
例えば、技術に対して営業、決断力に対して実行力、分析力に対して情報収集力、
等々のように役割分担を複数間で明確にすることにより
全体的な組織としての能力をアップしていくのです。

この意味では、大番頭は一人で無くても良いしナンバー2で無くても良いのです。

★スタートは「トップ自身の決断」

社長と副社長の間(トップと2番手の間)には越えられない壁があります。

ナンバー2までは組織人でいい。上司の指示がある。
しかし、トップには何をすべきか指示してくれる上司はいません。
自分の頭で考えないといけない。孤独です。
社長「だけ」で飲み会をする人たちがいます。そういうことです。

社長になってみて初めてその孤独に気付くサラリーマンもいます。
その孤独に耐えられずに「自分の頭で考える」ことを放棄した社長は、
カリスマ・コンサルタントや占い師を訪れます。
彼らの商売は今後も安泰なことでしょう。(#^.^#)

トップの仕事については、色々あげることができますが、
究極は「決断(判断)」と「孤独との戦い」に尽きるでしょう。
トップの誰もが経験していること、あたりまえのことです。
あたりまえに、こなさなければならない業務。それがトップの仕事です。
しかし、心構えと覚悟がないと務まらない!!

最後に、今「トップは孤独だ!」と感じている「あなた」へ。

本当に孤独ですか?そこまで自分自身を追い詰めていますか?
「トップは孤独だ!」というのは第三者がいう話で
自分が「孤独だ!」と感じたときから「あなたの役割を果たす能力」は
大きく不足しているのです。

「孤独との戦い」誰からも理解されない、しかし、決断しなくてはならない。
まして、自分に課せられた役割から逃げ出すわけにはいかない。
360度からの各種のプレッシャーに耐え最良の策を「決断」し
組織をリード(舵取り)するのがトップの仕事なのだから・・・

もし、それがイヤならサッサと今の立場を退くのが、
あなたが選択できる唯一かつ最良の成功要因です。

※といっても、社長の場合は株主や投資家が、管理職の場合は経営層が、
 政治家の場合は国民や市民が、選んでその立場になっているので、
 本人よりも、選んだ方に責任があるのだろう。!注意!

 『今こそ大切な「スピード」』  (2011.09.28)

  《〜失敗経験が最良の薬〜

最近、多くの企業や組織を見るにつけ思うことがある。
それは、意思決定から行動に至る「スピード」の欠如だ。

震災対応や原発対応への政府や東電に代表されており、
1)将来へのビジョンの欠如
2)優先順位付けへのコンセプトの欠如
3)意思決定への現場感覚の欠如
等々が原因だと考える。

組織として何かを実践するとき、組織において実質の実施推進者となる社員が
理解&納得できる内容と仕組みを持たず、やってもやらなくても許されてしまう
「おざなり主義」=無責任がまかり通ってしまっているケースが多い。

コレを「優しさ」と勘違いしている経営者もいる。
「厳しさ」こそが「優しさ」に通じることも多いことを忘れている。
「サラリーマン経営者」=優等生経営者が多いことが原因かもしれない。

★今こそ必要な「風土変革」

若手の中に「管理職になりたくない」人が増えていることを嘆く声は多い。
しかし、管理職がどんな役割を担っているのか、何が求められるかを
明確に言える人は多くない。
それどころか「人事が主催した研修を受けたが、よけい混乱した」という
声すら聞こえる。会社は十分理解してやっているのだろうか。

人財育成にリソースを配分していない。
コンセプトや長期戦略無しの、それも技術偏重の研修実施が多すぎる。
思いつき研修ではリソースの無駄使いである。

「バブル経済」や「ゆとり教育」で育った若手人財を育てられなかった
「団塊世代」がリタイヤした今、新しい価値感への「風土変革」が必要なときだろう。

研修等で多くの若者(特に30代)と接していて感じるのは、
1)基本的に「団塊世代」の当時よりも有能である
2)やる気は持っているが自ら望んで新しいことに立ち向かわない
3)やらされている業務が部分的で役割が明確である(全体志向の欠如)
4)成功しない失敗しない(達成感無し)
が共通にいえることである。

私の経験から言って、「自ら新しいことに挑戦せよ!」といわれても
若手はどうして良いか分からない。
昔々の高度成長時代は、そんなことを言ってるヒマはなく
成すべきことがドンドン降ってきた。

だが、今はそうはいかない。

★「失敗」を活かせ!

「失敗をさせる」(もちろん成功が望ましいわけだが、多くのチャレンジをすれば
失敗も増えるのは当然)ことが少なすぎるのが最大の原因と考える。
一般的な「優等生」よりも「過去に失敗経験を持つ人財」を登用したほうが、
経験を生かして活躍してもらえるはずだ。

そのためには、
1)可能な限り多くの挑戦機会の創出
2)権限委譲(ヒト・モノ・カネのリソースの供与)
3)信賞必罰の実践
4)敗者復活への制度と実践
が重要であろう。

昔は「向こう傷の一つや二つは持つべき」といわれた財閥グループもあった。
今こそ、この精神を「風土変革」の基本コンセプトに加えるべきではないだろうか?
もちろん、最も重要なのは!!!「スピード」!!!

 『今こそ大切な「日本語力」』  (2011.08.31)

  《〜何事も「本末転倒」はいけません〜
    まずは「日本語」できちんとしたコミュニケーションを可能に

楽天、ユニクロ、日産、日本板硝子、・・・色んな会社が「グローバル化」を旗印に
英語の公用語化を進めている。M&Aによる外国資本のケースは別にして
純日本の企業が英語を推進するのは「世界企業として生き残るため」だそうです。

その発想自体は決して間違ってるとは思いませんが、英語が出来たら
世界的な企業になれるというのはあまりに安直で短絡的だと思わざるをえない。

また、パナソニックやローソンは新卒採用で外国人を多く採用していようです。
パナソニックは「グローバル採用枠」を設けての採用つまり「優秀な人を探して
たら外国人が多くなった」ではなく「最初に外国人採用ありき」らしい。
ローソンは「外国人を採用することで社内を活性化するのが狙い」だという。

海外で事業を展開し成功するために国際化が必要だ、というのはわかる。
だが、英語を話すこと=国際化なのだろうか?
日本人以外の従業員を増やすことが国際化なのだろうか?

★「英語化」が最初に必要な成功の鍵???

これまで世界的な成功を収めた日本企業は、(昔の松下電器でも同様でした)
みな日本人が徒手空拳で海をわたり海外市場に食い込んでいった。
もちろん英語ができるかできないかで言えば、できたほうが良いだろうが、
はたして「成功の鍵」はそれだったのだろうか?。

世界企業として生き残るための国際化ならば、
やるべきは「多様性を認める」ことではないか。
その意味で「国籍不問」にするのなら筋は通る。

そして、異文化の地に飛び込んでいく勇気(=チャレンジ精神)を醸成する
企業風土の変革ではないだろうか?

私がすごいなと思うのは韓国サムスングループの地域専門家制度による
グローバル人材の育成である。この制度は、グループ各社から毎年選抜される
100〜200名程度を1年間世界各地に派遣し、その国で自由に生活しながら
現地の事情に精通するとともに、人脈を構築するという実地研修である。

サムスングループの地域専門家制度は1990年に始まり、すでに3,000名を超える
人材が育ったらしい。思い切った先行投資に驚かされるが、
本当のグローバル人材は教室で英会話を勉強するといった小手先のやり方ではなく、
現地の生活にどっぷり浸からないと育成できないのだろう。
このように考えれば、サムスンに比べ凋落ぶりが著しい日本の総合電機メーカー
との業績格差は、人材育成力の差だったと言っても過言ではない気がします。

★まずは「日本語」できちんとしたコミュニケーションを可能に!

話が本論から逸れてしまったが、国内の日本企業を見るにつけ感じることがある。

世界レベルで活動するときに重要となる能力には「論理展開能力」と
「ディベート技術」がある。総じて「説得力」に繋がる能力である。
この視点で現在の部課長クラスを見ると寒々しい状態であることが分かる。

日本人が母国語(=日本語)でしっかりとした「説得力」を持たないのに
英語を優先させることに大きな違和感を覚える。

日本語での(例えば、部下や顧客と)コミュニケーションや説得が充分でない
管理職には、総合的な人財再構築計画が必要であろう。
ある期間の機会を与えた上で、厳しい選択の網を通すことが必要と感じる。

私が言いたいことをまとめてみると、・・・
バブルに踊り、ゆとり教育に溺れ、間違った採用基準で採用され、
誰も真の意味での人財として育てなかった社員に期待できるのだろうか???
部下を指導育成すべき上司に多くの問題を抱える現状では、
まず最初に成すべきは、人財ビジョンを再構築し、採用基準を見直すことが
重要なのではないだろうか?急がば廻れである。

単純に英語教育を推進しても(それも全社員に対して)喜ぶのは英会話学校だけ。

いずれにせよ、真のグローバルカンパニー、あるいはマルチナショナル
カンパニーへの脱皮を図る企業が出始めた点は評価すべきと考える。
昔ながらの国内市場限定での島国根性はいずれ通用しない。
この先、こうした企業がどんどん増えていって欲しい。

 『今こそ大切な「理念経営」』  (2011.07.28)

  《〜枝葉末節に拘ると、伝わらない!考えない!行動しない!〜
     「(どんな場合も)一貫性」と「(しつこい)継続性」が成功への要

多くの企業や組織を見るにつけ感じることがある。
それは「目標」があっても「その目的」が明示されていないケースが
非常に多いことです。

何故、その「目標」を目指すのか?
何故、その「目標」でなければならないのか?
何故、その「目標」になったのか?
その「目標」を達成するためには「何がどうなってなければならないのか」を
従業員はもとより関係者間で共有しない限り、
組織や経営側の「一方的な視点」で語られる「目標」だけでは不足でしょう。

「売上XXX億円達成!」とか「シェアX位を目指そう!」と叫んだところで
「・・・だから何なの?」と冷めた目で見ているだけになります。
当然、悪いことではないので誰も反対しませんが、
自分達にとってもメリットや社会的な意義も見えないところに
積極性や求心力は生まれてきません。

そして、その「目的」は、企業の「ミッション」や「ビジョン」「行動規範」
などと整合性がとれてなければならない。

ウチにはこんな「理念」があります、とよく経営トップから説明されますが、
「絵に描いた餅」状態では何の役にも立ちません。
どころか、あそこに書いてあるのにウチの会社は・・・などと
モチベーションを下げる原因のひとつになってしまっているケースまであります。

経営・顧客・社員などのステークホールダーの間でWin・Win・Winの関係を
もたらすための意義深い行動が何なのか?それが達成されたときにどんな状態に
なっているのか?を具体的にかつ分かりやすい言葉で表すことが必要です。

グローバル化の流れとともに雇用形態も多様化し人財の流動性も高まってきた中
想定外の大きな災害にも見舞われた日本企業がその組織力を強化する必要性に
迫られています。

「判断基準」(=「行動規範」)に基づく「スピード経営」と確実な「PDCA」の実践
こそが「優秀な人財」を育て「素晴らしい組織」を醸成する源となるのです。

硬直化している(経営トップが意識できてないケースも多い)組織の多くには
役職のインフレと階層の多段化が多く見られます。
つまり、役に立たない(=不要な)役職者が多いのです。
「昔は頑張った人」「経営者の親族系の人」「反発しない人」等々が部長以上に
多い会社はその傾向が顕著です。

経営トップは、組織の「真の問題」に目を向けるときでしょう。
今こそ「理念」と「行動規範」に基づく「信賞必罰」が必要なときです。
それがステークホールダー全体の「モチベーション」と「求心力」に繋がるのです。

物が充足した現代社会で必要とされているのは「心」の「充足感」と
「目的意識」でしょう。それを支えるのが「理念経営」ではないだろうか?

「(どんな場合も)一貫性」と「(しつこい)継続性」が成功への要です。
さあ、「理念」の下に思いをひとつにする活力のある組織への変革を
進めましょう!!


『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』 <寄稿>

                            湊 伸悟  ビジネスコーチ(株) 顧問

コーチングの神様が教える「できる人」の法則
=====================
著者:マーシャル・ゴールドスミス
   米General Electric(GE)のジャック・ウェルチ元CEO、
   米Ford Motorのアラン・ムラーリー社長など、
   世界的な企業のCEOを80人以上もコーチングした
    ことで知らています。

・この本のポイントは「他人を変える」のではなく「自分を変える」
 ことにフォーカスしていること。

・「20の悪癖
 まずは、次の21のリストに自分自身が当てはまるものがないか、
 チェックしてみてください。

  1.極度の負けず嫌い
  2.何かひとこと価値を付け加えようとする
  3.善し悪しの判断をくだす
  4.人を傷つける破壊的なコメントをする
  5.「いや」「しかし」「でも」で文章を始める
  6.自分がいかに賢いかを話す
  7.腹を立てているときに話す
  8.否定、もしくは「うまくいくわけない。その理由はね」と言う
  9.情報を与えない
  10.きちんと他人を認めない
  11.他人の手柄を横取りする
  12.言い訳をする
  13.過去にしがみつく
  14.えこひいきする
  15.すまなかったという気持ちを表さない
  16.人の話しを聞かない
  17.感謝の気持ちを表さない
  18.八つ当たりする
  19.責任回避する
  20.「私はこうなんだ」と言いすぎる
  21.目標に執着しすぎる

  どうでしたか???

・当てはまるものは、そんなに多くないと願いますが、
ここから1〜2つ選び出して、その悪癖をやめることが、
「もっといい人になる」ための簡単な方法だと本書では説明しています。

・この本では、上記の21の悪癖が、なぜ生まれ、
それがどう悪影響を及ぼすかが、詳しく解き明かされ、
それをやめるためのフィードバックやフォローアップをする方法が
わかりやすく説明されています。

・経営者は、過去の成功体験がある方ほど、
 変化の対応ができず結果、企業を失速させる例が多くあります。
 組織の活力を引き出し、新たな成長を生み出すには?
 
 ☆成功で厄介なこと
    成功した人ほど、変化を嫌う理由
 ☆あなたをトップの座から遠ざける20の悪癖
   「やめること」の大切さ
    20の悪い癖
    21番目の癖
 ☆どうすればもっとよくなれるのか
 ☆「自分を変える」ときの注意すべきポイント
   「自分を変える」ときのルール
    部下の扱い方

★<論評>
Amazon.comほかで全米ベストセラー第1位を記録したベストセラーですが、
読めばその理由がよくわかります。

「他人を不愉快にする行動の大半は、どんな状況においても必要以上に
『勝とう』と努力することから生じている」

「人を傷つけるコメントが真実かどうかはどうでもいい。
『それは真実か』が問題ではなく、『それは言う価値があるのか』が
問題なのだ」

シンプルな言葉で人間関係の真理が語られており、これ一冊読んだだけで
およそ職場のトラブルの90%以上は解決できたも同然です。

実用書として見た時も、リーダーが持つ「20の悪癖」と、
その根本原因、そしてそれを改善する方法が、じつにわかりやすく
説かれており、まさにマネジャー、経営者、リーダーおよび未来の
リーダー候補は、ぜひ読んでおきたい一冊です。 

『今、管理職に求められるもの』          <寄稿>

                       神門 善三郎  オフィス//イービジネス・コム
                           <人事労務政策コンサルタント>

 〜〜 今、管理職に求められるもの(ビジネスリーダー20の要件) 〜〜

日本社会には、少子高齢化と人口減少による国内市場の縮小が避けられ
ない構造変化の津波が押し寄せています。
今日の日本企業は、超円高とグローバル化の進行、新興国の急成長により、
ヒト、モノ、カネを始め、企業の心臓部と言われる研究開発部門までもが
海外進出を加速しています。

最早、これまでの日本のビジネス慣習や常識が、海外では通用しない
パラダイムシフトの局面を迎えていることになります。

日本企業の再生と復活には、これまでのビジネススキームを根本的に変革し、
新しいビジネスモデルの創出が成長と発展を実現するキーとなっています。
これを実現するためには、次世代を担う企業人材を早急に育成することが
喫緊の課題ということになります。
特に、明日の企業の中核を担う管理職には、中長期の持続的に成長・発展する
企業経営のあるべき姿を思考し、その実現に向けて実践行動することが
強く求められています。

それには、企業は次世代と経営が求める人材像を明確にすると共に、
明日の管理職を育成するための教育投資は重要な経営戦略となっています。
今、企業が管理職に求めるビジネスリーダーとしての人材要件を20項目に
まとめてみました。

【経営戦略のマネジメント力】
1)企業の中長期の「経営計画」立案に参画する能力とスキルがあること
2)単年度の「利益(粗利益、営業利益、経常利益)戦略」を立案し、
  実践する能力とスキルがあること
3)会社の経営方針や経営目標を自組織のミッションに落とし込み、
  それを達成できるアクションプランを立案し、実行できること
4)受発注業務の収支(収益)管理ができること

【人材育成の組織管理力】
5)部下の能力を見極めて、各人が成長できる仕事を適正に配分し、
  成果をあげることができること
6)多様化する従業員(正社員、契約・パート・アルバイト社員、派遣社員)
  を全方位で指揮監督することができること
7)自己が有する「知的財産」「ノウハウ」を日常業務に活用し、
  部下にも継承することができること
8)自己や部下の失敗や間違いを正しく理解し、共有して、リスクの
  最小化と再発防止ができること
9)自己並びに部下の「健康管理」や「心のケア」ができること

【未来思考の行動力】
10)時代の環境変化を迅速的に捉え、柔軟かつ的確に対応・転換するため
  の意思決定ができること
11)強固な意志を持ち、「相互依存」「甘え」「現状維持」「過去の
  成功体験」という旧構造から決別できること
12)現状の「問題点」「課題」を発見し、率先垂範して改善・改革する
  ことができること

【ビジネスの開発力】
13)「新規事業領域」の開発プロジェクトのトップを任せられることができること
14)「新規業務」の開発プロジェクトのトップを任せられることができること
15)「新規顧客」の発掘と開拓を持続的に推進することができること

【人間力としての資質】
16)自己の「強み」「弱み」を認識し、自己革新に挑戦し続けることができること
17)「説明責任」と「結果責任」を果たすことができる自己責任感があること
18)「有言実行」と「言行一致」を確実に実践できること
19)円滑なコミュニケーションにより、他者からの「尊敬」と「信頼」
  を勝ち得ていること
20)仕事以外の広い分野で、感度の高いアンテナ(人脈)を有していること

『知って得する労働基準法』<No.1>』      <寄稿>

                       神門 善三郎  オフィス//イービジネス・コム
                           <人事労務政策コンサルタント>

今回から「F+S Flash」で新連載です!
気にしなければ気にならない・・・けど、
企業や組織にとって大きな問題を含んでることが?
急成長の会社ほど!危ない!危険が一杯です。
神門さんにお願いして分かりやすく書いて頂くことになりました。

     ====================
   〜 『労働基準法って何?違反したらどうなる?』 〜
     ====================

・「労働基準法」とは・・・

労働基準法(以下「労基法」という)は、労働者の労働条件全般について
最低の基準を定めた法律です。
そして、各企業においては、この労基法の基準を上回る労働条件で、
労働者の雇用に努めることを要請しています。

従って、企業経営者にも、その企業で働く管理職や一般従業員にも労基法の
各条項を順守することが求められている身近な法律ということになります。

つまり、労基法を知ることは、経営者には、ブラック企業と言われないための
「リスク管理」になり、管理職には、部下の「人事労務管理」という職責を
果たすことになり、一般社員には、不当労働行為となる処遇や職権の乱用から
「身を守る手段」ということになります。

・「労働基準法」に違反すると・・・

労基法に違反すると、罰則規定(労基法第13章・第117条〜120条)が設けられて
います。この労基法を所管する厚労省の労働基準監督署は、監督官を各企業に
派遣して労基法の各条項が順守されているかどうかを査察することができる
権限をもっています。
そして、この労基法に違反した事実があり、労働基準監督署の指導や是正勧告に
従わなかった場合には、略式起訴を受けた簡易裁判所は、その企業に対して
労基法違反の条項に応じて、経営者や管理職に対して労基法に定める
管理監督者としての責任を果たしていないとして、一般的には「最高6カ月の
懲役刑」または「50万円以下の罰金」を科料することになります。
〔強制労働には「懲役1〜10年以下又は罰金220万〜300万円以下」〕

従って、ビジネスパーソンにとって、労基法を知らなかったということでは
済まされない事態に進展することにもなりかねません。

近年、長時間労働による労基法違反やサービス残業による残業代の未払い問題が
発覚し、過去2年間に遡及して残業代を支給するといった報道やニュースを
耳にしたことがあるのではないでしょうか。
また、会社を退職した社員が、在職中の労働条件の不当な処遇を巡って
「労働審判」や「労働裁判」を起こすことも頻発しています。
「労働審判」や「労働裁判」は、最終的には双方が調停による決着を図ることに
なりますが、会社は結果的に「時間」と「金」を浪費するだけという事例が
多くなっています。

このような事態にならないためにも、労基法を正しく知っておくことが大事です。

・直近の「労働基準法」違反の判例について

「ABCマート」での以下のような労基法違反が報道されました。

ABCマートは、労働基準監督署の指導や是正勧告にも関わらず、同2店舗の
従業員4名に対して、労基法が定めた法定労働時間を超える長時間残業をさせた
として、東京簡裁は、会社に対して「罰金50万円」の支払いを命ずる略式命令
を出しました。(会社は判決後・即納付)

また、従業員の上長2人(各店の店長)と労務担当役員に対しては、
「事実を認め深く反省し、長時間労働の改善に努めている」として、
起訴猶予処分としました。
これを受けて会社は、再発防止対策としての施策を講じるとともに、
全従業員に対して2度と同様の事件を起こさないように周知徹底を図ることを
約束することになりました。

・今後の連載について

本シリーズでは、ビジネスパーソンにとって身近な「労働基準法」について
取り上げて見たいと思っています。
特に経営層や部門管理者の方々にとっては知っておくべきことが多く含まれます。
日常業務を円滑に遂行するためにも、参考の一助にして頂けたら幸甚です。

次回<No.2>は『就業規則と労働基準法について』です。

『知って得する労働基準法』<No.2>』      <寄稿>

                       神門 善三郎  オフィス//イービジネス・コム
                           <人事労務政策コンサルタント>

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   〜 『「就業規則」と「労働基準法」について』 〜
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★自社の「就業規則」を読んだことがありますか・・・!?!

Q:質問です。皆さんは、自社の「就業規則」を一度は読んだことがありますか?
A:〔□有る □無い〕

皆さんのほとんどが、見たことはあるが、読んだことが無い
という回答になると推測しています。

では、それは何故でしょう・・・?
「毎日、安心して働くことができている」ということではないでしょうか。

しかし、働く社員として、会社が定めた社員の「行動規範」となる就業規則を
読んで知っておくことは、大変大事なことであると考えています。
そこには、社員として当然に「しなければならないこと」や「してはいけないこと」が
明記してあり、会社と社員の双方が、その条文を順守する義務と責任があるからです。

特に、管理職者は自社のこの就業規則に則って、
部下への管理監督(指揮・命令・指導)の権限を適正に行使することが重要です。

近年、長時間労働、セクハラ、パワハラなどが事件として起きていますが、
終業規則にはしてはいけないこととして必ず明記されています。
従って、これらのことをやってしまった社員や管理職は、就業規則違反として
罰則規定により処罰されることになります。

★「就業規則」とは・・・

終業規則は、労基法第89条により、1事業所において常時10人以上の労働者を
雇用する場合には作成する義務があるとしています。
そして、就業規則に必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」として、
次の3項目を定めています。

1)労働時間に関する事項(始業・終業時間、休憩時間、休日・休暇日数などに
  関する定め)
2)賃金に関する事項(賃金の決定や計算・支払方法、賃金の締切日・支払日、
  昇給に関する事項などに関する定め)
3)退職に関する事項(自己都合退職、定年退職、解雇退職事由などに関する
  定め)

また、この他に「相対的必要記載事項」として、各事業所において、
従業員の労働に関する制度やルールを定めて、それを適用する事項に関しては、
すべて就業規則に記載しなければならないとしています。

★「就業規則」の効力が発生する要件について

就業規則には、その効力が発生するための要件として、「労働基準監督署長への
提出・受理」と「全従業員に対して周知徹底」図ることを求めています。

(1)「就業規則」の作成と変更に伴う労働基準監督署への提出の手続き
について
 就業規則を作成した時や終業規則を変更した場合には、労働基準監督署へ
 届け出て受理してもらうことを義務づけています。
 その時、受理してもらうための要件として、社員を代表する労働組合、又は、
 労働組合が無い場合には社員代表者が、就業規則に関する意見を記し、
 署名・捺印をした書類を添付しなければならないことになっています。
 労働組合とは、従業員の過半数で組織した労働組合であることとしています。
 そして、労働組合が無い場合には、管理職を除いた従業員の過半数から投票や
 挙手等の公選によって、その過半数の従業員を代表する社員を選出することが
 求められています。それによって選出された社員を「社員代表」と呼びます。
 つまり、終業規則は、会社が労働組合又は社員代表者から意見を聴取し、
 署名・捺印された書類と一対となって提出することにより労働基準監督署長が
 受理することになります。
 これからも分かる通り「就業規則」は、会社側が一方的に定めたものではなく、
 そこで働く従業員が理解し、同意したものであることが大前提となっているのです。

(2)「就業規則」の周知徹底の原則
 就業規則が、発効するもう一つの要件として、全従業員に就業規則の条文を
 周知徹底する手段を講じなければならないことを義務付けています。
 つまり、就業規則は、従業員の「誰もが」「いつでも」社内や職場で、
 手にして読むことができる状態にあることを求めています。
 従って、終業規則を全従業員に対して周知徹底するための手段として、
 全員への配布や職場への備え付け、又は、電子媒体から何時でもモニターして
 確認できる状態にしておくことが一般的に取られている方法です。

(3)「終業規則」の効力発生期日
 就業規則は、前述(1)の労働基準監督署長の受理と(2)の従業員への
 周知徹底が図られて、はじめて、その効力が発生することになります。
 従って、終業規則として効力が発生する期日は、従業員に周知徹底された日
 ということになります。
 就業規則の最終の項に、附則として「施行(改訂)期日」の「年月日」が
 記載されています。
 この場合、その「年月日」以前には、全従業員への周知徹底を図っておく
 ことが肝要です。

次回は「法定労働時間と所定労働時間について」です。
 
『知って得する労働基準法』<No.3>』      <寄稿>

                       神門 善三郎  オフィス//イービジネス・コム
                           <人事労務政策コンサルタント>
 
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   〜 『「法定労働時間」と「所定労働時間」について』 〜
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★「法定労働時間」と「所定労働時間」について〔一般的な事例として〕

1)「法定労働時間」とは?

労基法は、全ての労働者(従業員)に適応しなければならない「労働時間の上限」を
定めています。

労基法32条は、労基法が定める管理職(管理監督者)を除く一般従業員の労働に
対して、1日並びに1週間の単位で、労働時間の上限を設定しています。
つまり、1週間では「40時間」、1日では「8時間」を超えて働くことができない
と定めています。
これを「法定労働時間」と言います。
 
2)「所定労働時間」とは?

所定労働時間とは、一般従業員が日常業務を遂行するために、会社の都合で定めた
労働時間のことを言います。

労基法では、会社は従業員の労働時間について、仕事を始める始業時間の
「始業時刻」と仕事を終える終業時間の「終業時刻」を定めて、
社員就業規則に明記することを義務付けています。(絶対的必要記載事項)

この場合に、会社は従業員の1日の労働時間が上述の「法定労働時間」である
実働「8時間」を、また、1週間では「40時間」を超える始業時間と終業時間を
設定することができません。
そして、1日の労働時間が「6時間」を超える場合には、その途中で必ず
「休憩時間」を一斉に付与することを定めています。

3)「始業時間と終業時間」とは?

始業時間とは、出社時間ではなく「仕事を開始する時間」です。
また、終業時間は仕事を終える時間で退社する時間ではありません。

従って、従業員は、始業時間よりも前に出社し、終業時間まで仕事をしてから
退社するよう心掛けることが大切ということになります。

一般的事例として、始業時間(時刻)「9時00分」、休憩時間「12時00分〜13時00分」、
終業時間(時刻)「18時00分」というように1日の労働時間を設定します。
この事例では、1日間に仕事をするための拘束時間は「9時間」となりますが、
その途中に1時間の休憩時間が設定されていますので実際の労働時間 (実働時間)は
「8時間00分」となり、労基法が定めた法定労働時間の上限(8時間)という
ことになりますので労基法違反にはなりません。
 
そして、会社と従業員の双方に対して、始業時刻と終業時刻を記録し、
労働時間を適正に把握するとともに、適切な労働時間管理をすることを定めています。

★「休憩時間」の付与について
〔一般的な事例として〕

労基法34条は、一般の従業員に対して、1日の労働時間が「6時間」を超える
場合には少なくとも「45分間」、また、1日の労働時間 (実働時間)が「8時間」を
超える場合には、最低でも「60分間」の休憩時間を付与しなければならないと
定義しています。

そして、この休憩時間は、1日の労働時間の中途で、連続した時間を全従業員に
対して一斉に与えなければならないことになっています。
従って、1日の労働時間が「6時間」以下の場合には、休憩時間を付与する必要は
ありません。

★「法定休日」と「所定休日」について〔一般的な事例として〕

1)「法定休日」とは?

労基法35条は、労基法が定める管理職(管理監督者)を除く一般労働者に対して、
毎週(日曜日〜土曜日の7日)の内に「1日(※)の休日」または、4週間を通じて
「4日以上の休日」を付与しなければならないと定めています。
これを「法定休日」と言います。 
(※)〔1日とは、午前0時から午後12時までの継続した「24時間」を云う〕

法定休日は、従業員が仕事をしないで自由に過ごす休日として、
会社は仕事をさせてはならないという強制力がありますが、
何曜日を休日にするかについての定めはありません。 
従って、法定休日を何曜日にするかは、労使(会社と労働組合又は社員代表)で
合意すれば良いことになります。
また、会社業務の都合により、やむなく法定休日に出勤を命ずる場合には、
事前にその休日出勤分の「代休を取得する日」を双方で決めておくことが大事です。

2)「所定休日」とは?

法定休日以外に会社の都合で決定し、従業員全員に一斉に付与する休日を
「所定休日」と言います。

一般的には、土曜日・日曜日や祝祭日(振替日)、創業記念日、夏季休日(休暇)、
年末年始休日(休暇)などですが、これらの所定休日には法定休日のように
絶対的に休まさなければならないという強制力はありません。
従って、会社業務の都合により、従業員は所定休日に出勤して働くケースもある
ということになります。

★労基法上の「管理職(管理監督者)」には適用されません

上述の「法定労働時間」「法定休日」「休憩時間」は、労基法が定める
「管理監督者」には適用されません。

従って、会社は、就業規則に明記した「所定労働時間」「所定休日」「休憩時間」を
管理職には適用する必要はありません。
しかし、会社が管理職として登用していても、労基法が定めた「管理監督者」の
要件を満たしていない管理職には原則として適用しなければなりません。
(所謂、名ばかり管理職)

★トピックス「ブレークスルー」

《 1日の所定労働時間を短縮する傾向が強まってきています! 》

・所定労働時間の短縮は、従業員の働き方の多様性やワークライフバランスへの
対応を図ると共に、社員自身の自分時間の増大や健康管理にも役立つことになります。
また、企業にとっても、賃上げをしなくても実質的なベースアップを実施したことに
なります。しかし、一方で、残業時間単価が上がります。
従って、所定労働時間の短縮分が、所定外労働時間(残業時間)が増えるという
ことにならないための労務管理が重要となります。

・味の素は、2017年度に、現行の所定労働時間「7時間35分」を
20分間短縮して「7時間15分」にすることで労使が合意しました。
これにより1年間の所定労働時間が「80時間」減少することになります。
この結果、月額給与に換算すると、月間で14,000円相当額のベースアップに換算
できるとしています。 

★次回は「36協定と時間外・休日労働(残業)について」です。

 『知って得する労働基準法』<No.4>』      <寄稿>

                       神門 善三郎  オフィス//イービジネス・コム
                           <人事労務政策コンサルタント>

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 〜 『36協定と法定労働時間外の労働(所謂:「残業」)について』 〜
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★「36協定」とは?

労基法第32条は、労働者(従業員)の法定労働時間を「1日8時間」
「週40時間」を上限とし、これを超えて働くことを禁止しています。

しかし、労働者の日常業務は、年度予算や年度決算等の業務繁忙期や
作業計画の変更・追加・遅延、マンパワー不足など不測の事態が発生する
ことにより、上記の法定労働時間内で仕事を終わらせることが不可能と
なる実情が発生することになります。

そこで法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働くことが
できるようにするために労基法第36条が設けられています。

労基法第36条は、労働者が法定労働時間を超えて働くことを可能と
するために、残業に関する労使双方による合意事項を協定書として締結し、
労働基準監督署に提出することを義務づけています。
この労基法36条は、労働者を法定労働時間外に労働(残業)させるための
労使協定締結を義務付けた条文ということで「36(サブロク)協定」と
呼んでいます。

★「36協定」の締結と管理監督者の「指示・命令」により残業が可能

労使によって「36協定」を締結し、管理監督者の指示・命令によって、
労働者は初めて法定労働時間を超えて、残業することが可能となります。

その一方で、管理監督者が従業員(部下)に対して無制限に長時間にわたる
残業をさせることを防止することと長時間労働による健康障害発生の予防と、
仕事の労働生産性の向上を図るために厚労大臣公示により、
つぎの通り残業労働時間に「限度時間の基準」が定められています。

 ・〔1週間:「15時間」、2週間:「27時間」、4週間:「43時間」〕
 ・〔1カ月間:「45時間」、2カ月間:「81時間」、3カ月間:「120時間」〕
 ・〔1カ年間:「360時間」〕
また、毎月の残業時間が限度時間の「45時間」となる場合には、
年間で6回までとするよう制限されています。
従って、労使で締結する36協定は、この「限度時間の基準」等を順守した
ものでなければなりません。

一方で、労働者の業務遂行の現実は、「限度時間の基準」を順守することが
不可能となる突発的な不測の事態の発生(例えば、複数業務の集中、
完成納期の時間制限、社員の私傷病や退職によるマンパワー不足など)に
備えて対応できるようにしておかなければ顧客との信頼関係を損なう事態を
招くことになります。

そこで、上述の限度時間の基準(月間45時間や年間360時間)を、
更に延長して残業労働をすることを可能とするために、
この36協定の締結に加え、更に「特別条項」を付加した労使協定を
締結することを認めています。

★「特別条項」とは?

労使により締結した「36協定」の限度時間の基準を更に延長して
残業ができることを可能とするために「特別条項」を設けています。

この特別条項とは、業務の遂行時において臨時的、突発的に発生した
事態に対処することを大前提とした「特別な事情による特別延長時間」
として、つぎの諸事項を満足することとしています。

1)厚労大臣公示の限度時間の基準を超えて残業をすべき特別の
  事由があること
  (納期の切迫、機械設備の故障、取引先の倒産、災害等の発生など)
2)特別延長の措置については、必ず労使間による協議の手続きを経ること
3)特別延長をする残業時間数を事前に設定しておくこと
  (但し、原則として時間の制限はない)
4)特別延長の回数は、「1年間で6カ月を超えない」こととすること
5)特別延長時間分の残業時間単価の割増率は「+25%超」とする
  努力義務をすること

この特別条項により、年間6回に限って、月間の限度時間基準の45時間を
超えて「70時間」まで、また年間では360時間を超えて「500時間」
までの残業が可能となります。

但し、労使の協議において合意が成立し、協定書を締結することで、
上限時間の月間70時間や年間500時間を更に超える残業時間を
設定することも可能となっています。

※つまり、特別条項による残業時間は「労使の合意」があれば
 上限時間には制限がないという解釈になります。

★「残業の認定基準(認められる残業、認められない残業)」について

労働者の残業は、前述の通り労使による「36協定」と「管理監督者」
による指示・命令や「事前の承認」があって、初めて残業業務として
成立することになります。

従って、36協定の締結がない場合には残業をすることはできません。
また、管理監督者の指示命令や事前承認がないままに残業をした場合には、
本人の自己判断による自主的な残業行為とみなされ、
会社は残業代を支払う義務がないということになっています。

一方で、昨今の業務の遂行に当って、上長と部下とのコミュニケーション
不足や遂行業務の内容や進捗管理等が双方で十分に把握されにくい
状況の中で残業業務が進行する傾向が強くなっています。

このような場合には、部下は必ず上長から残業業務について
当日に事前の承認を取付け、翌朝には業務の進捗状況を報告し、
残業時間の承認を得ておくことが肝心です。

残業をしたのに残業代が支払われないといったトラブルの防止になります。
また、管理監督者は、部下の長時間労働の実態把握と健康管理等の
安全配慮義務への特段の留意を心掛けることが大切です。

★残業問題が引き起こした「長時間労働に関する課題と事件」について

昨今、企業側が残業をした従業員に残業時間に相当する割増賃金を
支給しなかったり、長時間労働が原因とした労働者の健康被害や自殺と
言った労働災害が多発しています。
厚労省は、その防止策の一環として、企業への監督指導を強化することに
しています。

また、労働審判や裁判では、その責任を会社側の安全配慮義務や
コンプライアンス違反を問うものとなっています。

1)長時間残業への立入り調査と指導の強化策の実施
 一般的に、1カ月に「80時間」を超える残業が、一定期間連続して
 繰り返すことで、その残業当事者が心神疾患や心臓疾患の発症原因
 として労災が認定されるケースが定着してきています。
 そこで、労働基準監督署は、これまでの月間残業時間の立入調査基準を
 「100時間」から「80時間」に引下げ、1カ月に「80時間」を
 超える従業員が1人でもいる事業所を対象に立入検査と指導を強化する
 としています。

2)厚労省は、2014年度の「未払い残業代」の遡及支給者対象者が
  20万人を超えたと発表
 2014年度において、労働基準監督署が、未払い残業代として認定し、
 是正勧告をして100万円を超える追加の残業代を支払った企業は
 「約1300社」、残業代の支払い額は「約142億円」であったと
 している。
 労働債権の時効は2年間となっており、未払い残業代は、過去24カ月分
 遡及して支払うことになります。

3)長時間労働による自殺者の遺族に「6000万円」の損害賠償を
  支払う判決命令
 東京地裁は、東京のIT関連会社に勤める男性社員(31歳)の
 自殺の原因が、2カ月連続で残業時間が170時間超の過重労働に
 あったとして、損害賠償金「6000万円」を遺族に支払うよう
 会社に命じる判決に対して会社は上告せず支払うことで決着。

★次回は、「休日出勤(残業)並びに残業手当の割増率について」です。 

 『知って得する労働基準法』<No.5>』      <寄稿>

                       神門 善三郎  オフィス//イービジネス・コム
                           <人事労務政策コンサルタント>

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     〜 『法定休日出勤と所定休日出勤について』 〜
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★法定休日について

労基法は、1週間に1日、4週間に4日の休日を与えなければならない
と規定しています。
従って、1週間の日曜日から土曜日の1日を休日として労働者に付与
しなければなりません。この休日は、労働者にとって、労働を提供する
「義務のない」日として、自由に利用することを保証した休息日
ということになります。

★所定休日について

企業が就業規則等で定めた休日を云い、労働者にとって労働を提供する
「義務を免除された日」と云うことになります。
従って、年間の所定労働日数が、その分だけ削減(減少)することになります。
このように労働者の休日には、労働を提供する「義務のない日(法定休日)」
と「義務を免除された日(所定休日)があり、完全に区別して取扱う
ことになります。

★休暇日について

休暇日は、労働義務のある所定労働日に、会社の承認や法の規定に基づき
労働者の請求によって労働の義務を免除される日のことを云います。
この「休暇日」と「法定休日」と「所定休日」は、その取扱いにおいて
それぞれ違うということを理解しておくことが大事です。

★所定休日と休暇日の違いについて

一般的に、所定「休日の増加」は、その休日日数に比例して年間の労働日数
が減少することとなり、所定労働時間数の短縮ということになります。
一方で、「休暇日の増加」は、年間の労働日数に変化をもたらすことは
ありません。従って、年間の労働時間の短縮にもなりませんので
1時間当たりの賃金単価にも影響を及ぼすことになりません。
従って、夏休み・正月休みや創業記念日等を休暇にするか休日にするかで
年間の所定労働日数、所定労働時間数が変化することになります。
つまり、年間労働時間数の短縮は、1時間当たりの賃金単価が上昇することに
つながっていくことになります。

★法定休日の出勤について

法定休日は、会社の都合で「何曜日」にするかは自由に決定することが
できます。しかし、業務遂行の都合で管理監督者から法定休日に出勤する
ように業務遂行の指示命令があれば、原則として、労働者はその法定休日に
労働することを受入れることになります。

※法定休日の出勤に対する取扱は、つぎの点に留意してください。
1)法定休日の出勤労働には、4週間以内に他の特定した日と振替を
  することが認められています。
  この場合には、法定休日自体を他の日と「交換」したことになり、
  法定休日出勤には当たらないことになります。
  しかし、このような法定休日の振替(交換)は、事前(前日まで)に
  当事者間の双方で確認と承認の周知徹底を図っておくことが要件と
  なっています。
  (*事後処理では不可。「代休」として取扱うことになる)
2)法定休日出勤には、1時間当たりの賃金単価の割増率は「35%以上」の
  賃金を支給しなければなりません。
3)法定休日出勤は、所定休日出勤と所定労働時間外労働とは、
  完全に区別して取扱うことになりますので
  厚労大臣公示による「限度時間の基準」に該当せず、1カ月の
  限度残業時間である「45時間」に算入する必要はありません。
  
★国民の祝日の出勤について

国は、国民の祝日を「休日」と定めていますが、労働者を休ませることを
企業に義務付けるものではありません。
つまり、国民の祝日を「休日」にするか否かは、企業側の自由裁量に
任されています。
従って、祝日を「休日(所定休日)」にした場合に、労働者に出勤労働を
させても労基法上の法定休日出勤には該当せず、
「35%以上」の割増賃金を支払う必要はありません。

★所定休日の出勤について

所定休日とは、 企業が労働者に対して、労働を提供する義務を免除する
ことを就業規則等で定めた休日のことを云います。
一般的には、法定休日を「日曜日」に定めた企業では、「土曜日」又は
「その他の曜日」の1日を休日として週休2日制が定着しています。
そして「国民の祝日」を休日と定めているところが多くあります。
その他、創立(業)記念日、メーデーや季節的な休日(夏季・年末年始)など
が該当します。
しかし、前述の通り、この記念日やメーデー、夏季・年末年始の休みを
「所定休日」にするか「休暇日」にするかによって、
その取扱いが異なってきますので注意することが肝要です。

★所定休日出勤時間の取扱いについて

「所定労働時間」「所定外労働時間」「所定休日出勤労働時間」の3つの
労働時間は、相互に密接な関係にありますので十分注意して取扱う必要が
あります。
つまり、1カ月の法定労働時間「40時間」は、この3つの時間の総合計が
「40時間」であれば労基法違反にはなりませんし、また、原則として、
残業代を支払う必要もないということになります。

<事例>
・ 所定労働時間が「40時間」、法定休日出勤による労働時間を「8時間」
 とすると1カ月の総労働時間は「48時間」になりますが、
 労基法違反には該当しません。
・ 残業労働は、この3つの総労働時間数が、月間で「40時間」超えた
 場合に、その40時間を超えた労働時間に対して、初めて「割増賃金
 (残業代)」の支払いが発生するということになります。

★トピックス

1.マタハラ(マタニティー・ハラスメント)の相談件数が
 2年連続で過去最多を更新
 ・厚労省は、2015年度に労働者から全国の労働局に寄せられた
  マタハラ相談件数が「4762件」で、2年連続で過去最多を更新したと発表。

2.ユニリーバ・ジャパンは、今7月1日から社員が働く「場所」と「時間」の
 自由選択制を導入 
 ・同社は、工場勤務など一部の社員を除き、約400人の社員が自分の働く
  「場所(自宅・オフィス・図書館・カフェ)」と「時間(「AM6時?PM9時」)」を
  自由に選択できる新人事制度(WAA)を導入すると発表。
 〔Work from Anywhere and Anytime〕
  会社が定めた1日の標準労働時間(7時間35分)と休憩時間(60分)を
  厳守すること、並びに、上司に1週間単位で事前申請し、
  承認を得ることを条件に、自分の好きな時間に、好きな場所で仕事が
  できるようにするとしている。 
  〔1カ月の標準労働時間は(7時間35分×所定労働日数)〕

★次回は、「残業労働時間に関する割増賃金について」の予定です。
 
  『知って得する労働基準法』<No.6>』      <寄稿>

                       神門 善三郎  オフィス//イービジネス・コム
                           <人事労務政策コンサルタント>

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 〜『所定労働時間外の労働(残業)時間と残業手当の割増賃金率について』〜
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★1日の労働時間区分について

労働時間には、労基法が定めた「法定労働時間」と企業が就業規則で定めた
「所定労働時間」があります。
法定労働時間は、1日8時間と定めていますが、
所定労働時間は、1日8時間以下の実労働時間であれば、企業が自由に決定し、
終業規則等に明記して労働者に対して徹底すれば良いことになっています。
(1日の労働時間が法定労働時間の8時間の場合には、それが所定労働時間です)

また、1日は、午前0時から24時までの24時間です。
そして、その1日24時間は、「所定労働時間」と「所定労働時間外(残業時間)」
に区分され、「当日22時〜翌日5時」の間は、深夜労働(残業)時間となります。

・1日(0時から24時)の労働時間帯区分は、次のようになります。
1)1日の法定労働時間は、実働「8時間」の時間帯です
2)1日の所定労働時間は、始業時間から終業時間までの時間で実働
  「8時間以下」で会社が定めた時間帯です
3)1日の所定労働時間外(残業) 時間は、「所定終業時間〜始業時間」の
  時間帯です (所謂:残業時間帯)
4)深夜労働(残業)時間は、「当日22時〜翌日5時(7時間)」の時間帯です

★1カ月の時間外労働(残業)における時間区分と割増(賃金)率について
 (平成22年4月1日施行)

1)時間外労働(残業)の累計時間が「45時間」以下の割増率は
  ・・・〔25%〕以上
2)時間外労働(残業)の累計時間が「45時間」超〜「60時間」以下の割増率は
  ・・・〔25%〕以上
  但し、45時間以下の「25%」を超える割増率とするように労使協定による
  努力義務。(一般的には「30%」が多い)
3)時間外労働(残業)の累計時間が「60時間」超分の割増率は
  ・・・〔50%〕以上
  *但し、一部の中小企業(*1)には、当分の間は適応しないとしています。
    (今後、撤廃に向けて協議中)
4)深夜残業の時間帯「当日22時から翌日5時までの間」の割増率は
  ・・・〔50%〕以上
 *労働時間適用除外者(管理職)等が、この深夜残業時間帯に残業をした
  場合は、深夜残業手当は支給しなければなりません。
5)1年間の時間外労働(残業)の累計時間が「360時間」超分の割増率は
  ・・・〔40%〕以上
6)法定休日出勤労働の割増率は
  ・・・〔35%〕以上
7)所定休日出勤労働の割増率は
  ・・・〔25%〕以上
  〔法定休日出勤労働とは区別をせず、同じ割増率となる「35%」を適用
   しているところが多い〕

(*1)中小企業の定義
    資本金又は出資金総額が「3億円」
    (卸売業は「1億円」、小売業・サービス業は「5千万円」)以下。
    または、常時使用する労働者数が「300人」
    (卸売業・サービス業は「100人」、小売業は「50人」)以下。

★法定休日労働時間と所定休日労働時間における残業累計時間の加算について

上述の通り、1カ月間の残業時間の累計が「45時間」超となった時、その超過分
の残業時間に対して、更に割増した残業手当を支払うことになっています。
この場合、「法定休日出勤」の時間分に関しては、その残業累計時間に算入
しなくても良いことになっています。

つまり、法定休日出勤における労働時間は、通常の時間外労働(残業)とは
個別の概念として取扱うことになります。
但し、「所定休日出勤」の労働時間は、通常の時間外労働(残業)として
残業累計時間に算入しなければなりません。

★1時間当たり残業単価の算出方法について(月給制の場合)

1時間当たりの残業単価は、「月額給与支給額」と「所定労働時間数」により、
次の通り算出することになります。
 「月額給与支給額」÷「1カ月の平均所定労働時間数」=「1時間当たりの
  残業単価(時間単価)」

・「月額給与支給額」とは?

「月額給与支給額」とは、基本給+役職手当+技能・資格手当+精勤手当などの
合計額とします。従って、家族手当、労基法が定める住宅手当、通勤手当等は、
時間単価の算出計算から除外することができます。
但し、労基法に準拠しない住宅手当は、残業単価の算出計算には含めなければ
なりません。

・「1カ月の平均所定労働時間数」とは?

1)毎月ごとの所定労働日数を基準として算出する方法
 (毎月ごとに分母が変わることになります)
 〔当月の総日数(28・30・31日)〕―〔当月の法定+所定休日数〕
  ×〔1日の所定労働時間〕
2)年間の所定労働日数を基準として算出する方法
 (1年間を通して分母が同一となります)
 〔年間総日数(365日)〕―〔年間の法定+所定休日数〕÷〔12〕
  ×〔1日の所定労働時間〕
 *事務処理の利便性やミス防止の観点から「2)」の方式が賢明です。

★時間外労働(残業)をめぐる問題点

サービス残業(所謂、賃金不払い残業)の一因となり、労使間の係争問題にまで
発展するケースとしてつぎの2つの制度があります。

これらの制度を設けることは違法ではありませんが、それを設定する根拠と
具体的な時間や金額を明示すると共に、その設定上限を超える残業には、
残業手当の追加分を別途に支給する旨を就業規則等で明記することが大事です。

1)1カ月間における残業時間や残業手当に一定の限度時間や限度額を
  設定している場合の問題点

  一般的には、打切り残業と言われる制度です。
  1カ月の残業時間や残業手当額の上限を設定し、実際にはそれを超えた
  残業をしても残業時間の適正な申告をしづらくするようにしているものです。

2)予め残業労働や休日出勤労働分の残業手当額分をオンして、
  月額給与や年俸額を設定している場合の問題点

  一定額の残業手当額を含めて月額給与や年俸額を設定し、残業の有無に
  関わらず賃金を支給する制度です。
  この場合には、そこに含まれている残業手当額は1カ月間(又は、1年間)の
  「何時間分の残業に相当する金額」であるかを具体的に明示することが
  必要となります。
  この制度の場合、残業をする社員と、残業をしない社員との間で、
  賃金に不公平が生じることとなります。

★トピックス

政府が推進する「介護離職ゼロ」政策の一環として、介護労働者の「残業を免除
(残業を命じることが不可)」する制度を、企業に義務付けることになりそうです。
この制度の導入が決定すれば、企業は就業規則に明記し、労働者に徹底を図る
ことになります。

その概要は、次の通りです。
・来年1月に施行される「改正育児・介護休業法」に基づく省令で実施予定
・本制度の適用者は、週3日以上の勤務を1年間以上継続している「全労働者」
・「要介護2」以上の家族を自宅介護している労働者
・期間は、「1カ月〜1年間」としているが、更新が可能で期間も延長可
*現行法では、「1カ月=24時間」「1年間=150時間」を超える残業は原則禁止
 
★次回は、「休暇(休業)の種類と管理について」の予定です。

  『知って得する労働基準法』<No.7>』      <寄稿>

                       神門 善三郎  オフィス//イービジネス・コム 
                          <人事労務政策コンサルタント>

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    〜『休暇と休業の種類と管理〔1〕法定年次有給休暇』〜
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★法定有給休暇・休業と会社休暇

労働法の休暇・休業とは、労働者が労働義務のある労働日に使用者(企業の
管理監督者)から、就業義務を免除される日のことを指します。
そして、休暇・休業には、労働基準法(労基法)や育児介護法(育介法)で
定められたものと会社が独自に就業規則や労働協約などに定めたものとが
あります。

★法定有給休暇・休業

法定休暇は、労基法に定める「年次有給休暇(労基法39条)」、「産前・産後
休暇(労基法65条)」、「生理休暇(労基法68条)」があり、
企業は、労働者に対して必ず付与しなければなりません。
また、育児介護法に定める特別休業として「育児休業(育介法5〜9条)」、
「介護休業(育介法11〜15条)」「看護休暇(育介法16条の2)」「介護休暇
(育介法16条の5)」があります。

★会社休暇


会社休暇は、その休暇を設けるか否かは会社の自主的判断により、
付与することが原則となっています。
従って、その種類と付与日数は、会社により多種多様となっています。
一般的には、会社独自の「年次休暇」「慶弔休暇」「病気災害休暇」
「ボランティア休暇」などがあります。
そして、これらの会社休暇についは、終業規則や労働契約により、
全社員に周知を徹底する必要があります。

★法定年次有給休暇の取得日数について

1)法定年次有給休暇(以下、「法定年休」)

法定年休は、労働者の雇い入れの日から起算して6カ月間継続勤務し、
全労働日の80%以上出勤し、勤務した労働者に対して「10日間」の年休を
与えなければなりません。
従って、新入社員や中途入社者には、入社日から6カ月間は法定年休を
付与する必要はありません。
その後、勤続が1カ年ごとにつぎの通り、年休が増えることになる仕組みに
なっています。
 ・  6カ月の継続勤務経過者・・・年休付与日数「10日」
 ・1年6カ月の継続勤務経過者・・・年休付与日数「11日」
 ・2年6カ月の継続勤務経過者・・・年休付与日数「12日」
 ・3年6カ月の継続勤務経過者・・・年休付与日数「14日」
 ・4年6カ月の継続勤務経過者・・・年休付与日数「16日」
 ・5年6カ月の継続勤務経過者・・・年休付与日数「18日」
 ・6年6カ月の継続勤務経過者・・・年休付与日数「20日」
 ・7年6カ月以降の継続勤務経過者には、年休付与の日数は「20日」が上限

2)法定年休取得の法的効力について

法定年休は、使用者は労働者が「指定する日」に、理由を問わず与えることが
大前提になっています。
一方で、使用者には「時季変更権」という権利が認められていますが、
その行使に当っては、「会社事業の正当な運営を妨げる客観的な事由がある
場合に限る」としており、単なる繁忙を理由とした否認は不可となります。
その他、使用者はつぎのことに留意する必要があます。
 ・取得した年休分の賃金カットは「不可」
  〔年休の賃金カットは違法です。従って、年休の未消化分に賃金を
   支払わなくても良いことになります〕
 ・取得承認の要否は「否」。
  〔労働者からの取得申請は承認しなければなりません〕
 ・取得の事由の記入は「不可」。
  〔取得の理由は問うことができません〕
 ・取得手続きの制限は「不可」。
  〔事前申請による取得が原則ですが「2日前までに」といった条件を
   付けることはできません〕
 ・有効期間中の年休の買い上げは「不可」。
  〔有効期間中の年休を買い上げることは違法です〕
  但し、2年間の時効によって消滅する法定年休の買い上げや
  退職者の未消化分の法定年休を退職時に買い上げることは違法には
  なりません。
 ・法定年休の有効期間は「2年間」。
  〔当年に付与した年休の未消化日数は翌年まで繰越が可。従って、
   年間最多40日間の年休付与となる〕

★法定年休の半日単位と時間単位の取得について

年休を半日単位で取得することはこれまでに認められていましたが、
新たに時間単位で取得することが可能となっています。(平成22年4月1日施行)
この場合には、つぎの労使協定を締結する必要があります。
 ・時間単位の年休を付与することのできる労働者の範囲を定めること
 ・時間単位の年休の付与日数は、1年で5日分以内の範囲に限定すること
 ・時間単位の年休の付与は、1日の所定就業時間分を下回らないこと

★法定年休の計画的付与の協定について

法定年休は、労働者が自由にいつでも取得できることが大原則となっています。
しかし、年休取得率の向上のための政策として、会社の都合で計画的に
労働者に年休を取得させることを厚労省も積極的に推奨しています。
この場合、労働者が自由に取れる年休として「5日」分を確保すれば、
残りの年休日数について労使協定の締結を前提に計画的に年休を取得
させるための休暇制度の導入が認められています。

★法定年休を巡る問題について

1)当日の朝になって、電話で"今日「年休」を取りたい"との申し出があった場合

年休は本人からの「前日までの事前申請」を原則としています。
従って、事後申請の年休取得は、使用者の判断により「承認」するか、否か
を決定することになります。(不承認でも良いことになります)

2)当日の"「遅刻・早退」を年休に振り替えたい"との申し出があった場合

年休は、1労働日を単位とするものであり、時間単位の取得は原則として
認められないことになります。
しかし、半日単位、時間単位の年休取得を労使協定で導入している会社
では、使用者が認めた場合には問題はありません。
但し、30分の遅刻・早退に対して1時間の年休を充当することはできません。

3)事後になって"病気欠勤分を年休に振り替えたい"との申し出があった場合

年休を取得する目的は、取得者の自由であり病気欠勤のために取得すること
には問題ありません。しかし、病気欠勤を事前ではなく、事後の場合には
労働者の権利として求めることは不可です。
従って、使用者が従業員の病気欠勤を事後おいて年休として承認することには
問題ありません。
(日本の会社では、このように「病気欠勤」を年休に振り替える措置が
社会通念となっています)

★年次有給休暇を付与する本来の目的について

法定年休を付与する目的は、労働者が多忙な仕事から解放されて、
自己の生活向上のためにリフレッシュやエンジョイしたり、
趣味や教養を高めることを前提に所定労働日の1日を単位として
付与するものです。
しかし、今日では週休2日制や1日の所定労働時間の短縮などが定着する
一方で、時間外労働が増加し、労働者にとって法定年休を取得する機会を
得ることが難しくなっているのが現状です。
一方で、従業員の働き方の改革としてワークライフバランスへの対応が
重視されるようになっています。
従って、年休の消化率向上のために「計画的付与年休」や「半日単位」・
「時間単位」での年休取得ができる等の制度改革が行われてきました。
これからは、労使が知恵を出し合い、従業員の誰もが付与された年休の
大半が取得できるように職場環境を整備・変革する努力が肝要では
ないでしょうか。

★10月は年次有給休暇取得の促進月間です。

厚労省は、毎年10月を「年休取得促進期間」と定めて、企業と従業員に
年休を取得できる具体的な対策の実行を求めています。

★次回は、「休暇と休業の種類と管理〔2〕年次有給休暇以外の休暇・休業」の
 予定です。

  『知って得する労働基準法』<No.8>』      <寄稿>

                       神門 善三郎  オフィス//イービジネス・コム 
                          <人事労務政策コンサルタント>
 
     =========================
   〜『休暇と休業の種類と管理〔2〕育児介護法の休暇・休業』〜
     =========================
     「労基法の休暇のつづき」・「育児介護法の休暇・休業」

★ 労基法は、前号の「年次有給休暇」以外に女性労働者には「生理休暇」
「産前・産後休暇」、労働者の全員に「裁判員休暇」を取得できることを
定めています。


1)生理休暇:

生理休暇(労基法第68条)は、会社は生理日の就業が著しく困難な女子従業員が
生理休暇を請求した場合には、請求のあった期間(複数日)は就業させては
ならないとしています。
生理休暇は、1日単位、半日単位、時間単位であっても当人の請求に基づいて
付与することになります。
そして、この生理休暇の期間は、会社は本人の賃金は「無給」としても良い
ことになっています。

2)産前・産後休暇:

産前・産後休暇(労基法第65条)は、会社は本人の出産日を基準として妊娠
4カ月以上の女子従業員に対し「産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)」、
「産後8週間」の休暇を付与する義務があります。
(産前とは出産した日までとし、産後とは出産した日の翌日以降を云います)
但し、産後6週間が経過し、本人から職場復帰して働きたいとの申し出が
あった場合には、医師が支障ないと認めた業務に限って仕事に就かせること
は認められています。
そして、この産前・産後の休暇期間中は、会社は本人の賃金は「無給」と
しても良いことになっています。

3)裁判員休暇:

平成21年度より国民裁判員制度の導入・施行に伴って、従業員が裁判員
若しくは補充裁判員になった場合、又は裁判員候補となり、その職務のために
必要な日数(時間)の休暇を請求した場合には、会社はこれを拒むことは
できないとしています。
(労基法第7条「公民権行使の保障」として取扱うことになる)
この場合の賃金は、会社の裁量に任されており無給でも問題はありません。
(出席者は裁判所から日当か支給)

しかし、現状では無給としないように裁判所からの要請もあって、
有給扱いとしている会社が多いようです。
従って、社員就業規則に本件に関する取扱規則を作成し、
明記しておくことが賢明です。

★ 育児・介護休業法(育介法)は、労働者が子供の養育のための「育児休業」
と「育児休暇」並びに労働者が家族を介護するための「介護休業」と
「介護休暇」を取得することができると定めています。


1)育児休業:

子供を養育するための育児休業(育介法第5条?第9条2)は、
労働者の申し出により、子供が「1歳の誕生日の前日」までの間、
原則として1回の「育児休業」を取得することができます。
また、男性労働者(夫)の育児参加促進のために「パバママ育休プラス」の
特典制度を設けています。
つまり、子供の出産後8週間以内に育児休業を取得する男性労働者は、
子供が1歳2ヶ月まで育児休業の期間を延長できるとした制度です。
但し、育児休業の全期間は、女性・男性労働者共に1年を超えないことと
しています。
更に、子供が1歳を超えても、保育所に入れないなどの一定の要件(*1)を
満たす場合には、「1歳6ヶ月」に達するまでの間、育児休業を延長する
ことができるとしています。

 (*1)一定の要件とは
 ・保育所に入所を希望しているが、入所できない場合。
 ・1歳以降の子供の養育をする配偶者の死亡、負傷・疾病等の事情で
  子供を養育することが困難になった場合。
  つまり、育児休業が取得できる期間には、つぎの3つのケースが
  あることになります。
 1.通常の育児休暇を取得する場合は、子供が1歳の誕生日の前日まで 
 2.両親が共に一定の要件を満たす育児休業を取得した場合の特例として、
   子供が1歳2ヶ月になる前日まで
 3.子供が1歳になっても保育所に入所できない等の事情がある場合の
   特例として、子供が1歳6ヶ月になる前日まで

2)看護休暇:

看護休暇(育介法第16条2・3)は、小学校就学前の子供を養育する労働者の
申し出により、子供が1人の場合は年間「5日」、2人以上の場合は、
年間「10日」まで取得することができます。
看護休暇は、子供の病気や怪我の看護、また、予防接種や健康診断を受け
させる時に利用することができます。
この看護休暇は、原則として1日単位で取得することになっていますが、
半日や時間単位でも取得ができるように柔軟な運営に努めることも
求めています。

3)介護休業:

介護休業(育介法第11条?第15条)は、労働者の対象となる家族(*1)が
要介護状態(*2)に至った時、労働者の申し出により、要介護者1人につき
年間を通して通算「93日」まで取得することができます。

 (*1)対象家族の範囲==>〔配偶者・父母・子供、及び配偶者の父母、
    並びに同居しかつ扶養養している祖父母・兄弟姉妹・孫〕
 (*2)要介護状態==>〔負傷・疾病、又は、身体・精神障害により、2週間
    以上にわたって常時介護が必要とする状態〕

4)介護休暇:

看護休暇(育介法第16条5・6)は、要介護状態にある対象家族の介護
その他の世話(*1)をする労働者の申し出により、
対象家族が1人の場合は年間「5日」、2人以上の場合は、年間「10日」まで、
原則として1日単位で取得することができます。

 (*1)その他の世話とは〔介護、通院等の付添、介護サービスを受ける
    ための必要な手続きの代行など〕

★ 育児・介護を行う労働者への配慮義務
    (育児・介護のための両立支援制度)について


育児・介護を行う労働者が書面で申し出た場合には、会社はつぎの事項に
ついて、一定の配慮をしなければなりません。
つまり、労働者自らが行う「育児・看護という私的行為」と「会社業務の遂行」
との両立が図れるようにバランスの取れた配慮措置をすることを
会社に求めています。

・育児に関する配慮義務
 1.所定労働時間を短縮する措置 (短時間勤務制度)
   ==>「3歳未満の子供」を養育する労働者
 2.所定外労働の制限措置 (所定労働時間を超えて働かせてはならない)
   ==>「3歳未満の子供」を養育する労働者
 3.法定時間外労働の制限措置(1ヶ月24時間、年間150時間を超える
   残業をさせてはならない)
   ==>「小学校就学前の子供」を養育する労働者
 4.深夜時間帯(22時−翌朝5時)の制限措置 (深夜時間帯において労働
   させてはならない)
   ==>「小学校就学前の子供」を養育する労働者 

・介護に関する配慮義務
 1.所定労働時間を短縮する措置 (短時間勤務制度)
   ==>始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ、フレックスタイムなど
 2.法定時間外労働の制限措置(1ヶ月24時間、年間150時間を超える
   残業をさせてはならない)
 3.深夜時間帯(22時−翌朝5時)の制限措置 (深夜時間帯において労働
   させてはならない)

・育児・介護共通の配慮義務
 1.配置転換や転勤によって、育児・介護の継続が困難になることへの
   配慮措置
 2.育児・介護休業並びに休暇を取得した労働者が不利益となる取扱いの禁止

★ 労働者が取得した育児・介護休業、休暇の取扱いについて

育児・介護休業や休暇は、労働者が事前に申し出た時、会社はその取得を承認
しなければなりません。
従って、これらの休業・休暇は、労働者の私的行為であり、会社はこの期間の
賃金を支払う義務はありません。
しかし、労働者が取得した休業日数や休暇日数分は、年次有給休暇付与の
出勤日数の計算上は、出勤したものとみなさなくてはなりません。
一方で、退職金の勤続日数や賞与支給対象日数については算入する義務は
ありません。
 
いずれにしても、育児・介護休業、休暇の取扱いに関する取り決め事項は
就業規則等に明記し、周知徹底しておくことが肝要です。
本件をめぐる労働者とのトラブルを事前に防止する義務は会社にあります。

★次回は、「休暇と休業の種類と管理〔3〕会社所定の休暇・休業・休職制度と
その他について」の予定です。

  『知って得する労働基準法』<No.9>』      <寄稿>

                       神門 善三郎  オフィス//イービジネス・コム 
                          <人事労務政策コンサルタント>

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   〜『休暇と休業の種類と管理〔3〕休暇・休業・休職制度ほか』〜
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★〔会社所定の休暇・休業・休職制度〕とその他の件について

前2回にわたって「労基法」と「育介法」が定めた法定の休暇・休業制度に
ついて記述しました。
今3回目は「会社」が従業員の福利厚生政策の一環として独自に定めた
所定「休暇・休業・休職」制度についてです。

★会社は、労基法上この所定休暇・休業・休職を制度として
必ず定めなければならないものではありません。
しかし、従業員の福利厚生施策の一環として定める場合には、
その種類や付与日数、取得できる社員、取得する時の手続き等に関して、
就業規則の一部として明記し従業員に周知徹底すると共に
労働基準監督署長への届出が必須となります。

<1>会社が独自に定めた所定の「休暇」「休業」「休職」制度について

一般的に会社が独自に定めて実施している主な「休暇・休業・休職」制度と
しては、つぎのものがあります。

1)会社が独自に付与する「年次有給休暇(年休)」制度


会社が独自に年休制度を設ける場合、労基法が定める年休にプラスして
付与することば問題ありません。
この場合は、労基法で付与する年休の法的効力とは区別して、
その取得に関する取扱い規則を定義して周知しておくことが肝心です。
一方で、法定年休さえ取得できず未消化の残余年休日数があるのに、
更に所定年休を付与することへの議論があることも事実です。

そこで、所定年休制度としては、法定年休が時効となる3年目の未消化分の
年休を1年間延長して付与し、法定年休を消化してしまった従業員が
自己の私傷病の治療時に限って取得するという事例があります。
これにより、従業員は法定年休の上限「40日」と会社が付与する
最大「20日」の年休との合計「60日」の年休が取得できることになります。
 (法定年休を使い切った従業員への救済措置)

また、会社が付与する所定年休には、労基法が定めた法定年休のような
法的制限措置を設ける必要はありません。
従って、上長の要承認、取得事由の明記、単なる繁忙期での拒否、
1年間の有効期間や有効期間中の買い上げ等の措置行為は認められることに
なります。

2)会社が独自に付与する「休暇・休業」制度

会社が独自に定める「休暇・休業」制度には、
一般的なものとしてつぎのものがあります。
・「年末・年始休暇」「夏季休暇」「会社創立(創業)記念日休暇」
 「メーデー休暇」
・社員自身の結婚や家族の慶事・不幸の折に取得できる「慶・弔休暇」
・社員の妻の出産時に取得できる「配偶者出産休暇」
・社員の転勤に伴う「赴任(帰任)休暇」「家族の呼寄せ休暇」
・特別休暇として「永年勤続休暇」「天災・災害時休暇」「ボランティア休暇」
 「リフレッシュ休暇」など
・社員が家族のために取得できる「育介法の育児休業(休暇)を上回る
 会社独自の育児休業(休暇)」「育介法の介護休業(休暇)を上回る
 会社独自の介護休業(休暇)」(思いやり休業)

3)会社が独自に付与する「休職」制度

会社が独自に定める「休職」制度に関しては、労基法や労働法令上の定めは
ありません。
従って、企業は労使協定によって、独自に従業員のために休職制度を設ける
ことができます。

休職制度は、前述の「休暇」制度よりも中長期にわたって、従業員側の
個人的な私的事由によって仕事を休業せざるを得ない事由が発生した場合に
備えた制度として運用することになります。

一般的には、従業員自身が私的な負傷、疾病を患って、完治・復帰までに
一定の療養期間を要する必然性が生じた場合などに「病気休職」として
適用することになります。

休職制度の導入にあたっては、つぎのことを定めておくことが大事です。
・休職を取得できる事由とエビデンス(産業医又は会社指定医の診断書)の
 提出について
・休職中の取扱い事項(身分、所属、給与・賞与等の処遇)について
・休職を取得できる開始日と満了する期間について
・休職期間を満了して復職できる基準と手続きについて
・休職期間を満了しても復職できない場合の措置について
・休職期間中の賃金支給の有無について
・その他、休職に関する諸事項について

<2>労基法違反で強制捜査

広告会社最大手の「電通」に対して労働基準監督署は、労基法違反の容疑で
強制捜査を行いました。
その発端は、昨年4月に入社したばかりの東大卒の女性社員が同年末に
月100時間を超える残業労働が原因でうつ病を発症して過労自殺をした
ことでした。

電通では、1991年にも入社2年目の男性社員が過労自殺をし、
家族が起こした労働裁判では敗訴し、約1億円の罰金を支払っています。
そして、ここ数年、本社、支社において労基法に定める「36協定」を
締結しているにも関わらず、その協定の上限とした残業時間を超える残業が
常態化するとともに、残業時間の過少申告や残業隠しといった法令違反の
実態に対して強制査察のメスが入ったということです。

この結果、電通は労基法違反として「50万円以下の罰金」と今後の
「労働時間管理」に関する是正勧告を受け、再発防止に関する対策の
提出命令を受けることになります。
そして、電通社内では法令順守や業務改善を怠った経営陣と関係上長
(管理職)に対して、その責任が問われて懲戒処分を行うことになります。
所謂、ブラック企業としてのレッテルを貼られたことになりました。

また、厚労省は昨年、企業の過重労働を専門に取り締まる「特別対策班」を
新設、職員を増員して過労死ラインとされている「月80時間」を超える
労働者がいる会社に対して監視を強化する方針としています。

今後、企業は社員の長時間労働の改善や働き方に関する意識改革と
新しい取組みが最重要の経営課題になります。
何故なら、経営者と管理職者自身が率先垂範して労働時間管理を推進
しなければ解決の方法がないからです。

<3>「長時間労働を改善する10カ条」を定義してみました。
    (参考にして頂けたら幸甚です)

 1)深夜時間帯(22:00~5:00)の残業労働は不可とする
 2)1日の労働時間の上限を「11時間」以内として厳守する
 3)1カ月の残業時間の上限を「79時間」以内として厳守する
 4)退社時間から出社時間までのインターバルを「10時間」以上とする
 5)就寝時間の3時間前までには「夕食」を摂るための休息時間を与える
 6)ノー残業デーは、全社挙げて全社員が例外なく実行する
 7)社員が1週間に5時間の自己研鑚する機会を確保する
 8)長時間労働による「過労死」や「精神障害」の発症は、
   自分の身に起こることとして認識する
 9)管理職は、部下の長時間労働に対して全責任があることを自覚する
 10)所定労働時間内の労働生産性を「20%」UPする働き方改革を実現する

★次回は、「労基法の管理監督者と会社の職制(管理職)について」の予定です。

  『知って得する労働基準法』<No.10>』      <寄稿>

                       神門 善三郎  オフィス//イービジネス・コム 
                          <人事労務政策コンサルタント>
 
    =========================
  〜『労基法の「管理監督者」と企業の「管理職(職制)」について』〜
    =========================

労基法は、第41条2項により「事業の種類に関わらず監督若しくは管理の
地位にある者」又は「機密の事務を取扱う者」を管理監督者と定義しています。

一方、企業は、会社組織の責任者として「管理職(職制)」を任命し、
その組織の全部又は一部の事業運営と1人以上複数の部下の人事労務管理を
担務する職務(役割・責任)と権限を委任しています。

このように、労基法が定める「管理監督者」と企業が会社組織のマネジメント
を委任する「管理職((職制)」には、企業サイドの解釈と行政のあり方に
おいて見解の相違が発生する要因になっています。

そこで、労基法の管理監督者に該当するか否かは、これまでの労働判例を
参考にすることが重要になります。

労働基準監督署は労基法の「管理監督者」に該当するか否かは「役職名」
ではなく、その「職務内容」「権限と責任」「勤務様態」「その地位に
ふさわしい処遇・待遇」等の実態によって判断するよう指導しています。

1.管理監督者とは・・・

労基法並びに労働判例は「管理監督者」としての要件をつぎのように
定義しています。

1)労務管理方針の決定に参画し、労務管理上の指揮権限を持つ立場に
  あること
2)経営者と一体的な立場で職務上の権限と義務を有し、対外的、
  体内的な企業活動に従事していること
3)経営者から委譲された経営権の分担行使において、自らの裁量で
  職務と権限が行使できること
4)自己の出勤怠や労働時間の管理において、厳格な制限がない地位に
  あること
5)その地位において相応の特別な賃金(基本給と手当)や処遇・待遇が
  なされていること
 
2.管理監督者と労基法上の労働条件(労働時間・休憩時間・休日・年休)
  との関係について


労基法は次の条令は一般社員には厳守を義務づけていますが、
管理監督者は「適用除外」にしています。

1)労基法32条(労働時間)の「1日8時間、1週40時間を超えて
  労働させてはならない」
2)労基法34条(休憩時間)の「1日6時間超の場合は45分、8時間超の
  場合は60分以上の休憩を与えなければならない」
3)労基法35条(休日)の「毎週1日の法定休日を与えなければならない」
4)労基法37条(割増賃金)の「32条の法定労働時間を超え、又35条の
  法定休日に労働させた場合は、所定の割増賃金を支給しなければならない」

つまり、管理監督者は、出勤退は自己裁量の範囲とし、休憩時間はなし、
時間外・休日労働に対して賃金支給はないとしています。
但し、深夜労働は、深夜割増賃金を支給しなければならないとしています。
また、「年休」は一般社員と同様に付与されることになります。

3.管理監督者と労働組合員の関係について

管理監督者は、経営者と一体的な立場であり、労働組合に加入することは
できません。そして、労働組合がない会社の場合に適用される労基法施行
規則6条2項の「労働者の過半数を代表する社員」に選出されることができません。
しかし、この過半数を代表する社員を選出する時の手続き(投票や挙手)には
参加しても良いことになっています。(従って、「労働者の過半数」とは、
管理監督者を含む全社員の過半数ということになります)

4.管理職(職制)とは・・・

経営者が有する経営権の一部又は全部を委譲されて、経営者と一体になって
会社の組織をマネジメントする役割と権限と責任を有し、自組織の部下に
対して権限を行使できる立場あるのが管理職(職制)です。

つまり、管理職(職制)とは、経営権の分担行使者として対社内外における
企業活動を実行するために部下を直接的に指揮監督(労務管理)する地位に
ある者と解釈することができます。

そのために、会社は管理職の「資格要件」「職位と職務(職務分掌)」
「管理職登用と昇進」「賃金規則」などの権限・義務・責任や処遇等について
具体的に定めた「管理職(職制)規程」を作成し明示することが大事です。

つまり、管理職は、一般社員とは「別格の存在」であるという位置づけを
明確にするとともに、管理職としてその地位に相応しい「処遇・待遇」の
スキームを確立しておくことが大切です。

1)年俸額おいては、管理職の大半が一般社員の年俸額を超えていること
2)管理職の給与の基本給昇給テーブルは、一般社員と区別したものと
  すること
3)管理職手当は、その職制にふさわしい月額給を支給すること
  (管理職手当額は、一般社員の平均残業手当の1.25〜1.5%増以上が
  最低ライン)
4)賞与支給は、管理職独自の人事考課と支給方式を導入すること

5.ライン管理職とスタッフ管理職について

これからは、管理職に仕事を付けるのではなく、その仕事ができる管理職を
任命しなければなりません。

つまり、管理職をどこかの組織の長に任命するのではなく、会社の明日を
担い重要な使命の仕事を完遂できる「最適任の実行責任者」をそこの組織長
として任命しなければなりません。

従来のように、管理職に任命はしたものの「管理職の器ではなかった」
といった事態は、今後あってはならない時代になってしまっています。

今後、このような事態が発生した時には、管理職に推薦した上長の任命責任を
明確にすると同時に、その当事者にはきちんとした説明をしたうえで
「降格」処分を下すことが職制制度を堅持して行く上で重要です。

1)ライン管理職(プレーイングマネージャー)

「ライン管理職」は、業務の指揮監督と1人以上の部下の労務管理を行う
組織の長であり、原則として、その組織には「1人」しか存在しないことに
なります。
一般的に管理職の事例としては〔○○○課長〕〔○○○部長〕〔○○○局長
(本部長)〕等の職階名や〔○○○支社長〕〔○○○支店長〕〔○○○工場長〕
などの職名があります。 (○○○は組織名)
また、組織長の補佐として「○○○部長代理」や「○○○副部長」を置く
場合もありますが、その職名の「役割と責任」の実態が労基法の管理監督者
という視点から疑問符がつかないようにすることが大事です。

また、1つの組織内に部付部長と云われる「○○○部 部長」という肩書の
職名を持つ管理職が1人ないし複数存在する組織がありますが、
その実態は「名ばかり管理職」と労基署から指摘されないようにしなければ
なりません。

2)スタッフ管理職(企画・研究・技能職マネージャー)

まず、会社として「スタッフ管理職」の役割と位置づけを明確にして置か
なければなりません。
「スタッフ管理職」が労基法上の管理監督者として取扱うには、
その所属する組織において管理職として、やるべき「役割」「権限」「責任」を
明確にしておくことが肝要です。

今日では、ライン管理職は「プレーイングマネージャー」という役割があり、
日常において本業の業務遂行と人事労務管理を併せて担っています。
〔今日「管理業務」のみをやっている管理職は存在しません〕
従って、管理職として最重要な役割の1つである「人材育成」にまで
手が回らない事態が発生しています。

そこで「スタッフ管理職」には、自分自身で高度な専門知識や専門技能を
身に着け、それを業務に発揮すると同時に組織の部下にその専門知識や
専門技能を習得させるという、管理職がやるべき人材育成(学習・研修)担当者
として専任してもらうことも有効と考えています。

そして、ライン管理職が不在や多忙の時には、その代理として
一定レベルの労務管理業務を遂行する役割を代行することがでるように
しておくことが大事です。

従って、スタッフ管理職にもライン管理職に準じた取り扱いと処遇・待遇を
することになります。  

3)今後、ライン管理職にもスタッフ管理職にも「名ばかり管理職」は
  つくらないこと


これからの企業経営の中枢軸は仕事にプロフェッショナル意識を持って
行動する「管理職」の存在です。

これからは、勤続年数や年齢を加味した登用や残業代を管理職手当で
相殺する時代ではありません。
これからは、会社の次世代を担う「人財」を管理職に登用しなければ
会社に未来はありません。

★次回は「職制(管理職)の権限と義務について」の予定です。

  『知って得する労働基準法』<No.11>』      <寄稿>

                       神門 善三郎  オフィス//イービジネス・コム 
                          <人事労務政策コンサルタント> 

    ===================
  〜『管理職(職制)の権限・義務・責任について』〜
    ===================

企業の持続的成長と発展にとって、会社組織(職場)の長である「管理職(職制)」
が果たすべき役割と使命はますます重要度を増す時代へと進展してきています。
管理職は、自らは労働者であるとともに、経営者から経営権の一部を委譲
された「使用人(部下を指揮監督する権限を付与されている職制)」であることを
自覚しておくことが大事です。

つまり、管理職(使用人)は、会社(経営者)から付与された経営権(職務権限)と
自組織(職場)の部下を使用する権限(労務管理権限等)を有し、
経営者と一体的な立場でその権限を分担行使することのできる会社の幹部社員
であるということを強く意識することが重要です。

そして、1人以上の部下を有し、その部下を使用する立場にある管理職として
の基本は、会社の「社員就業規則」を率先垂範して理解・順守し、
管理職として「しなければならないこと」「してはならないこと」や
「会社の規則(ルール)」と「各種の社員制度」をきちんと運営することが
必須要件であるということです。

そうでないと、自分の部下に対して公正・公平でかつ的確な指導や指揮命令が
出来ないことになってしまいます。
従って、ある時、突然に意識していなくても法令違反や規則(ルール)違反を
犯してしまうことにもなり、その結果責任を問われることにもなりかねません。

★管理職(職制)の権限と義務と責任とは

管理職(職制)に付与された「権限」には、必ず「義務」と「責任」が一対
となっていることを十二分に認識しておく必要があります。

「権限」の加重には、それに比例する形で「義務と責任」にも加重がある
ことになります。

つまり、職制の職階(初任管理職→中間管理職→上級管理職)に対して、
その「権限・義務・責任」は重くなり、強大になります。
そして、管理職(使用人)として、その権限を行使するにあたっては、
部下一人一人の健康状況や仕事ができる潜在能力に配慮し、適法で適切な
指揮命令を下すという義務と責任を負っているのです。

従って、次のようなケースは、管理職としての「配慮義務」違反として
「法令違反」や「パワハラ」に問われる場合があります。
・部下が「長時間労働で疲労している」ことを知りながら指示・命令をする。
・部下が保有している「能力では対応しきれない業務」や「処理しきれない
 業務量」を指示・命令をする。
・また、その反対に部下にとって「保有能力を発揮できない単純作業」を
 指示・命令をする。

★管理職(職制)として発揮しなければならない権限とは
  (ここでは、4つの権限ついてのみ記載)

1)教育指導権限(部下を会社が必要とする「人材に育成」する権限と義務)

部下の能力開発と人材育成は、会社の将来にとって、また自組織(職場)の
戦力アップのためにも極めて重要で、かつ、継続的な永遠の課題です。
特に新入社員の試用期間中は、当人の自社における「適応性」や「適正能力」
を判定し、仕事のミスマッチを見極めることが大事です。(特に、本採用には
不的確で解雇する場合には、会社の正当性の判断基準となります)
そして、1年間のOJTを通して当人の「強み」「弱み」を発見してやり
フィードバックすることも重要です。
2年目は、当人の仕事へのやる気を引き出し、的確な教育訓練により、
一人前のビジネスパーソンとして「自立」できる基盤を身につけさせて、
更なる成長を促さなければなません。(人には個性があり同類項はいません)
つまり、管理職は自分の部下を会社が必要とする「明日の人材」に育成する
という最も重要な権限(そして、義務と責任)を有しているということになります。

2)業務命令権限

業務命令権限とは、単に使用者(管理職)は会社業務遂行のために労働者(部下)
に対して行う指示・命令だけではなく、もっと広義に企業の存立と発展を
維持し、事業の円滑な運営を図るために「指示」・「命令」・「監督」・「指導」
をする権限を有しているということになります。 
 
3)人事権、勤務変更権限

人事権、勤務変更権限とは、使用者(管理職)は労働契約に基づき、
労働者(部下)の採用、人事異動、人事考課、昇進・昇格・降格や解職など
実行できる権限を有しているということになります。
つまり、労働条件に関する個別の労働契約が締結されていない場合には、
使用者(管理職)は労働者(部下)の労働の「種類」「様態」「場所」などを
決定したり、変更する権限を有しているということになります。 
従って、使用者(管理職)は、原則として、労働者(部下)の同意がなくても
職種や配置の転換、転勤、出向などの命令をすることが可能となっています。

4)安全衛生管理権限

安全衛生管理権限とは、使用者(管理職)は労働者(部下)に対して指揮命令
して業務を遂行させるときには、仕事場の「安全・安心」と部下の「健康」に
配慮し、その業務遂行に起因する事故や疾病を発生させることのないように
配慮する権限と義務を負っているということになります。
従って、会社が実施する法定の定期健康診断を部下に必ず受診するよう
指示命令する権限と義務があります。
またその他、部下への年休の取得、時間外労働に関する36協定の順守、
セクハラ・マタハラ・パワハラや男女雇用均等法などへの対応と適切な
指導を行うことも大事な仕事となります。

★管理職には、権限を行使する義務がある

管理職は、付与されている権限については「公正・公平」かつ「的確」に
行使する義務を負っています。
従って、管理職として付与されている権限を「行使しない」ということは
管理職(職制)としての職務を全うしなければならないという義務に
違反する行為になってしまいます。

たとえば、部下の就業規則違反行為(遅刻、無断欠勤、不服従、言動など)や
職場秩序を乱す行為(非協調、無視、いじめなど)を見て見ぬふりをして
注意や指導もせず放置しておくことは許されないことになります。
また、管理職として部下の法的な違反行為(社内での虚偽行為、横領や
傷害事件など)では、「知らなかった」では済まされない事態を招き
責任を問われることにもなります。

★職場(組織)は、改善と改革が常態

管理職は、会社の年間経営計画目標を必達する義務と責任があるとともに、
部下が働く職場環境の安全・安心に向けた改善や仕事の労働生産性の向上に
努めなければなりません。

職場環境は、どのように改善・改革を実現しても、更に、新しい問題や
課題が発生することが「常態」という永久のテーマになります。
「どんな企業でも、問題点や課題がない職場 (組織)は皆無です」

つまり、今、職場にある問題点と課題を発見し、自分と部下が働く職場環境を
改善する、ムダ・ムリを無くす、仕事のあり方、やり方を変革することは、
その組織を統治する管理職としての重要な役割の1つです。

★おわりに

社員の上に立つ管理職(使用人)は、その権限を行使するときには
自ずと節度を持ち、公正・公平性や適正・的確性を担保し、
人間性(人格)を兼ね備えるための努力を怠ってはなりません。
そして、管理職が有する権限は、労働契約、就業規則、労働協約を超えて
行使することや権限を濫用(職権乱用)することは禁止されていることを
強く認識しておくことが肝心です。

★*トピックス*
 <労働基準監督署は、時間外労働に関する立入調査の結果を公表>


全国の労働基準監督署は、昨年度上期(2016年4月〜9月)に時間外労働が
「月80時間超」の「10,059」事業所を対象とした立入調査の結果を発表。
それによると、昨年度から立入調査の対象を「月100時間超」から
「月80時間超」とした結果、調査対象事業所数は「4,861」から「10,059」に
約2倍強に増加した。
この結果、違法な長時間労働が認められたとして是正勧告をした事業所は
「4,416(前年同期比150%増)」になったとしている。

 ※参考文献:安西愈著「部下をもつ人のための人事・労務の法律<第6版>」
        (日経文庫)〕

★次回(最終回)「同一労働同一賃金をめぐる問題と課題について」の予定です。

  『知って得する労働基準法』<No.12>』      <寄稿>

                       神門 善三郎  オフィス//イービジネス・コム 
                          <人事労務政策コンサルタント> 

★同一労働同一賃金とは

「同一労働同一賃金」とは、労働者の性別や年齢、雇用形態に関わらず、
仕事の内容が同じであるならば、「同等の賃金」を支払い、
その他の労働条件も均等に待遇すべきであるとしています。

今日、日本企業はグローバル化を背景に、賃金の安い労働者力の確保を
求めて、正規社員から非正規社員(有期契約社員、派遣労働者、パートタイム
労働者、アルバイトなど)にシフトした雇用を増大してきました。
厚労省が発表している資料によるとつぎのような経過をたどっています。

・非正規社員数は、平成6年の「971万人」から
 平成27年には「1,980万人」に約1000万人増加。
・正規社員は、平成6年の「3,805万人」から
 平成27年には「3,304万人」に約500万人減少。

この結果、これまで正規社員がやっていた仕事を非正規社員に代替させたり、
また、正規社員より有能な非正規社員が出現して会社の戦力になっている
にもかかわらず賃金は正社員よりも低く抑えられている、という格差現象が
起きてしまっています。
そこで、雇用形態によって起こっている「賃金」格差やその他の「労働条件」
における待遇格差を平準化し、正社員と非正規社員の区別なく、同一労働に
対しては同一賃金を支給することとして「同等に処遇する」ことで、
処遇格差の解消を目指す政策ということになります。

その背景には、
非正規社員の賃金が正規社員の6割程度に押えられている現状を、
欧米並みの8割まで引上げて労働者世帯や個人の収入を増やすことで、
購買意欲を高めて低迷している消費支出の拡大を図り、アベノミクス政策の
ひとつであり、一向に改善しない消費者物価の2%アップ目標につなげよう
とする戦略があります。

しかし、これを実現するとなると企業には人件費負担の増大となり、
その他、さまざまな問題と課題を解決する必要が必須となり、
そう簡単にはできるものではないというのが現実のようです。
また、この同一労働同一賃金の導入は、企業の人件費政策と賃金体系制度の
改革を伴うことになります。

今日では、かなりの企業が新賃金体系に変革をしていますが、
基本的には労働者の年収額は月例賃金と賞与で支給され、
月額給与は、「基本給」「各種諸手当(家手・住手等)」「時間外割増賃金」から
構成されています。
そして、基本給は、毎年の定期昇給を見込んだ「年齢・勤続給」や「職能給」
「職務給」「役割給」「業績・成果給」などで構成されていますので
根本的な変革を伴うことになります。

★職務給を中心とした賃金体系について

同一労働同一賃金の導入は「職務給」のウエイトを大きくすることがカギ
となります。
職務給とは、現行の業務を「仕事の内容」「仕事の軽重」「仕事の難易度」
「仕事の時間」等を分析して職務等級に分類し、その上で、同等の職務等級
であれば、同一の賃金を支給するということになります。

一般的には、定例・定性・単純なレギュラー業務は、比較的容易に職務の分類が
可能と考えられます。
例えば、スーパーで働くパート社員の仕事は、レジを打つ、商品を棚に補充
するという比較的単純な作業をこなすことが主要な仕事であり職務給の導入は
可能になり、すでに実行されています。
また、職務給は職務の内容が不変であれば職務給も不変となり、原則として、
毎年の賃金支給額の改訂もしなくてすむことにもなります。
(むしろ、人手不足が賃上げの要因になる)

しかし、創造性やクリエイティブワークを必須とする「考える」仕事の社員は、
専門知識や専門能力を自ら保有し、高度な技能を身に着けて、
それを発揮することが要求されることになります。
その上に、単一の「職務」だけでなく、複合的に他の社員と連携した仕事の
職務をこなす必要があります。
従って、「職務給」よりも「職能給」「技能給」に大きなウエイトがある
賃金体系が望ましいことになります。

つまり、自己の知識や能力を深化させながら、高度な技能を身に着けて
キャリアアップを図るという働き方が求められているのです。
一方で、同一労働同一賃金制度の導入・実施に積極的に取組んでいる企業が
あります。

時代の趨勢は止めることはできません。
今後、企業として、できることから順次に変革することが
明日の企業と労働者に求められています。

★政府がまとめたガイドラインとは

政府は、昨年末に「同一労働同一賃金」のガイドライン(指針)案を公表しました。
その内容は、つぎの通りです。

1)基本給は「職業経験・能力」「業績・成果」「勤続年数」が同等で
  あるなら同額を支給
  但し、それぞれに違いがあれば、それに応じた差額を設けることは可能。
2)賞与は、社員と同様に支給対象とし、業績の貢献度に応じた金額を支給
3)役職手当は、管理監督の内容や役割・責任が社員と同等なら同額を支給
4)時間外手当、深夜・休日手当は、社員と同等の割増率を支給
5)通勤費、出張旅費、単身赴任手当等も社員と同額のものを支給
6)弔休暇、病気休職、福利厚生等に関する取扱いも社員と同等の取扱いとする
7)派遣先の正社員と職務内容などが同等の派遣社員に対しても同等の賃金と
  福利厚生を適用する

  その一方で「住宅手当」や「家族手当」については、ガイドラインには
  明示されていません。

★本稿のおわりにあたって・・・

本シリーズで12回にわたって記述してきました「労働条件」は、
会社が一方的に決めつけて労働者に押し付けるものでも、
労働者が好き勝手に労働できるものでもありません。

労働者と会社の両者が対等の場での協議を経て、労働協定(協約)を調印締結
することによって労働条件が決定されていることが理解して頂けたのでは
ないかと思います。
従って、労働者と会社の双方が、労働条件を尊重し、順守しなければならない
ということになります。

その労働者と会社の両方を取りもち、より公正・公平で納得性を高める役割を
担っているのが「労基法」を始めとする労働関連法規です。

しかし、昨今において「労働条件」をめぐる事件や紛争が多発しています。
このような労働紛争は、労働者と会社のどちらかが勝利するということは
絶対にありません。
結果的には、労働者も、会社も敗者ということになってしまいます。
会社は社会的制裁を受けて信用を失墜し、一方の労働者は自己の将来の
生活基盤を危うくすることになります。

今、政府は、「働き方改革実現会議」で、労働者と会社に「新しい働き方」改革
を呼びかけています。
まだ、具体的な働き方の新しい姿は見えていませんが、
日本経済の成長・発展には労働者の労働力が生み出す高付加価値の生産財を
拡大して行く道しかありません。
労働者にとっても、会社にとっても、日本の経済と国力の向上のためにも、
日本人一人一人が活力にあふれた働き方改革を実現するしか未来はありません。

<最後に>
本シリーズを12回にわたってお付き合いくださった皆様に感謝と御礼を
申し上げます。また、本シリーズ掲載のための場をご提供いただきました
「(株)TRU社長西嶋様」に感謝いたします。
本当にありがとうございました。(了)

       =================
       !プロジェクトは「社長」で失敗する!
       =================
  第1回:プロジェクトの量的・質的変化と難易度の上昇

                               栗山 敏
                        武蔵大学総合研究所 奨励研究員
                         元・日本アイ・ビー・エム(株)

★執筆の略歴と執筆の動機

私は西嶋さんとは十数年以来の旧知の仲であり、メルマガ『F+S Flash』の
熱心な読者の一人である。

私は昨年まで日本IBMに30年勤務し、顧客担当営業、コンサルタント、
エグゼクティブセミナー講師(IBM天城セミナー)と、一貫して顧客接点
業務に従事し、その間、多数のプロジェクトに関与してきた。
それらの多くは所期の成果を収めたが、中には深刻なトラブルに陥り、
ユーザー企業を初めとする社内外のステークホルダーに多大な不利益を
もたらしてしまったことも少なくない。

このようなプロジェクトの失敗をどうすれば撲滅できるのかは、
私にとって長年のテーマであった。

その後、縁あって武蔵大学の博士課程で研究に取り組む機会を得、
迷うことなくこのテーマを選定した。
その成果を本年7月に単行本として出版したところ、西嶋さんから
そのエッセンスをこのメルマガで連載して欲しいとの要望をいただいた
というのが、このコラムの執筆の経緯である。

これから以下の7回のシリーズで連載させていただくが、詳細な内容に
興味を持たれた方は、是非拙著そのものをお手に取っていただきたい。

 ● 【 情報システムを成功に導く経営者の支援行動 】 ●
  〜失敗する情報システム構築に共通する社長の行動〜
     栗山敏著、2013年7月24日発売、白桃書房

・第1回:プロジェクトの量的・質的変化と難易度の上昇
・第2回:プロジェクトの成否を「QCDだけ」で判断して良いのか?
・第3回:QCD目標を達成するために経営者に求められる関与と責任
・第4回:プロジェクトの成否の再定義
・第5回:事例調査に見るプロジェクトを成功に導く経営者の支援行動
・第6回:経営学の視点に基づく経営者の支援行動の考察
・第7回:経営者の支援行動を確実に実現するために

★プロジェクトの質的・量的変化と難易度の上昇

私は近年のプロジェクトは量的にも質的にも大きく変化し、難易度も加速度
的に高くなっていると感じている。<図表1>は経済産業省の「IT経営
ロードマップ」に筆者が加筆したものである。

第一〜第二段階で部門単位の活用に留まっていた情報システムが、
第三段階では部門の壁を超えてERPのような「全社最適」を追求するよう
になり、第四段階ではサプライチェーン・マネジメントのように企業の壁
をも飛び越えて「社会最適」が志向されている。

と同時に情報システムの目的自体も単純な省力化から、業務改革による
新しいビジネスモデルの構築や競争優位性の確立といったものにシフト
している。これらは必然的に1)大規模化、2)複雑化と不確実性の増大を
もたらす。

私はこれを情報システムに関するプロジェクトが「情報システム構築
プロジェクト」から「情報システム構築を伴なう経営改革プロジェクト」
に変化した、と表現している<図表2>。すなわち前者の主語は
「情報システム構築」であるのに対して、後者では「経営改革プロジェクト」
であり、「情報システム構築」はその手段に過ぎない、という意味である。

1)の大規模化によってステークホルダー間のコミュニケーションパスが
増加し、合意形成(要件定義など)が困難になり、合意を形成するための
工数が劇的に増大する。例えば5人のメンバー間のコミュニケーションパス
は5C2=10(組合せ)に過ぎないが、10人では10C2=45にもなる。
すなわち50人月と100人月、あるいは5億円と10億円のプロジェクト
の難易度は2倍ではなく、4.5倍、あるいはそれ以上になるのである。
また大規模化は企業内の複数の部門を巻き込むことを意味し、関連する
意思決定も組織の上層部で行なわれることとなる。

これらは必然的に、経営陣のより密接な関与を要求する。

2)の複雑化と不確実性の増大をもたらす最大の要因は業務改革である。
<図表3> ウォーターフォール手法に基づくプロジェクトの最初で最大の
難関が要件定義であることに、読者の多くも異論は無いであろう。

要件定義作業は業務改革を伴なわないAs-Isの業務プロセスを対象にする場合
でも容易ではない。それがまだ実在しない、業務改革完了後に初めて定義
されるTo-Beの業務プロセスを対象にする訳であるから、難易度は格段に
高まる。アジャイル開発手法やクラウド・コンピューティングはこれらの
悩みを多少は緩和するであろうが(筆者も期待を寄せているが)、
すべての解決策になるとは到底期待できない。

少々脇道に逸れるが、ERPパッケージの導入プロジェクトでも類似の現象
が生じる。<図表4> ERPの導入プロセスではFit/Gap分析という作業が
実施されるが、それが「現状の姿」と「ERPの仕様(ベストプラクティス)」
の突合になってしまっているケースを散見する。

プロジェクトの目的は「ERPパッケージの導入」ではなく、それが提供
する「ありたい姿」の実現だったはずである。そのTo-Beの姿を明確にせず、
As-Isの業務プロセスとERPの仕様を突合していたのでは、
プロジェクトが泥沼化するのは必然である。

★正確なQCD(Quality,Cost,Delivery)目標の設定を阻害する予算制度

第2回で詳述するが、業務改革を伴なう近年の「情報システム構築を伴なう
経営改革プロジェクト」では、多くの企業で確立されている予算制度や
稟議制度が正確なQCD目標の設定を阻害する。しかも皮肉なことに、
それらが厳密に運用されている「しっかりした会社」ほど、
この悩みは深いのである。

例えば当年度に組織を改編して業務改革を実施し、半年をかけて改革プラン
を立て、情報システムの要求仕様をまとめるといった場合、
当年度内に情報システムの開発に着手しようとすれば、予算は前年度に申請し、
承認を得ておかなければならない。

つまり予算サイクル上、業務改革がなされる前に、情報システムをどう活用
するのかについて概略を提示し、それに沿って予算を確保しておかなければ、
業務改革が完了してもシステム開発作業には着手できないのである。

しかしこの時点では、新しい業務要件すら不明確であるため、
システム要件やQCD目標を確固たる根拠に基づいて設定できるはずがない。
明らかに不確実であることを承知で意思決定されるのである。費用対効果の
試算をいかに精緻に行なおうとも、実務的にはほとんど意味をなさない。
したがって、この時点で承認された予算やQCD目標には当然、変更が
あり得る。むしろ、変更されるのが自然と考える方が合理的ですらある。

失敗プロジェクトにおいて、当初のQCD目標の設定が不適切であった
ことが原因に挙げられることが多い。
しかし、「正確な」QCD目標は本当に設定可能なのであろうか?
筆者は今日のプロジェクトにおいて、必ずしもそれが可能であるとは
考えない。この哲学論争(禅問答?)の詳細は【第2回】に譲るが、
何をもってプロジェクトを成功(または失敗)と評価するのか、
従来同様にQCD目標の達成度のみで成否を判断することが今日でも妥当性を
持つのか、という疑念が筆者の問題意識の根底にあることを述べて、
初回を締めくくりたい。
                         ・・・次回へ、つづく

 ※文中での<図表?>と表記されている内容は以下で参照ください。
  ==> http://www.tru-solutions.jp/kuriyama_pictures01.pdf 

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        !プロジェクトは「社長」で失敗する!
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 〜第2回:プロジェクトの成否を「QCDだけ」で判断して良いのか?

★プロジェクトの成否に関する従来の調査結果

今回は、プロジェクトの成否判定に従来から用いられてきたQCD基準が、
今日でも妥当性を持つのか?「完璧な」要件定義は可能なのか?という
哲学問答(禅問答)に取り組んでみたい。

プロジェクトの成否に関する代表的な調査は米国StandishGroupのもので
ある。<図表6>1994年に公表された初回の調査では成功率は16.2%
に過ぎず、52.7%が不成功、キャンセルが31.1%にも達すると報じられ大きな
注目を集めた。同調査はその後も毎年公表されているが、成功率が
最も高かった2002年度ですら34.0%にとどまっている。

我が国でも日経コンピュータ誌が2回にわたって同様の調査を実施しているが、
成功率は2003年には26.7%、2008年には31.1%であった。
<図表7>

一方、プロジェクト・マネジメントの専門職の資格であるPMP(Project Management
Professional)の資格取得者数は、日経コンピュータ誌の2回の
調査における5年間で6倍以上に増加(2003年に4,123名、2008年
に25,580名、<図表8>)しているが、プロジェクトの成功率には画期的
な改善は見られない。筆者はこれをもって「だからPMPは無意味だ!」などと
いった、世界中のPMPを敵に回すような論陣を張りたいわけではない。
むしろ逆で、「失敗の原因をプロジェクト・マネジャー(以下、PM)の能力不足
「のみ」に帰結させるな!今まですべてがPMの責任とされ過ぎてこなかった
だろうか!?」と主張したいのである。

PMやメンバー(ITベンダー、ユーザー企業双方)の能力不足がプロジェクト
の失敗につながるケースは確かに少なくない。しかし「PMやメンバーの能力
やスキルが向上すれば、すべての問題は解決する」という、逆説は成り立たない。
問題の構造はもっと複合的かつ複雑である、と言いたいのである。

PMやメンバーの能力に全責任を帰結させる論調からは、建設的な解決策は
期待できない。

★QCD基準の妥当性再考

前述の調査はいずれもQCDのすべてが当初の計画どおりに実行された
プロジェクトを成功と定義している(この評価基準を以下、QCD基準と呼ぶ)。
このことから、QCD基準で評価した場合、約7割のプロジェクトが成功とは
言えない、という認識は日米共通のものと考えて良いと思われる。

しかしこの結果からは、
1)そもそも、なぜQCD目標が達成できないのか?
2)そもそも、成功率が30%程度しかないプロジェクトへの投資は
  「適切な」経営判断、意思決定と言えるのか?
という疑問(問題意識)が湧く。

プロジェクトは本当にこんなに「失敗」しているのか?そもそも論じられて
いるのは「誰から見た」成功・失敗なのだろうか?それらを個々に論じてみたい
(ここからの論旨展開はやや錯綜して複雑になっているので、整理のために
<図表9>を作成した)。

・問題意識1)そもそもなぜQCD目標が達成できないのか?

まずこの問いは「QCD目標は適切に設定されている」という暗黙の前提に
立っている、と言える。しかし現実にはそうではないことは第1回で述べた。

「失敗学」の権威である畑村陽太郎氏(『失敗学のすすめ』講談社、2000年)は
失敗の原因を、未知、無知、不注意、手順の不遵守、誤判断、調査・検討の
不足、制約条件の変化、企画不良、価値観不良、組織運営不良の10種類と
した。これらを時間軸で分類すると、プロジェクト開始前の「計画や目標設定
の失敗」と、開始後の「変化対応の失敗」に分けることができる。

プロジェクトにおいて、達成不可能な目標値が設定される状況も含め、
そもそもQCD目標が不適切だったというのは前者の「計画や目標設定の失敗」
であり、目標が適切に設定されていたにもかかわらず達成できなかったというのは
後者の「変化対応の失敗」である。これらは峻別して論じられなければならない。

まず「計画や目標設定の失敗」である。

「仕様が曖昧」という失敗の原因を、要件定義や仕様書作成に携わる
プロジェクト・メンバーの能力不足という、スキルの問題に帰結させる
見解が多く見られるが、それらは必ずしも正鵠を射ているとは言えない。
QCD目標が設定されるまでのプロセスには、既に述べたように予算制度の
壁や業務改革がもたらす不確実性が含まれている。
であれば、その目標の達成度で評価すること自体が不適切である、と
言わざるを得ない。

まず「なぜ目標を適切に設定することが難しいのか」こそが検討されねば
ならない。加えてこのような経緯と状況の中で設定されたQCD目標を、
一旦設定されたからには絶対に変更が許されないとする立場は、
現実から乖離していると言わざるを得ない。むしろ、当初に設定されたQCD目標は
あくまで仮のものとし、局面が進むごとにそれらを柔軟に見直していく、
柔軟な姿勢こそが求められるのではないだろうか。

次に「変化対応の失敗」であるが、

これは「QCD目標が適切に設定されていたにもかかわらず、その後の
諸般の状況変化に対応できず、目標を達成できなかった」ケースである。
適切な目標が設定されていたのであれば、それが達成できなかったのは好ましくない
ことであり、その原因究明と再発防止策が厳密に実施されなければならない。
これは第3回のメインテーマであり、そちらで詳述するが、
プロジェクト途上で発生する様々な状況変化のすべてに、PM以下の
メンバーの能力と権限「のみ」では適切に対応できない、そこには経営者の
効果的な支援行動が必須である、という点だけここでは述べておきたい。

・問題意識2)そもそも成功率が30%程度しかないプロジェクトへの投資
 は「適切な」経営判断、意思決定と言えるのか?
 世の経営者たちはそんなに不適切な意思決定を繰り返しているのか?

まず明確化しておきたいのは、過去のQCD基準の調査はいずれも情報
システム部門の責任者やPMに対して行なわれており、経営者が当該
プロジェクトをどう評価していたかについての調査は存在しない、という
事実である。したがって現時点では経営者の判断は「不明」であり、
この問い自体が成立しない。

今後の論旨展開として、「誰から見た」成功・失敗なのかを論じ、プロジェクト
の成否自体の再定義を試みるのが第4回であり、その定義の妥当性と有用性を
事例研究に基づいて明らかにするのが第5回である。

この事例研究では筆者が同一プロジェクトに関して経営者とPM双方の成否の
評価を実地に調査し、かつ両者の評価結果が一致しないケースがあることを
「人類史上初めて」明らかにした。これはノーベル賞にも値する画期的な
研究成果であると筆者は自負している。

★今回の内容は次のように要約されるであろう。

従来プロジェクトの成否はQCD基準で評価されてきたが、そもそも
QCD目標自体が「適切に」設定されているとは限らないため、
QCD基準「のみ」で判断することには問題がある。
かつ「計画や目標設定の失敗」、「変化対応の失敗」双方に、PM以下の
メンバーだけでは解決が困難な要因が多々あり、その解決には経営者の
効果的な支援行動が求められる。
                         ・・・次回へ、つづく

 ※文中での<図表?>と表記されている内容は以下で参照ください。
  ==> http://www.tru-solutions.jp/kuriyama_pictures02.pdf

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       !プロジェクトは「社長」で失敗する!
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 第3回:QCD目標を達成するために経営者に求められる関与と責任

★QCD目標が未達成となる原因

今回はまず第2回で懸案となっていた「QCD目標が適切に設定されていた
にもかかわらず、その後の諸般の状況変化に対応できず、目標を達成できな
かった」ケースについて考察する。<図表10>はStandish Groupの1994年
の調査における不成功およびキャンセルの原因トップ10を列挙したもの、
<図表11>はそれらを合算し、重複を除去してそれらの因果関係を整理した
ものである。

その結果、QCD目標が未達成となる原因は以下の二つのグループに大別され、
かつそれらの根本原因はいずれも経営者の支援不足に帰結することが確認された。

★人的能力に関連する原因

第一のグループは人的能力に関連するものであり、「プロジェクトの実行能力が
メンバーに備わっていなかったことが判明した」である。
チームにそのプロジェクトで要求される能力を持つメンバーがアサインされて
いない、あるいはアサインされていても兼務などで十分なワークロードが確保
されていない、といった状況は、要件の明確化や確定を阻害する。

初回のプロジェクト会議で相手企業側のメンバーを紹介された瞬間に
「厭な予感」を感じた読者は多いであろう。かつその予感はほぼ的中すること
にもご賛同いただけるであろう。

要件定義段階でユーザー部門代表のメンバーに求められる能力は大まかに
「現状の理解(現状の業務がどうなっているかを把握している)」、「改革
ビジョン(現状業務のどこに課題があり、どのように変更すべきかに関する
ビジョンを持っている)」、「自部門だけでなく、前後の工程や全社最適の
視点から改革のポイントを指摘できる」、「リーダーシップとネゴシエーション
能力(改革案を自部門に持ち帰り、賛同と支持を取り付けることができる)」
といったところであろう。

失敗に至る典型的なケースは、要件定義を行なう能力を持つ上記のような
メンバーが多忙などを理由に会議に参加せず、代理の立場で参加した
メンバーが決定を保留して部門に持ち帰るといった事象である。

このようなことが繰り返されるとスケジュールは遅延を始め、QCD目標の
達成が困難になっていく。これらは結果的に「ユーザー部門の巻き込みが不足
だった」、あるいは「リソースが不足していた」、と評価される。
またこれら実行能力の不足は、プロジェクトの開始前の段階で潜在的リスク
として認識されるケースもあるが、顕在化するのは要件定義段階以降である
ことが多い。

このような事態を打開するために、PMは通常、経営陣に当該能力を有する
メンバーのアサインや増員を要請する。しかしその要請が受け容れられるか
どうかは、エスカレーション・パスや意思決定プロセスの整備度、
当該プロジェクトの重要性に関する経営者の認識レベルといった様々な要因
に左右され、必要な支援がタイムリーに得られるとは限らない。

また、当該企業にそもそもそのような能力を有するメンバーがいないので
あれば、それは自社の能力を超える難易度のプロジェクトにチャレンジして
しまっていた、ということを意味する。

このような場合には、短期的には外部からそれらの能力を持つメンバーを
招聘する、プロジェクトを分割して難易度を下げる、などの現実的な対策が
とられない限り、早晩破綻を免れない。場合によってはプロジェクトの
早期の中止が最善の選択肢ともなり得る。これらはいずれもPMの権限を
越える、経営者の意思決定権限の領域に属する項目である。

★新しいテクノロジーに関連する原因

第二のグループは、新しいテクノロジーに関連する原因である。
新しいテクノロジーは、その普及の初期には品質や性能が不安定なことが
多く、作業者の生産性を阻害することが珍しくない。またそれらのテクノ
ロジーに関する作業者の習熟度が低い期間においては、本来の性能や
開発生産性は期待できない。

これらが情報システム構築プロジェクトのQCDを悪化させるという、
技術面の要因は確かに存在する。かつこれらの第一義的な責任は、
部下に新しい技術の獲得を怠らせた情報システム部門長にあると言える。

しかし一見、技術的な要因から生じているように見えるこれらのトラブルも、
ITマネジメントの観点から見るならば、テクノロジーの安定度の判断能力
や、それらを使いこなすための人材の計画的な育成の問題に帰結する。

例えば情報システム部門長が技術に関する中長期的な人材育成策を上申して
いたにもかかわらず、経営者がそれを却下していたとすれば、
それは経営上の不作為責任を問われかねない。
すなわち一見、テクノロジー分野の原因と見えるものも、ITマネジメント
の欠如の問題を経て、最終的には経営者の支援不足に収斂するのである。

★3つ目の終焉・・・プロジェクトの消滅

同調査ではもう一つ、環境の変化によってプロジェクト自体がその意義を
失った、という原因が挙げられている。
経営者が何らかの戦略目的を込めたプロジェクトにおいて、その戦略目的が
前提としていた社内外の環境が変化することによって、その戦略目的自体が
変質あるいは消滅することは十分起こり得る。

このような場合はプロジェクトの目的自体が消滅したのであるから、
プロジェクトは即刻中止されて然るべきであろう。そこまでに投じられた
経営資源の多くは、確かに無為に費やされる結果となるが、しかしこれは
特定の個人の責に帰すべき失敗とは言えない。むしろこれは「プロジェクトの
消滅」と呼ぶのが相応しいであろう。

以上のことから、QCD目標が未達成となる根本的な原因は、
経営者の支援不足にあると断じることができる。

★プロジェクトが「経営者の支援不足」で頓挫する原因と解決の方向性

では、経営者が戦略目的を込めた(はずの)、若しくは積極的に賛同しない
までも巨額の投資を受動的にせよ承認した、経営者にとっても重要であるはず
のプロジェクトが、なぜ「経営者の支援不足」で頓挫するのだろうか?

筆者はこの原因をパイロットと機関長間の共通言語に例えて説明している
(<図表12>)。

経営者とPMの関係は、旅客機の機長(パイロット)と航空機関士(フライト
エンジニア)に譬えられる。機長の役割は乗客を目的地まで安全、確実かつ
スケジュールどおりに移動させることであり、航空機関士の役割は、
機長の目的達成を支援すべく、動力系に要求される性能を発揮させ続ける
ことである。

ここで重要なのは、航空機の場合には安全なフライトと、エンジンを初めと
する各機関の稼動状況の間に明確な因果関係が存在し、かつ当事者がそれら
を「共通言語」として明確に認識している、ということである。

エンジンの停止が差し迫った危機であることは即座に共有され、
全スタッフが緊急体制に移行する。一方、情報システム構築プロジェクト
では必ずしもそうではない。

初期の重要な工程である要件定義作業が順調に進まないという現象は、
大きなトラブルの先行指標の一つである。しかし、その報告を受けて正確に
その危険度を察知できる経営者は、必ずしも多いとは言えない。

特にそれらの報告が、経営者に理解できないIT用語のみを羅列して行な
われる場合には、プロジェクトの危機的な状況は益々経営者に理解され
にくくなるであろう。

これが、経営者側に支援の意思があっても、結果的に支援が提供されなく
なるメカニズムである。したがってその処方箋は、経営者とPM間の
「共通言語」を確立し、機能させることであることが納得感をもって
理解されるであろう。

しかしこれとは別に、経営者がプロジェクトの支援を行なう意思、
あるいは関心すら持っていないケースでは、上記の処方箋は機能しない。
この点については最終の第7回で、具体的な解決策と共に、再度検討する。

                         ・・・次回へ、つづく

 ※上記文中での<図表?>と表記されている内容は以下で参照ください。
  ==> http://www.tru-solutions.jp/kuriyama_pictures03.pdf
 
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       !プロジェクトは「社長」で失敗する!
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      第4回:プロジェクトの成否の再定義

★コストが1円オーバーしたら失敗か?

今回は冒頭に読者の皆さんにクイズを投げ掛けてみたい。
次のようなプロジェクトは成功?失敗?いずれであろうか。
 1)コストが計画よりも1円オーバーした。
 2)本番稼動が計画よりも1日遅れた。
 3)ITベンダーは情報システム部門からの仕様書の通りの品質、コスト、
   スケジュールでソフトウェアを開発して納入した(QCDは100点)
   が、情報システム部門とユーザー部門の意思疎通が行なわれておらず、
   納入されたソフトウェアは実務には一切使われなかった。
 4)コストは2倍、スケジュールは1年も遅れたが、プロジェクトの開始時
   に掲げた当初の目的は達成され、システムは順調に稼動中である。

多くの場合、特に経営者にとっては1円程度のオーバーは許容範囲であり
問題にならないであろう。むしろ「グッジョブ(よくやった!)」と褒められる
のではないだろうか。スケジュールの1日遅延も、法制度対応で期日厳守が
求められるケース以外は、ほとんど問題にならないはずである。

では何円、何日までのオーバーや遅延までが許容範囲なのか?
それは個々の状況に依存する問題であるので、ここで画一的な基準を定め
ようとすることに意味は見出せない。ここではこれらのことを踏まえて、
プロジェクトをQCD基準「のみ」で評価することは、どこまで「適切」なのか?
QCD目標は、誰にとっての評価基準なのか?経営者は何を基準に成否を
評価している(と考えられる)のか?といった視点から考察を掘り下げる
こととする。

★「プロジェクト」と「プロジェクト・マネジメント」の違い

PMBOKガイド(PMI日本支部)では、
「プロジェクト」とは、「独自の成果物またはサービスを創出する目的のために、
異なる組織のメンバーが集まり、決められた期間と、限られた予算のもとで、
計画的に実行される活動」、
「プロジェクト・マネジメント」とは、「プロジェクトに与えられた目的を達成
するために、人材・資金・設備・物資・スケジュールなどをバランスよく
調整し、全体の進捗状況を管理する手法」と定義されている。
そして後者の管理指標として、従来はQCD基準が主に使われてきたのだと
理解することができる。

であれば、「プロジェクトの失敗」と「プロジェクト・マネジメントの失敗」も、
その意味は異なるはずである。

★経営者とPMの判断基準の違い

第2回目で従来からのQCD基準による調査は「誰から見た」成功・失敗を
論じているのか、という問題提起を行ない、その回答は第4回目で、
プロジェクトの成否自体の再定義と共に行なうとしていた。

それは既に多くの読者が推量されている如く、「経営者はQCD基準とは
別の観点で成否の評価を行なっており、かつその基準に照らせば成功率は
決して低くないのではないか?」との含意に基づくものであった。

<図表13>は以上のことを、サプライチェーン・マネジメント(以下、
SCM)のプロジェクトに即して図示したものである。
SCMではリードタイムの短縮や在庫の大幅な削減がその目標に掲げられる
ケースが多い。それが図中における「当面のビジネスゴール」に相当し、
経営者はこの実現のためにプロジェクトへの投資を承認する。

一方、情報システム構築プロジェクトのPMは、このプロジェクトの成功に
不可欠な需要予測や物流管理といった情報システムの構築に責任を持つ。

換言すればPMの責任範囲は、これらの情報システム構築プロジェクトの
スコープにおけるQCD目標の部分に閉じており、それが達成されていれば、
PMとしては「成功」である。しかしながら、当該SCMの目的達成には、
情報システムだけが完成しても十分ではなく、取引先との受発注の
タイミングの変更といった業務改革も併せて実現されなければならない。
経営者はこれらのすべてに責任を負っており、彼らにとってはリードタイム
の短縮や在庫の大幅な削減といったビジネスゴールが達成されて初めて
「成功」なのである。この立場を以後、「目的達成度基準」と呼称する。

以上のことから、同一プロジェクトにおいて経営者とPMの成否の判断が
異なることが大いにあり得ることも理解されるであろう。
例えば当該SCMプロジェクトの予定コストが合計10億円、
うち情報システム関連が5億円、業務改革など情報システム以外の項目で
5億円であったとしよう。結果的に情報システム構築に6億円を要して
しまったら、PMとしては失敗である。しかし、業務改革などが関係者の
努力で4億円で完了し、合計で10億円は堅持され、かつ目指すレベルの
ビジネス・プロセスが実現できたのであれば、経営者としては成功
あるいは、少なくとも失敗ではないと評価するのではないだろうか。

★プロジェクトの成否の再定義とエンド・ツー・エンドの時間軸

<図表14>は経営者の目的達成度基準とPMのQCD基準を縦横の軸に
とり、プロジェクトの成否を「満足な成功」から「純粋な失敗」の4象限に
分けたものである。従来は横軸のQCD基準のみが幅を利かせてきたが、
筆者はむしろ縦軸の上半分にプロジェクトを着地させることこそが重要
であると考える。

加えて両者は、成否の判断を行なう時間軸も異なっている。
PMの責任は良くも悪くも<図表15>における「プロジェクト実施工程」
に閉じているため、プロジェクト・マネジメントの評価はその出口である
「本番稼働」のタイミングで可能である。
一方経営者の時間軸は、超上流工程において当該プロジェクトの目的を
設定した時点から始まり、終点としての評価のタイミングは、本番稼動から
更に一定期間が経過し、効果測定が可能になった時点まで待たざるを得ない。

その期間がどの程度必要になるかは個々の情報システムの特性に依存するが、
通常は短くても3ヶ月から半年、場合によっては1年間や更に長い期間に
わたる本番運用の状況を踏まえて評価を行なうことが適切なケースもある。
このような経営者の時間軸を、「エンド・ツー・エンドの時間軸」と呼称する。

意思決定のメカニズムも両者では異なっている。
経営者の判断は「ダブルループ学習」(<図表16>、Argyris、"Double Loop
Learning in Organizations")に基づいて下されると考えられる。
すなわち状況変化の認識に基づき、場合によっては一旦設定された目標の
変更を許容する考え方である。これはシングルループ学習の立場に立ち、
一旦QCD目標が設定されると、その変更を許容せず、当初設定された
目標を死守せんとするPMの立場と好対称である。

以上の内容は、<図表14>は個々のプロジェクトの最終着地地点を示す
ものであり、<図表15〜16>の意思決定の時間軸やメカニズムの相違が、
プロジェクトの進行途上における中間プロセスに影響を及ぼしている、と
整理できるであろう。

<図表17>は今回の冒頭に投げ掛けた「次のようなプロジェクトは
成功?失敗?」の解答例、
<図表18>は経営者の視点とプロジェクト・マネジャーの視点の相違点
をまとめたものである。
今回の内容の整理の意味で参照いただければ幸いである。

                         ・・・次回へ、つづく

※上記文中での<図表?>と表記されている内容は以下で参照ください。
  ==> http://www.tru-solutions.jp/kuriyama_pictures04.pdf
 
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        !プロジェクトは「社長」で失敗する!
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第5回:事例調査に見るプロジェクトを成功に導く経営者の支援行動

★事例調査の対象企業概要

<図表19>は下記3つの基準で選定した事例調査の対象企業の概要である。
 1.能動的、受動的を含めて、経営陣が戦略目的を込めたものであること。
 2.本番稼動後一定の期間が経過し、エンド・ツー・エンドの時間軸に
   よって目的達成度基準に基づく評価が可能であること。
 3.PMのみならず、経営者への直接インタビューが可能であること。

候補企業として当初約50社をノミネートしたが、調査データを論文などで
公表したいという当方の依頼に対して、「我社は成功事例とは言えないので、
調査自体を辞退したい」といった理由で、最終的に11社に絞り込まれた。

★事例企業における成否の分布・・・QCD基準と目的達成度基準

<図表20>は事例企業の成否の分布である。
その結果は第4回で提示した、「経営者はQCD基準とは別の観点で成否の
評価を行なっており、かつその基準に照らせば成功率は低くないのでは
ないか?」との仮説を検証するものとなった。
すなわち11件中4件がQCD基準では失敗であるが、目的達成度基準では
成功と評価された「不満足な成功」であったのである。
この結果はまた、第2回で予告した、同一プロジェクトに関して経営者と
PMの評価結果が一致しないケースがあることを「人類史上初めて」明らかに
した、画期的な成果を示している。
もとより11社という母集団は統計処理に耐え得るサンプル数ではない。
しかし、これらの限定された母集団の中でも成功率はQCD基準では36%
であったのに対し、目的達成度基準では73%であったという発見は、
従来のQCD基準のみに基づく調査に対して一石を投じるものであると
考える次第である。

★プロジェクトの成否に影響を及ぼした経営者の支援行動

<図表21>はプロジェクトの成否に影響を及ぼした経営者の支援行動を
「計画化(Plannning)」、「組織化(Organizing)」、「指揮(Leading)」、「統制
(Controlling)」の4カテゴリー10項目に集約したもの、
<図表22>はそれらの支援行動と11社のプロジェクトの成否との相関を
クロス分析した結果である。<図表22>から、<図表21>に示した
10項目の支援行動とプロジェクトの成否には正の相関が認められる
であろう(除・P1)。以下、各支援行動について簡潔に補足する。

P1:情報システム導入の可否を判断、承認する。

この項目は11社のすべてで実施されていたが、成否は千差万別であった。
今回の対象は大半が、予算制度が確立された「しっかりとした」上場企業
であり、経営会議での承認が手順どおり実施されるのはむしろ当然と言える。
しかしそれが形式的なものであっては、成功は保証されない。
経営者の責任は、経営会議に上申された案件を受動的に承認するだけでは
全うされないのである。

P2:QCD目標を決定し、周知徹底し、理解を得る。

QCD目標も、多くの企業では経営会議で承認を受けるべき項目である。
<図表22>の当項目では、経営陣が形式的、または受動的に上申された
内容を承認したに過ぎないケースを△、より能動的に目標の設定や達成に
関与したケースを○と表記した。この差が結果に大きな影響を及ぼしている
ことは一目瞭然であろう。

P3:戦略目的を決定し、周知徹底し、理解を得る。

成功事例ではいずれも、この項目に関する経営者の強力なリーダーシップが
認められた。かつそのメッセージの核心は業務改革の必然性と、
それが経営に与える影響に焦点を当て、プロジェクト用語ではなく
経営用語で語られている。

O1:プロジェクトの発足時に、その遂行に必要なメンバーを質
   (スキルレベル)・量(人数や専任度)の両面で確保し、
   プロジェクト・チームを編成する。


失敗事例では、プロジェクトを実施する上で必要とされる人材の量的・質的
な不足が、事前に予見されていた。しかしそのリスクは、経営陣に十分伝達
・理解されていなかった。一方成功事例では、経営者の肝煎りでエース人材
が投入されていた。特に要件定義局面において、この差は決定的な違いを
もたらす。

O2:「プロジェクト」の遂行に必要な人材を計画的に育成し、
   そのレディネスを高める努力を継続する。


エース人材を投入すると言っても、そのような人材が育成されていない場合
には、その選択肢は限られる。この項目はそのような人材を計画的かつ
中長期的に育成してきたかどうかの指標である。かつレディネスとは、
単なる知識ではなく、実務を遂行できるレベルにその能力が磨き上げられ
ていることを意味する。
そのような地道な取組が成功につながることを示す好例と言える。

L1:ステークホルダーのモチベーションに配慮し、
   それを高める努力を行なう。


成功事例の経営者はいずれもステークホルダー、特に多くの困難に直面する
プロジェクト・メンバーに対して、効果的なメッセージを繰り返し、
タイムリーに発信している。これは主として、ユーザー部門からの業務改革
への反発などから目標達成が脅かされるような局面において、経営陣が
支持を表明することが、いかにプロジェクト・メンバーの士気を高めるか
を雄弁に物語っている。

L2:経営者とプロジェクト・メンバー間の共通言語を確立し、
   効果的なコミュニケーションを確立する。


成功事例では経営陣とプロジェクト・チームを架橋する共通言語が存在して
おり、かつそれには幾つかの形態が存在した。某社では社長が情報システム
部門管掌の経験を有していた。別の某社ではユーザー企業側の役員である
PMが両者の媒介を効果的に果たし、相互理解のレベルを高めた。
これらはいずれも偶然の産物であるが、これを必然に変えていくことが
プロジェクトの成功率を高める結果につながると思われる。
この点については第6回で改めて考察する。

L3:効果的なコミュニケーションを確立するために、
   自ら積極的に学習する。


情報システム構築において必要な知見は、一般の経営者には馴染みの薄い
領域である。その結果、プロジェクトの成功率も、経営者のこの領域の
知見の有無という偶然に左右されてきた。しかし今回の事例の中にも、
プロジェクト開始に先立って、教示を乞うために自ら知遇の他社を訪問した
経営者もいた。そのプロジェクトが大成功を収めたことは言うまでもない。
これもL2同様、偶然に委ねるべきものではない。
この点については第7回で改めて考察する。

L4:諸々の局面でリーダーシップを発揮し、
   プロジェクトを成功に導く。


経営者のリーダーシップの重要性に関するメッセージは、決して新しい
ものではない。しかし成功事例から読み取れるのは、個々の具体的な行動の
根底に脈々と流れる強い意思や情熱のようなものである。このような意思や
情熱が、プロジェクトを成功させる取組に経営者を駆り立て、ステーク
ホルダーが納得感を持つまで粘り強く対話を続けさせる。
これは換言すれば、経営者がプロジェクトを自責、他責のいずれと認識して
いるか、ということにもなろう。

C1:「プロジェクト」の戦略目的達成を優先し、不確実な事態に適切に
   対処しながら柔軟にQCD目標の修正を受け容れる。
   または、要件を圧縮する。


事例企業のほぼ全てが、当初に想定していなかった事態による要件の膨張に
直面している。明暗が分かれたのは、その後の対応であり、シングルループ
学習の立場から当初のQCD目標に固執して、プロジェクト・チームを
一方的に叱責した経営陣は事態を悪化させ、ダブルループ学習の視点に
立った経営陣は、事態を収束させることに成功している。勿論これには
QCD目標の下方修正(コストの追加や稼動の延期)ばかりではなく、
要件を戦略目的への貢献度から優先順位付けし、低いものを切り捨てる
という行為も含まれている。この前提として、プロジェクトは必然的に
不確実性を伴なうこと、QCD目標もあくまで仮の想定値程度の精度でしか
設定できないものであるという認識を、一般に広める必要がある。加えて
経営陣の意思決定が、状況に応じて柔軟に修正されるかどうかの影響も
大きい。これは情報システムという領域に限らないであろう。

次回はこれらの支援行動の意味するものを、経営学の視点から考察する。

                         ・・・次回へ、つづく

※上記文中での<図表?>と表記されている内容は以下で参照ください。
  ==> http://www.tru-solutions.jp/kuriyama_pictures05.pdf

        =================
        !プロジェクトは「社長」で失敗する!
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  〜 第6回:経営学の視点に基づく経営者の支援行動の考察 〜

★マネジメント・コントロール層の機能不全とダブルループ学習

<図表23>は、Anthonyが提唱した経営管理活動の三階層モデルである。
経営者の戦略立案は言うまでもなく戦略的計画に、PMが責任を負う
プロジェクト・マネジメントはオペレーショナル・コントロールに属する。
かつ両者では、意思決定の内容も、用いられる用語も異なっている。

それらを架橋するために、中間にマネジメント・コントロール層が置かれ、
そこでは両者の用語が変換され、経営者の戦略を反映した何らかの目標が
そこに設定され、オペレーショナル・コントロール層でその目標達成に
寄与するような行動がとられるようマネジメントされる。
それは戦略的計画層で形成される戦略はあくまで戦略であって、
現場で直接実行可能なタスクの表現に変換されていないからである。

筆者は初めてこの古典的な経営理論に触れた瞬間、自分が長年悩んできた
テーマの本質は「マネジメント・コントロール層の機能不全」ではないかと
直感した。そしてその後、プロジェクトの失敗原因が、経営者とPM間の
「共通言語」の不在や、状況変化に対応するためのダブルループ学習の
機能不全にあることなどを勘案すればするほど、
その直感は確信に変わっていった。

筆者が経験してきた典型的な成功事例は、<図表24>に示す2パターン
である。一つは経営者が情報システムの知見を有し、オペレーショナル・
コントロール層までをトップダウンでカバーしたケース、
もう一つは経営感覚を有する、いわゆる「番頭さん」のような中間管理職が
戦略的計画層までをボトムアップでカバーしたケースである。

これらはいずれも「偶然の産物」として、マネジメント・コントロール層の
機能が実現されていたケースである。第5回の「L2:共通言語を確立し、
効果的なコミュニケーションを確立」で述べた、「偶然」を「必然」に変えて
いく取組みとは、正にこのことを指しており、その実践がプロジェクトの
成功をより確実なものにしていくのである。

★「共通言語」を実現する手法

ここでは「共通言語」を実現することに寄与すると筆者が考える手法として、
プロジェクト・バランスト・スコア・カード(PBSC)を紹介する。
<図表25>。バランスト・スコアカード(BSC)自体の解説は不要と
思われるが、PBSCはBSCをプロジェクト・マネジメントに応用した
ものである。PBSCは、情報システムが提供しようとしている機能が
「学習と成長」→「業務プロセス」→「顧客満足」、そして「財務」にまで
つながる一連のKPIの連鎖にどのような影響を与え、価値を生むのかを
可視化することができる。

<図表25>は、今では古典的なSFAのソリューションとなった、
営業マンに携帯端末を持たせて商談中に在庫照会や受注を行ない、
商談のスピードアップや顧客満足度の向上を図る情報システムが、
どのように最終的な売上向上という成果に貢献するかを戦略マップの形で
表現したものである。

加えて<図表26>のように、各ステークホルダーの役割・責任・権限を、
KPIと目標値の形で明示することによって、各自がプロジェクトの成功
に向けて何をすべきかが明確に理解される。
これらの取組みがステークホルダー間の相互理解と合意形成を促進し、
ひいてはプロジェクトの成功率を高めることに、多くの読者は納得感を
持たれることと思う。

★経営者にとっての過去の「学習の機会」

ではこれまで述べてきた、プロジェクトを成功に導く諸要因について、
経営者が学習する機会が過去にどれだけあったのかを、企業における
情報システムの活用の歴史を振り返りながら考えてみたい。<図表27>

黎明期における部門単位の省力化システムでは、経営者の「直接的な」関与
は必須ではなかった、と言い切ってしまっても良いであろう。
情報システムを担う組織も管理本部−経理部−電算課といった形態であり、
情報システム予算は管理本部の予算の一部に過ぎなかった。
したがって、経営者自身が個々の情報システムの投資案件に直接関与する
機会も必要性も少なく、費用対効果の検討などの多くは現場に委ねられて
いた。それが急に「社長、今度のプロジェクトは社運を賭けた重要案件なの
で、しっかりご支援下さい」と言われても、何を、どうしたらいいか
分からない、というのが正直なところではないだろうか。

前出のStanish Groupは“How to Be A Good Executive Sponsor”という
レポートで、経営者として学ぶべきこと、とるべき行動を提言している。
<図表28>

その内容に筆者も全く同感ではあるが、しかし同時に、現実の経営者の
学習機会は偶然に依存する、という点も指摘したい。

すなわち学習の機会はPMなどとのコミュニケーションを通じたOJTの
場に限定されており、かつその学習効果は「偶然に」そのプロジェクトの
PMとなった人物の実務能力やコミュニケーション能力などに依存し、
標準化も体系化もされていないのである。

加えて経営者には誰も学習を「命令」できない。
平易な表現を用いれば、社長はその会社の中で一番「偉い」のであるから、
経営者に命令できる人物は、基本的にはその会社の中には存在しない。

したがって学習機会があっても、実際に学習するかどうかは、
当該経営者の「判断」に委ねられる。これらの結果、経営者のプロジェクト
に関する知見や学習成果には、質・量の両面で大きな個人差が発生する
可能性が高い。
故にプロジェクトの状況を正確に理解し、評価し、直接陣頭指揮を執る
能力は、多くの経営者には期待できないものと言わざるを得ない。

しかし経営者に万能を求めることも、プロジェクトに関する知識の習得を
強制することも現実的ではない。これらの打開策は最終の第7回で再考
するが、ここではステアリング・コミッティーを例にとり、
組織体制面からの解決策を模索する。

★プロジェクトを成功に導く組織体制:ステアリング・コミッティーの役割

「ステアリング・コミッティー(以下、SC)の機能が重要である」ということ
に異論をはさむ読者は基本的には居られないであろう。

「SCが機能しているプロジェクトは、途中でトラブルを起こしても、
最後には立て直せる」というのは、多くの実務家の共通認識であろうと
思われる(岡村正司『実践プロジェクトマネジメント 危機を乗り越える
25の決断』ほか多数)。しかし、SCが有効に機能していないために、
途中で大きな困難に遭遇し、最後まで立て直せない場合が少なくない。

SCはプロジェクトの継続と中止を適切に評価し、どちらが得策であるか
を冷静に判断し、場合によっては損害が許容範囲に収まっているうちに
撤退する、という厳しい判断をも下さなければならない。

「SCが機能している」と言えるためには、必要な意思決定権限を持つ
メンバーが漏れなく招集されている、プロジェクトについての情報共有や
意思決定がタイムリーに行なわれている、エスカレーション・パス
(緊急課題の上申プロセス)が確保され、適切に機能している、といった
ことが必要である。

加えて悪いニュースもタイムリーに届くかどうか、という点も重要である。

富永(『プロジェクトマネジメントの国際標準化とその意義』2009年)
は、「敵は社内にあり」という表現を用いて、「プロジェクト」の現場で認識
されているスケジュール遅延や成果物の品質低下といった問題が、
上層部への報告プロセスの中で歪曲され、経営者に正確に伝わらない
という事実があることを指摘する。

それは個々の企業の風土や体質の問題かもしれないが、経営者自身も
自らの問題として現場に足を運び、自らの戦略を込めたプロジェクトが、
現在どのように進捗しているかを自らの目で確認する必要があるだろう。

では経営者はそれを知るために、どう行動しなければならないのだろうか?
それが第5回で示した、10項目の支援行動そのものである。

次回の第7回:最終回では、今回述べた「命令できない経営者という人物」に、
どうやって「命令」以外の方法で、そのような支援行動をとらせるか
(もとい!とっていただくか)について考察する。

                     ・・・次回:最終回へ、つづく

※上記文中での<図表?>と表記されている内容は以下で参照ください。
  ==> http://www.tru-solutions.jp/kuriyama_pictures06.pdf

       =================
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   〜 第7回:経営者の支援行動を確実に実現するために

本連載も今回で<最終回>となった。最後までお付き合い下さった読者に
まずは深く御礼申し上げたい。最終回のテーマは「命令できない経営者という
人物」に、どうやって「命令」以外の方法で支援行動をとっていただくか、
である。

★啓蒙活動の有用性と限界

「プロジェクトの成功には経営者の意識改革と啓蒙が重要である!」という
主張は従来から、枚挙に暇がないほど行なわれてきた。
筆者もその有用性を否定するものではないが、それには大きな壁がある。

「ワシは興味が無い」とか、「専門外なので担当に任せている」と豪語する
経営者は決して少なくない。これは「財務は苦手」と公言する経営者がほぼ
皆無であることと好対称であり、これが我国の情報システム活用を阻害して
きた一因であることは間違いない。ではこの壁を打破する方策を、
「アメ」と「ムチ」の観点から検討してみたい。

★「ムチ」の方策

まずお断りしておくが、筆者は本来的に性善説に立つ論者であり、
経営者の支援行動を法的責任という、一種の脅しで強制的に引き出す「ムチ」
のアプローチには基本的に与するものではない。
しかし、学習やディスカッションのテーブル自体に着こうとしない経営者の
背中を押すドライバー要因として、一定の価値はあるものと考える。
以下、3つのアプローチについて述べる。

1)プロジェクト・マネジメント責任と協力義務

2012年3月に東京地裁で下されたスルガ銀と日本IBMの係争に関する
判決(『日経コンピュータ』2012年8月16日号、「プロマネ義務って何だ!
スルガ銀−IBM裁判で見えた渦中の新ルール」)が契機となって、
ITベンダーのプロジェクト・マネジメント責任とユーザー企業の協力義務
という概念が注目されている。

この判決によって、ITベンダーには従来からのプロジェクト管理の工程
のみならず、要件定義やパッケージ選定といった、より広範囲な責任が認定
されると同時に、ユーザー企業にも協力義務が課されることが明示された。

したがってユーザー企業は、プロジェクトの成功のために、少なくとも
協力義務違反を問われないように、プロジェクト・メンバーを厳選し、
十分なリソースを投入する必要がある。
これは直言するなら、「社長、現在の脆弱な体制を放置すれば、
訴訟になった際に我社は不利になりますよ」と脅すことである。

2)下請法のソフトウェア開発業務への適用

2004年にソフトウェア開発業務が下請代金支払遅延等防止法(以下、
下請法)の適用対象となり、2010年1月施行の改正独占禁止法では、
優越的地位の濫用を行なった者に対し、公正取引委員会が課徴金納付を
命じることができるようになった。
経営者はそのことを十分認識し、襟を正す必要がある。

親事業者として発注する側のユーザー企業には、様々な義務や禁止事項が
課されている。例えば、仕様が固まらないことを理由に契約書を締結せずに
作業をさせる行為は「書面の交付義務」違反に該当する。
また書面は交付されていても、発注内容に「xx一式」としか記載のない、
いわゆる一式発注は、実質的に同罪である。それがユーザー企業の仕様決定
能力に起因するのであれば、それは正しく経営者が支援すべきリソースの
問題である。

「下請代金の支払期日を定める義務」、「買いたたきの禁止」、「下請代金の減額
の禁止」などの問題の構造もこれらと類似している。これらを同様に直言する
なら、「社長、現在の脆弱な体制を放置すれば、我社は下請法違反を問われ
ますよ」と脅すことである。勿論、同法は親企業と下請企業の規模によって
適用対象が限定されているが、「当社のケースは該当しないので無視!」という
経営姿勢は「いかがなものか」と言わざるを得ない。
これは個々の企業の経営モラールの問題である。

3)情報システム・モデル取引・契約書(以下、モデル契約書)

これは広義には「啓蒙活動」に分類されるものかもしれない。
しかし同時に、法的責任を問われないような契約書をユーザー企業が
ゼロベースで作成するのは並大抵のことではない。このモデル契約書は
その負担を軽減するものである。

モデル契約書は、経済産業省が組織した情報システムの信頼性向のための
取引慣行・契約に関する研究会の成果物として2007年に公表した 。
その詳細を紹介する紙面の余裕はないので、必要に応じて参照いただきたい。

★「アメ」の方策 ・・・成果報酬型契約

本連載の一連の課題の解決策として、筆者が現在最も注目しているのが
成果報酬型契約であり、それは「売上の増加額」や「コスト削減額」といった、
情報システムの導入効果に応じて、情報システムの対価を増減させる
取り決めのことである。「xxx人・月」とか「ファンクション・ポイント数で
yyyポイント」と言われても、経営者はその規模や価値、およびその対価
としてどの程度の投資が適切なのかを、まず判断できないであろう。
成果報酬型契約は、経営者にとって身近なKPIの改善効果に基づいて
情報システムの対価を決定するため、経営者にとって理解が容易かつ納得感も
持ち易い契約形態であると言える。

加えてユーザー企業の経営指標が対価決定の基準となるので、
ITベンダー側も「情報システムの納入さえ終われば、代金をいただいて
サヨナラ」ではなく、納入した情報システムが実際に効果を上げるまでの、
第4回で述べた「エンド・ツー・エンドの時間軸」でユーザーサポートを
考えるようになる。
またユーザー企業側も、情報システムが成果を上げるために「合わせ技」で
必要となる業務改革に、ITベンダーと歩調を合わせて取り組むようになる
であろう。ユーザー企業とITベンダーはそもそも異なる企業であるため、
利害が完全に一致することなどあり得ない。しかしその前提で、両者が
Win−Winの関係を構築する一つの現実解が成果報酬型契約であろうと
考える次第である。

成果報酬型契約はまだ事例も少なく、大きな潮流になっているとは言い難い。
またこれは「成果が上がったら代金を払う」という、比較的ユーザー企業に
有利な契約であり、インフラ構築などに多額な先行投資を要するITベンダー
側には極めてリスクの高い契約形態と言える。
したがって、この契約を成立させるためには、両者の深い信頼関係や長年の
取引実績といった様々な前提条件が必要になるであろう。しかしその事例も
登場し始めている。

日本ユニシスが公表しているプロジェクト事例(「ショッピングモールサイト
構築での共創ビジネスモデルの紹介」、ユニシス技報、2012年)では
成果報酬型契約を「レベニューシェア」と呼称し、新たな顧客価値を創造する
共創ビジネスと位置付けている。この事例で特筆すべきは、ショッピング
モールサイトの収益という、経営者に身近な変数をプロジェクト目標とした
ことである。これが経営陣のプロジェクトへのスムーズな参画を可能にし、
プロジェクトの目標達成に向けたユーザー企業とITベンダーの役割分担の
理解と、その遂行に当たっての各責任者の支援行動につながった。
これは利害の一本化によるWin−Win実現の好例と言える。

このような取組みをどのように汎用的に普及させていくかは、筆者の
今後の課題である。

★連載全体のまとめ ・・・本論の着眼点のユニークネス

初回に述べたように、筆者はプロジェクト・マネジメントの専門家ではない。
その筆者には本来、プロジェクトを語る資格は無いのかもしれない。
しかし、敢えて全体のまとめとして、筆者が投じたかった一石の中身を
述べてみたい。

<図表29>の上半部は9つの点を一筆書きでつなぐ、有名なクイズである。
これは9つの点が形成する正方形の内部だけでは解けず、右上のように
このエリアを大きく逸脱することによって初めて、正解に辿り着ける。
このメタファをプロジェクト・マネジメントに適用すると、
PMがプロジェクトを成功させる上での阻害要因が自責と他責に分けられる
こと、および他責の要因は外部からの支援行動がなければ解決が困難である
ことが一目瞭然であろう。

従来の深刻なトラブル・プロジェクトは図左下のように、
プロジェクト・チームが孤軍奮闘しているにもかかわらず、外部にいる
ステークホルダーが適切な支援行動を行なわなかったため、意図的かどうか
は別にして、結果的に彼らを「見殺し」にしてきたと言わざるを得ない。

本論が目指したものは<図表29>右下の構図を、経営者の支援活動に
焦点を当てて明確化し、更にそれをより確実に実現させる方策を検討する
ことであった。

本文中にも述べたが、一連の内容はあくまで筆者個人の見解であり、
中には「妄想」に近いものも含まれている。また成果報酬型契約の帰趨など、
今後も継続的に調査・検討が必要なテーマも含まれている。
そのような未成熟な内容ではあったが、敢えて浅学を顧みずそれを世に問う
蛮勇に免じてご容赦いただきたい。読者の忌憚の無いご批判、ご意見を
お待ちする次第である。
                                     ・・・<完>

※上記文中での<図表?>と表記されている内容は以下で参照ください。
  ==> http://www.tru-solutions.jp/kuriyama_pictures07.pdf


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